先に結論:溶骨性骨転移と造骨性骨転移の違い
| 溶骨性(ようこつせい)骨転移 | 造骨性(ぞうこつせい)骨転移 | |
|---|---|---|
| 骨の変化 | がんが骨を溶かす | がんのまわりで骨が過剰につくられる |
| CT・レントゲン | 黒く(低吸収に)抜けて見える。腎がんでは骨がふくらむことも | 白く(高吸収に)硬く見える |
| 多い原発がん | 肺がん・腎がん・甲状腺がん・肝細胞がん、乳がん、骨髄腫 | 前立腺がん、乳がん(混合型も多い)、一部の肺がん・胃がん |
骨転移は溶骨性・造骨性のほかに、両方がまじる混合型もあります(Macedo 2017)。溶骨性は骨がもろくなるため病的骨折(背骨の圧迫骨折・大腿骨の骨折)に注意が必要です。レントゲンでは骨がかなり壊れるまで写らないため、CT・MRI・骨シンチで探します。※がんの治療中・治療後に骨の痛みが続くときは、主治医に相談してください。
溶骨性骨転移
- 溶骨性変化(溶骨性病変)とは、骨が壊されて減った状態のこと。骨を溶かすのは主に破骨細胞(Macedo 2017)。CTでは骨梁や骨皮質が欠けた低吸収域(黒く抜けた部分)として見える。
- 溶骨性になりやすい原発は、多発性骨髄腫、腎細胞癌、悪性黒色腫、非小細胞肺癌、甲状腺癌など。乳癌の多くも溶骨性を示す(Macedo 2017)。肝細胞癌の骨転移は単純X線で全例が溶骨性で、CTでは膨張性で大きな軟部腫瘤を伴うことが多かった(Kuhlman 1986)。
- 肺癌、乳癌が多い。他多数。ただし、肝細胞癌、腎癌、甲状腺癌でも起こるので注意。
- 骨梁の50%以上が破壊されないと単純X線写真では描出されにくく、1cm程度までの病変は指摘できないことがある(Macedo 2017)。
- 骨膨張性変化を生じることがあり、腎癌では隔壁を有する膨張性病変となることもある。(造骨型の膨張性変化を来すものとしては前立腺癌がある。)
- 原発性悪性骨腫瘍において、骨膜反応が高頻度に見られるのに比し、転移性骨腫瘍に骨膜反応が見られることは稀。
- 例外として、spiculationやsunburst typeの骨膜反応を認めることがあり、原発は前立腺癌が最も多く、造骨型転移に伴うことが多い(Bloom 1987)。胃癌の報告もある(Narváez 1998)。
- 筋肉や筋膜などの軟部組織転移巣が骨化することがあり、骨転移巣に隣接して認めることもある。胃癌、結腸癌、膀胱癌などの報告あり(Narváez 1998)。
- 骨外骨肉腫や外傷、熱傷後の骨化との鑑別が必要。
- 転移を生じた骨は脆弱となり、病的骨折を合併することがある。長管骨転移の骨折リスク評価には、画像と臨床の4因子を点数化するMirelsスコアが用いられ、原著では7点以下は照射のみで安全、8点以上は照射前の予防的内固定が勧められている(Mirels 1989)。ただし評価者間の一致度は低く、予測能には限界も指摘されている(Howard 2018)。椎体の圧迫骨折や大腿骨近位部骨折が多い。原発は乳癌が多い(下肢の転移62例では44%が乳癌:Howard 2018)。
- 長管骨では、骨皮質の破壊が50%未満なら病的骨折はまれ(2.3%)だが、75%を超えると高率(80%)に骨折すると報告されている。脊椎転移の不安定性の評価には、部位・痛み・骨病変の性状(溶骨性/造骨性)・アライメント・椎体圧潰・後側方要素への浸潤の6項目を点数化するSINS(Spinal Instability Neoplastic Score)が用いられる。0〜6点は安定、7〜12点は潜在的不安定、13〜18点は不安定とされ、潜在的不安定以上を拾う感度95.7%・特異度79.5%と報告されている。
症例 70歳代 男性 腎癌術後

右第6肋骨に膨張性に発育する溶骨性腫瘤あり。

両側の腸骨にも同様の所見あり。
腎癌の多発骨転移と診断されました。
症例 60歳代 男性 腎癌術後

右7肋骨に溶骨性腫瘤あり。
手術にて腎癌の肋骨転移と診断されました。
症例 50歳代 男性 腎癌術後

左恥骨及び、椎体に溶骨性病変あり。
腎癌の骨転移と診断されました。
動画で学ぶ溶骨性骨転移の画像診断(腎癌術後)

椎体に溶骨性病変を認めています。

椎体骨に溶骨性病変を認めています。
転移性骨腫瘍を疑う所見です。
動画はこちら
造骨性骨転移
- がんのまわりで新しい骨が過剰につくられるタイプの転移。CTでは高吸収(白い)の結節やまだらな硬化として見え、多発するとびまん性に骨が白くなることもある。
- 造骨性になりやすい原発は前立腺癌、カルチノイド、小細胞肺癌、ホジキンリンパ腫など。乳癌は多くが溶骨性だが、15〜20%は造骨性または混合型を示す。消化器癌や扁平上皮癌は混合型をとることがある(Macedo 2017)。胃癌でも造骨性の骨転移が報告されている(Porta-Vilaró 2024)。
- 骨島(enostosis)との鑑別:未治療の造骨性転移と骨島279病変の検討で、CT値の平均は転移654±176HU、骨島1190±239HU。平均885HU未満(または最大1060HU未満)なら転移を考え、感度95%・特異度96%だった(Ulano 2016)。治療後の病変には当てはまらない点に注意。
- フレア現象:治療がきいているのに骨転移が一時的に白く見えることがあり、前立腺癌の治療3か月後のCTで8%にみられた。PSAが下がっていれば悪化ではなく治癒反応と考えられる(Messiou 2011)。
参考文献
- Macedo F, Ladeira K, Pinho F, et al. Bone Metastases: An Overview. Oncol Rev. 2017;11(1):321. PubMed
- O’Sullivan GJ, Carty FL, Cronin CG. Imaging of bone metastasis: An update. World J Radiol. 2015;7(8):202-11. PubMed
- Fidler M. Incidence of fracture through metastases in long bones. Acta Orthop Scand. 1981;52(6):623-7. PubMed
- Mirels H. Metastatic disease in long bones. A proposed scoring system for diagnosing impending pathologic fractures. Clin Orthop Relat Res. 1989;(249):256-64. PubMed
- Fourney DR, Frangou EM, Ryken TC, et al. Spinal instability neoplastic score: an analysis of reliability and validity from the spine oncology study group. J Clin Oncol. 2011;29(22):3072-7. PubMed
- Howard EL, Shepherd KL, Cribb G, et al. The validity of the Mirels score for predicting impending pathological fractures of the lower limb. Bone Joint J. 2018;100-B(8):1100-1105. PubMed
- Hoban KA, Downie S, Adamson DJA, et al. Mirels’ score for upper limb metastatic lesions: do we need a different cutoff for recommending prophylactic fixation? JSES Int. 2022;6(4):675-681. PubMed
- Kuhlman JE, Fishman EK, Leichner PK, et al. Skeletal metastases from hepatoma: frequency, distribution, and radiographic features. Radiology. 1986;160(1):175-178. PubMed
- Ulano A, Bredella MA, Burke P, et al. Distinguishing Untreated Osteoblastic Metastases From Enostoses Using CT Attenuation Measurements. AJR Am J Roentgenol. 2016;207(2):362-368. PubMed
- Messiou C, Cook G, Reid AH, et al. The CT flare response of metastatic bone disease in prostate cancer. Acta Radiol. 2011;52(5):557-561. PubMed
- Porta-Vilaró M, Soler-Perromat JC, Larque AB, et al. Metastatic bone lesion type in gastric cancer patients: imaging findings of case reports. Quant Imaging Med Surg. 2024;14(11):7872-7880. PubMed
- Bloom RA, Libson E, Husband JE, et al. The periosteal sunburst reaction to bone metastases. A literature review and report of 20 additional cases. Skeletal Radiol. 1987;16(8):629-634. PubMed
- Narváez JA, Narváez J, Clavaguera MT, et al. Bone and skeletal muscle metastases from gastric adenocarcinoma: unusual radiographic, CT and scintigraphic features. Eur Radiol. 1998;8(8):1366-1369. PubMed
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