スキルス胃癌(Scirrhous carcinoma)
- 硬癌とも呼ばれる。4型胃癌。
- 胃癌の7-10%。
- 若年者、女性に多い。
- 進行が早く、再発率、腹膜播種の頻度が高く、予後不良。
- 早期には症状に乏しく、見つかったときには進行していることが多い。
- Helicobacter pyloriとの関連は少ないと言われている。
- 癌細胞が粘膜下を伸展し、豊富な線維性組織の増生を伴う。そのため、イカべは伸展不良となり、硬化しやがて胃腔は狭小化する。
- 癌組織の多くは低分化型腺癌もしくは印環細胞癌。
- 若い女性で胃前庭部に鳥肌胃炎がみられたら、必ず胃体部のスキルス疑う。
スキルス胃癌の画像所見
- 胃透視にて胃壁の伸展不良、硬化像、変形を示す。立位でも二重造影の仰向けでも同じような胃形を示す事が多い。鉄管状胃、砂時計胃、leather bottle stomachなどと呼ばれる特異な形態を示す。
- 巨大な鄒壁を示す疾患は、スキルス胃癌のほか、Menetrier病、悪性リンパ腫などがある。スキルス胃癌以外は柔軟性がある。
- CTでは胃壁のびまん性の肥厚として認められる。
- 転移性病変もびまん性の浸潤をきたし、シート状の肥厚を認めることが多い。
- FDG PETにおいては、高分化な胃癌が強い集積を示すのに対して、粘液成分が多い組織型や印環細胞癌は集積が乏しい。したがってスキルス胃癌も乏しい傾向にあり。
症例 30歳代女性
びまん性に胃は壁肥厚あり。粘膜の造影効果増強あり。スキルス胃癌右卵巣には転移を疑う腫瘤あり。ダグラス窩には腹水貯留あり。
腹膜の肥厚および造影効果増強を認めており癌性腹膜炎を疑う所見です。
症例 70歳代男性
びまん性に胃は壁肥厚あり。粘膜の造影効果増強あり。スキルス胃癌。