先に結論:精巣悪性リンパ腫
- 精巣悪性リンパ腫は50〜60歳以上の精巣腫瘍で最も多く、多くはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫です。両側に起こることもあります
- 画像では精巣の形を保ったまま全体が腫れる、内部が均一で壊死や出血が少ない、T2で均一な低信号、精巣上体・精索にも広がるのが特徴です
- 中枢神経や対側精巣への再発が多いため、全身の評価と予防的な治療が行われます。小児では白血病の精巣浸潤を考えます
精巣悪性リンパ腫
・60歳以上の高齢者に多い(精巣悪性腫瘍の約5%)。
※二次性徴前の若年者症例では、白血病の可能性を疑う必要がある。白血病が精巣に出ることがあり、早く診断することが重要。
・多くはB細胞リンパ腫。大部分はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC型)で、対側精巣や中枢神経への再発リスクが高い。
・内部均一で出血や壊死は通常見られない。
・精巣縦隔から放射状に伸びる線状構造(超音波、造影MR)。
・既存の形態を比較的保ったびまん性腫大。・超音波では限局性(単発・多発)または精巣全体の低エコーとして描出され、カラードプラで血流が増加する。病変内の血管が枝分かれせず直線状・平行に走るのが特徴とされ、5例の検討では微小血管エコーで全例にみられた。
精巣悪性リンパ腫の画像所見
・MRI脂肪抑制T2強調像では均一な低信号域の病変として描出される。CTでは均一な低吸収病変として描出されるが、精巣の腫大を伴わない時や両側性浸潤では検出が困難なことがある。
・悪性リンパ腫以外では、白血病の浸潤が見られることがある。
精巣リンパ腫の症状・経過とセミノーマとの違い
・症状:最も多いのは痛みのない陰嚢の腫れです(Motyčková 2017)。373例の国際調査では診断時の年齢の中央値は66歳で、多くは限局した病期でしたが、経過中に52%が再発し、中枢神経への再発が15%にみられました(Zucca 2003)。
・セミノーマとの違い:同じく均一な低エコー・T2低信号の腫瘍になるセミノーマは若い〜中年の男性に多いのに対し、リンパ腫は高齢者に多く、両側性・精巣上体や精索への広がりが手がかりになります。
精巣の腫れやしこりに気づいたら、痛みがなくても早めに泌尿器科を受診してください。
症例 60歳代男性 右精巣痛

引用:Radiopaedia(Testicular lymphoma)
T2強調像の冠状断で、右精巣が約5cm大の腫瘤によりびまん性に腫大し、内部は中等度の信号を示しています。腫瘤の外側には少量の陰嚢水腫(白い三日月状の液体)を認めます。精巣摘除術でびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断された症例です。
参考文献
- Cheah CY, Wirth A, Seymour JF. Primary testicular lymphoma. Blood. 2014;123(4):486-93. PubMed
- Grainger BT, Cheah CY. Primary testicular lymphoma. Cancer Treat Rev. 2025;136:102927. PubMed
- Motyčková M, Vosáhlová V, Belada D, et al. [Primary testicular lymphoma]. Vnitr Lek. 2017;63(6):415-422. PubMed
- Yang L, Tao Y, Weixin Z, et al. Contrast-enhanced and microvascular ultrasound imaging features of testicular lymphoma: report of five cases and review literature. BMC Urol. 2022;22(1):6. PubMed
- Tsili AC, Sofikitis N, Pappa O, et al. An Overview of the Role of Multiparametric MRI in the Investigation of Testicular Tumors. Cancers (Basel). 2022;14(16). PubMed
- Zucca E, Conconi A, Mughal TI, et al. Patterns of outcome and prognostic factors in primary large-cell lymphoma of the testis in a survey by the International Extranodal Lymphoma Study Group. J Clin Oncol. 2003;21(1):20-7. PubMed
画像診断を無料で学べるコンテンツ

腹部画像診断を症例で学ぶ
4日に1回、朝6時に症例が届き、実際に画像をスクロールして読影する講座です。90症例以上・1年以上続く講座で、医師・医学生・放射線技師・看護師など10,000名以上が参加中です。
講座に参加する(無料) →
