脳挫傷(cerebral contusion)とは?
- 脳挫傷は表層を含めた皮質を中心に起こり、点状出血と脳浮腫が特徴。
- 点状出血は次第に融合する。
- 慢性期には壊死と萎縮瘢痕が残存する。
- 脳挫傷には衝撃側に起こる直接損傷(coup injury)と反対側に起こる対側損傷(contrecoup injury)があるが、対側損傷の方が多い。
- びまん性軸索損傷とは分けて述べられるが、びまん性軸索損傷の合併がある。
- 意識清明期つまり、急激な血腫増大は急性硬膜外血腫に特異的ではなく、急性硬膜下血腫、脳挫傷、脳内血腫でも認められる。
- 血腫増大期をすぎれば予後は一般に良好。
- 重症例ほど遅発性てんかんになることが多い。
- 小脳の脳挫傷は小児に多く、小脳虫部の上部や小脳扁桃など骨や硬膜に隣接する部位に好発する。
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脳挫傷の好発部位は?
- 前頭葉や側頭葉の底部に好発する。前頭葉や側頭葉の底部の挫傷は前、中頭蓋窩の凹凸のある骨との衝突で起こる。
- 前頭部の脳挫傷は陥没骨折直下に直撃損傷で起こることが多い。
脳挫傷のCT、MRI画像診断は?
▶CT所見
- 超急性期には正常もしくは軽度の低吸収。
- CTでは外傷に伴う脳内出血があるところに脳挫傷があると考えればよいし、逆に脳挫傷があるところに脳内出血が起こっていると見ればよい。
- 直後に画像でわからなくても、急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫とともに、(数時間〜)1日後以降に点状に出血(高吸収)や浮腫(低吸収)が明瞭になる(salt and pepper)ことがある。
▶MRI所見
- 挫傷部(浮腫部)はT2強調像で境界明瞭な高信号、T1強調像では低信号。
- 血腫はT1強調像で等〜高信号、T2*強調像やSWIで低信号を呈する。
- 早期や小さな脳挫傷はDWIで高信号を呈する。
- 経過観察が必要。
※びまん性軸索損傷(DAI)の出血もT2*強調像やSWIで低信号を示す。DAIの場合は大脳皮質髄質境界、脳梁、基底核や脳幹部に好発する。
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