嗜銀顆粒性認知症(DG/AGD)(Dementia with grain:DG,Argyrophilic grain dementia:AGD)
- 高齢者に多く、軽度認知機能障害ではADと同程度の頻度を呈する変性性認知症。
- また認知症の原因疾患として、アルツハイマー病(AD)、Lewy小体病(dementia with Lewy bodies:DLB)に並ぶ大きな割合を占める可能性が示唆されている。
- Gallyas-Braak鍍銀染色陽性顆粒が迂回回から側頭葉、前頭葉に沈着する。
- 迂回回(最も内側)から緩徐萎縮進行、局所萎縮。アルツハイマーより内側、腹側。
- 左右差が明確なことがある。アルツハイマーは両側に広がる。
- 健忘が前景。性格変化。怒りっぽい、Hになる、万引きする。Alzheimer 病に比して、記銘力、言語、注意力や遂行能力の障害が軽いと報告されている。認知症がないこともある。易怒性のみのこともある。
- 診断基準は確立されていない。
- アルツハイマー病(AD)に比べても進行は緩徐。
- VSRADで初期よりZ score高値。VSRADの安易な使用は誤診を生む可能性があるので注意する。安易になんでもZ score高値→ADとしないこと。
- なぜADとすることがまずいか?DGは治療について、塩酸ドネペジルは原則として不 応であり、高齢者が多いため、鑑別診断なき投与は、錐体外路症状による、歩行障害、転倒を誘発する危険があるから。
- 例1) Z score=5,だけどアルツハイマーぽくない、しっかりしている(MMSE28)。PIBはnegativeだった。アルツハイマーではなく、嗜銀顆粒性認知症(DG)。
- 例2)MMSE26。経過を追っても変わっていない。家族に暴力をふるう。→DGだった。
※このような症例をすぐにADとしないようにする。
嗜銀顆粒性認知症のstage分類
迂回回ステージ(Stagel):神経細胞脱落なし。症状なし。
側頭葉ステージ(StageII ):神経細胞脱落あり、MCIあり。
前頭葉ステージ (StageⅢ):神経細胞脱落+++。認知症あり。
StageⅢ以上は認知症が必発。
J Neuropathol Exp Neurol 2004; 63: 911–918.
嗜銀顆粒性認知症のMRI画像所見
- 迂回回萎縮を反映して、深部腹側、内側側頭葉萎縮が認められる。
- SPECTでは、内側側頭部血流低下以外、所見に乏しい。
- 病理学的には顆粒の沈着する部位に左右差がある症例が多いとされるが、画像上はわからないことが多い。