先に結論:乳腺扁平上皮癌
- 乳腺の扁平上皮癌はまれな乳癌で、WHO分類では化生癌(metaplastic carcinoma)の一型です。ホルモン受容体陰性・HER2陰性のことが多く、悪性度が高めです
- 画像では境界が比較的明瞭な腫瘤で、壊死や嚢胞変性を伴いやすく、造影でリング状に染まるのが特徴です
- 嚢胞に見えても壁の厚さや造影される部分があれば悪性を考え、生検で診断します
症例 40歳代女性 数週間前からの右乳房の軽い痛みを伴うしこり

引用:Radiopaedia(Squamous cell carcinoma of the breast)
右乳房のマンモグラフィ(CC像)で、境界が比較的明瞭な分葉状の高濃度腫瘤がみられ、辺縁には細かなスピキュラを伴います。報告では右乳房下内側の病変で、構築の乱れや石灰化、皮膚肥厚はありませんでした。超音波では隔壁を伴う複雑な嚢胞性病変として見え、針生検で扁平上皮癌成分を含む化生癌と診断されました。
乳腺扁平上皮癌
・MMGでは圧排増殖性腫瘤陰影。
・壊死ないし嚢胞変性を高頻度に持つ。
・造影でリング状に造影される。化生癌はマンモグラフィや超音波では良性に近い所見を示すことがあり、若年者では良性腫瘤と誤認されやすい。MRIではT2強調像で中心部が高信号を示すことが多い。MDアンダーソンの33例の検討では、乳腺扁平上皮癌の多くはホルモン受容体陰性・HER2陰性で、EGFRの過剰発現が多くみられました。限局例でも5年無再発生存率は26%、5年全生存率は40%と予後不良で、治療抵抗性であったと報告されています。
マンモグラフィ・超音波の所見
扁平上皮癌を主体とする乳癌5例の検討では、腫瘍はすべて触知でき平均5.0cmと大きく、マンモグラフィでは楕円形の腫瘤で、悪性を示す微細石灰化はみられませんでした。超音波では充実性の低エコー腫瘤、または嚢胞成分と充実成分が混ざった腫瘤として見え、嚢胞性に見える乳腺腫瘤の鑑別の一つに加えるべきとされています(Samuels 1996)。
乳腺扁平上皮癌でよくある疑問
Q. 嚢胞(のう胞)と言われたしこりが癌のことはありますか?
A. 内部が壊死して嚢胞のように見える癌があります。壁が厚い、充実部分があるなどの所見があれば針生検で確かめます。乳房のしこりなど気になる症状があれば、乳腺外科を受診してください。
参考文献
- Jia Y, He C, Liu L, et al. A Retrospective Study of the Imaging and Pathological Features of Metaplastic Breast Carcinoma and Review of the Literature. Med Sci Monit. 2019;25:248-258. PubMed
- Aydin H, Guner B, Bostanci IE, et al. Radiologic Findings of a Rare Subtype of Invasive Breast Cancer with Poor Prognosis: Metaplastic Carcinoma of the Breast. Curr Med Imaging Rev. 2019;15(3):338-348. PubMed
- Tan PH, Ellis I, Allison K, et al. The 2019 World Health Organization classification of tumours of the breast. Histopathology. 2020;77(2):181-185. PubMed
- Hennessy BT, Krishnamurthy S, Giordano S, et al. Squamous cell carcinoma of the breast. J Clin Oncol. 2005;23(31):7827-35. PubMed
- Samuels TH, Miller NA, Manchul LA, et al. Squamous cell carcinoma of the breast. Can Assoc Radiol J. 1996;47(3):177-182. PubMed
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