先に結論:尿膜管遺残
- 尿膜管は胎児期に膀胱のてっぺんとへそをつなぐ管で、生まれる頃には閉じて正中臍索になります。これが残ると開存・臍側の洞・膀胱側の憩室・途中の嚢胞の4型の尿膜管遺残になります
- へそからの膿・液体、へその下の痛みや腫れ(感染)で見つかることが多く、CT・MRI・超音波でへそと膀胱の間の正中の管状・嚢胞状の構造を確認します
- 大人では尿膜管癌(膀胱頂部の正中の腫瘤で石灰化を伴うことが多い)が発生することがあり注意が必要です
※へそから膿や液が出る・へその下が腫れて痛むときは、泌尿器科や外科を受診してください。
尿膜管遺残
・尿膜管は胎生期の尿膜(allantois)に由来し、膀胱頂部と臍をつなぐ管である。出生前に閉鎖するが、正常でも膀胱頂部から尿膜管の遺残があり、正中臍索(線維性の索状構造)として臍に向かう。
・しかし、出生時以降も尿膜管が残存することがあり、開存している部位により、
- 尿膜管開存(patent urachus)、
- 尿膜管洞(umbilical urachal sinus)、
- 尿膜管憩室(vesicourachal diverticulum)、
- 尿膜管嚢胞(urachal cyst)
の4つに分けられる。

・いずれも感染を併発しうる(特に尿膜管嚢胞・尿膜管洞)が、症状の有無は膀胱、臍との交通の有無にもよる。
・膀胱と交通している→膀胱炎症状、
・臍と交通している→臍からの膿流出など臍炎。
・交通のない場合は、下腹部痛、有痛性腫瘤、発熱などを主訴とする。
・成人では膀胱頂部に発生する尿膜管癌の発生に注意する。・小児721例の検討では、画像で見つかる尿膜管遺残は小児の約1.03%とまれではなく、大半(667例)は偶然発見であった。無症状の小児を予防的に切除しても、成人の尿膜管腺癌1例を防ぐのに5,721例の切除が必要と試算され、無症状例の予防的切除の利益は乏しいとされる。
・尿膜管膿瘍(感染した尿膜管嚢胞・洞)は、超音波で内部のエコー上昇、CTで壁の厚い嚢胞や混合した濃度の腫瘤として見える。感染した嚢胞と尿膜管癌はどちらも似た見え方をして区別が難しく、穿刺吸引や生検が必要になることがある(Yu 2001)。
症例 30歳代男性 尿膜管洞への膿瘍形成

症例 尿膜管洞への膿瘍形成

動画で学ぶ尿膜管洞
尿膜管遺残でよくある疑問(Q&A)
Q. 正中臍索とは何ですか?
A. 尿膜管が閉じたあとに残る線維性のひもで、膀胱のてっぺんから臍へ腹壁の裏の正中を走る正常な構造です。
Q. 大人で偶然見つかった尿膜管遺残は治療が必要ですか?
A. 尿膜管の異常を指摘された成人245例の検討では、無症状の92例で膀胱の悪性腫瘍(低悪性度の乳頭状腫瘍を含む)は0例、症状のある153例では14例(9.2%)で、特に肉眼的血尿があると多くみられました(Blomqvist 2026)。血尿などの症状があれば泌尿器科で精密検査を受けてください。
参考文献
- Yu JS, Kim KW, Lee HJ, et al. Urachal remnant diseases: spectrum of CT and US findings. Radiographics. 2001;21(2):451-61. PubMed
- Parada Villavicencio C, Adam SZ, Nikolaidis P, et al. Imaging of the Urachus: Anomalies, Complications, and Mimics. Radiographics. 2016;36(7):2049-2063. PubMed
- Gleason JM, Bowlin PR, Bagli DJ, et al. A comprehensive review of pediatric urachal anomalies and predictive analysis for adult urachal adenocarcinoma. J Urol. 2015;193(2):632-6. PubMed
- Sah A, Triveni GS, Chandrashekhara SH. Case series of urachal adenocarcinoma: Imaging features. J Cancer Res Ther. 2024;20(3):1057-1060. PubMed
- Blomqvist P, Joulhay Ian L, Holmin E, et al. Malignancy yield and clinical predictors in radiologically detected adult urachal anomalies: A retrospective cohort study. BJUI Compass. 2026;7(10):e70284. PubMed
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