先に結論:卵巣顆粒膜細胞腫

  • 顆粒膜細胞腫(英語: granulosa cell tumor、GCT)はエストロゲンを作る最も多い卵巣腫瘍で、閉経前後の女性の不正出血や子宮内膜増殖症・子宮内膜癌の原因になります(小児の若年型は思春期早発)
  • 画像では充実部と大小の嚢胞が混ざる「スポンジ状」の腫瘤で、出血を伴うことが多く、年齢の割に厚い子宮内膜・大きな子宮が手がかりです
  • 低悪性度ですが何年も経ってから再発することがあり、インヒビンが腫瘍マーカーになります

顆粒膜細胞腫(granulosa cell tumor)

・性索間質腫瘍の1つ。

・成人型(更年期から閉経後)と若年型(小児)に分けられる。・成人型ではFOXL2遺伝子の点変異(402C→G、C134W)がほぼ必発で(89例中86例、97%)、若年型ではまれ(10例中1例)である。病理診断の補助に用いられ、成人型と若年型が別の腫瘍であることを裏付けている。

・低悪性度の悪性腫瘍として扱われる(以前は境界悪性に分類されていた)。

・最も頻度の高いエストロゲン産生腫瘍で、子宮内膜増殖症や子宮内膜癌を誘発する。

・不正性器出血や過多月経を主訴とする。

・若年型の場合は、仮性性早熟で発症する。

顆粒膜細胞腫の画像所見

・多房性嚢胞-充実性腫瘤までさまざま。典型的には内部に大小の嚢胞あり(多房性嚢胞性腫瘤の形態)。嚢胞内には出血がしばしばあり。

・同じ性索間質細胞腫瘍である線維腫とは異なり、よく染まるのが特徴(hypervascular tumor)。

・エストロゲン産生により年齢のわりに子宮のサイズが大きいのも特徴。子宮の腫大や内膜肥厚といった間接所見は、臨床的にエストロゲン過剰が目立たない例でもMRIで捉えられることがある。

・若年型の場合も同じような画像の報告あり。

顆粒膜細胞腫のエコー所見

・エコーでは充実部と嚢胞が混在する腫瘤として見え、7例中6例で子宮内膜が厚くなっていましたが、カラードプラを含めて上皮性卵巣腫瘍と区別できる特徴はありませんでした(Sharony 2001)。

成人型と若年型の違い

成人型 若年型
年齢 更年期〜閉経後が中心 小児〜若年者が中心
症状 不正性器出血 思春期前は82%が仮性性早熟(Young 1984)
経過 5年生存率97〜98%だが20年以上後の再発もある(Li 2021) 進行例は成人型より早く再発しやすい(Li 2021)

Q. 閉経後に出血がある場合は?
A. 顆粒膜細胞腫以外にもさまざまな原因があります。気になる症状があれば婦人科を受診してください。

症例 40歳代女性 下腹部痛

顆粒膜細胞腫 造影CT 矢状断
引用:Radiopaedia(Adult granulosa cell tumor of the ovary)

造影CTの矢状断です。骨盤内、膀胱の頭側に、充実部と大小の嚢胞が混在する境界明瞭な腫瘤(約9.5cm)を認めます。左卵巣由来と考えられ、手術で成人型顆粒膜細胞腫と診断されました。

参考文献

  1. Kim SH, Kim SH. Granulosa cell tumor of the ovary: common findings and unusual appearances on CT and MR. J Comput Assist Tomogr. 2002;26(5):756-61. PubMed
  2. Outwater EK, Wagner BJ, Mannion C, et al. Sex cord-stromal and steroid cell tumors of the ovary. Radiographics. 1998;18(6):1523-46. PubMed
  3. Tanaka YO, Tsunoda H, Kitagawa Y, et al. Functioning ovarian tumors: direct and indirect findings at MR imaging. Radiographics. 2004;24 Suppl 1:S147-66. PubMed
  4. Horta M, Cunha TM. Sex cord-stromal tumors of the ovary: a comprehensive review and update for radiologists. Diagn Interv Radiol. 2015;21(4):277-86. PubMed
  5. Shah SP, Köbel M, Senz J, et al. Mutation of FOXL2 in granulosa-cell tumors of the ovary. N Engl J Med. 2009;360(26):2719-29. PubMed
  6. Young RH, Dickersin GR, Scully RE. Juvenile granulosa cell tumor of the ovary. A clinicopathological analysis of 125 cases. Am J Surg Pathol. 1984;8(8):575-96. PubMed
  7. Sharony R, Aviram R, Fishman A, et al. Granulosa cell tumors of the ovary: do they have any unique ultrasonographic and color Doppler flow features? Int J Gynecol Cancer. 2001;11(3):229-33. PubMed
  8. Li J, Chu R, Chen Z, et al. Progress in the management of ovarian granulosa cell tumor: A review. Acta Obstet Gynecol Scand. 2021;100(10):1771-1778. PubMed

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