下大静脈後尿管(retrocaval ureter)
- 右側の尿管が下大静脈の背側を走行し、内前方に出たあと、下大静脈の前内側に沿って下降する先天異常。下大静脈の発生異常が原因。
- 屈曲部より近位部の右腎盂と上部尿管が拡張する。
- 尿管はL3の高さでS状に走行する。
- 尿管が単に下大静脈の後方に位置するだけではなく、部分的に取り囲むので、circumcaval ureterと呼ばれる。
- 男女比は3:1。
- 10-30歳代で発見されることが多い。
- 尿管閉塞による側腹痛や水腎症、感染を合併したり、尿管結石を合併することあり。
- 検診で水腎症で偶然発見されることもある。
- ただし、必ずしも尿管の狭窄〜閉塞を合併するわけではない。
下大静脈後尿管の画像診断
- 右尿管の内側偏位と水腎症を認める。
- 尿管の狭窄〜閉塞を合併する場合は、排泄性尿路造影では、上部尿管の拡張とその先端の釣針様変形を認める。
- CTでは、右側尿管がL3椎体レベルで下大静脈の背側を走行することが確認できる。尿管が造影剤で満たされる排泄相で撮影する。
下大静脈と右尿管の続きをシェーマで表すと以下のような位置関係である。