Budd-Chiari 症候群
・肝静脈3主幹あるいは肝部下大静脈の閉塞により、肝静脈圧・肝後性門脈圧が上昇したもの。しばしば肝硬変を伴う。
・原発性と続発性に分けられる。
・原発性では炎症や血栓、塞栓による肝静脈自体の異常によるもの、肝部下大静脈の先天性な膜様物による狭窄〜閉塞がある。
・続発性では、血栓形成や静脈炎、腫瘍などによる外部からの圧迫や、肝細胞癌(HCC)を中心とした腫瘍による塞栓がある。
・大部分は原発性で、膜様閉塞。
・肝静脈の閉塞は、本邦ではHCCによる浸潤、圧排がほとんど。
・症状は、門脈圧亢進症の症状(食道静脈瘤、脾腫、貧血、腹水)、肝部下大静脈の先天性な膜様物による狭窄では下肢のみの浮腫、下肢静脈瘤、蛋白尿など。
・肝静脈が閉塞すると腹痛、背部痛、肝腫大を伴うことあり。
・胸腹壁に皮下静脈として側副路を形成する。
・診断は、閉塞の証明と肝生検(小葉中心静脈のうっ血と中心静脈周辺領域の肝細胞壊死)。
・血液検査所見では、肝胆道系酵素上昇、Plt,WBC,RBCの低下。
・治療は、ステロイド、栄養療法、抗凝固薬による内科的管理 、下大静脈閉塞・狭窄の解除(バルーンカテーテルによる)、血行バイパス術、TIPS、肝移植など。
CT画像所見
・急性期では、肝腫大、早期相で肝辺縁の造影効果低下、中枢側の造影効果亢進、腹水。
・慢性期には、尾状葉の腫大
※尾状葉からは左・中・右肝静脈とは別の肝静脈が直接下大静脈に流入しているしているので、左・中・右肝静脈が閉塞すると肝内の血流が尾状葉に向かうことになり、肥大を認め、造影CTで強く造影されることあり。
・肝の吸収値が軽度低下することあり。
・慢性期には多血性の結節が見られることあり。FNH like lesion、large regenerative nodule、multi-acinar regenerative noduleなどと呼ばれる。
・脾腫
・肝静脈〜下大静脈の狭窄・不明瞭化、造影不良。