風邪症候群とは?

  • ほとんどの発熱・咽頭痛はウイルス性上気道炎です。
  • 鼻炎、咽頭痛、下気道炎症状の3症状が同時に存在する場合、かぜ、つまりウイルス性以外は考えにくいです。
  • 上気道、すなわち鼻炎・咽頭炎と、下気道・肺炎のどこに感染のメインがあるかを考えます。急性喉頭蓋炎、A群溶連菌では咳を伴わないことがあります。
  • 鼻汁や咽頭痛があると肺炎の可能性は下がります。LR+:0.78

いろいろある風邪症候群

  • 鼻炎型:くしゃみ、鼻汁、鼻詰まり → 副鼻腔炎
  • 咽頭炎型:咽頭痛、イガイガ感 → GABHS咽頭炎
  • 下気道炎型:咳嗽、喀痰など → 肺炎など

見逃してはならない咽頭痛

  1. 急性喉頭蓋炎

    • 嚥下痛:82%
    • 嗄声:79%
    • 前頸部の圧痛:79%
    • 呼吸困難:37%
    • 流涎:22%
    • 開口障害
  2. 扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍

    • 口蓋垂偏位
    • 片側軟口蓋下降
  3. Lemierre症候群
  4. その他:急性甲状腺炎、悪性疾患、胃・食道逆流、急性心筋梗塞の放散痛

見逃したくない疾患の特徴

  • 開口障害:扁桃周囲膿瘍
  • 尋常でない激しい咽頭痛:急性喉頭蓋炎
  • 後頚部痛・嚥下障害:咽後膿瘍
  • 左右非対称性の頚部腫脹・圧痛:Lemierre症候群。Fusobacterium necrophorumなどによる頚部感染性静脈炎。Ann Intern Med. 2009;151(11):812-5.

診察すべきこと

  • 咽頭、口腔内所見
  • 頚部リンパ節、甲状腺の圧痛
  • 皮疹の有無

各論① 咽頭炎

感染症が疑われる場合は、以下の3つを考えます。

  1. 細菌性か?
  2. ウイルス性か? 多くはウイルス性です。
  3. インフルエンザか?

まずインフルエンザを除外します。迅速キット、関節痛、高熱、全身症状などから判断します。

細菌性咽頭炎の確定診断は咽頭培養です。
ただし、結果を待ってからでは遅すぎる場合があるため、
A群連鎖球菌迅速診断キット、または
The Centor Criteriaを用いて抗生剤の必要性を考慮します。

The Centor Criteria

  • 発熱がある
  • 咳・鼻症状がない
  • 圧痛を伴う前頚部リンパ節腫脹がある
  • 扁桃腺に白苔がある

3つ以上あれば、感度75%、特異度75%でA群溶血連鎖球菌による咽頭炎を考えます。

合併症として急性リウマチ熱、急性糸球体腎炎などがあるため、抗生剤投与を考慮します。
ただし、溶連菌感染であれば発症2〜3日以内に抗菌薬を処方すれば病悩期間が1〜2日短くなりますが、
成人ではリウマチ熱や糸球体腎炎の合併はほとんどありません。

治療

Centor criteriaで3つ以上、またはA群連鎖球菌迅速キット陽性の場合は、
伝染性単核球症、マクロライド耐性菌の出現に注意し、咽頭培養後に抗生剤を選択します。

30歳以下
  • ペニシリンG:バイシリンG® 40万単位/g、2〜4g 分2〜4
  • クラリスロマイシン:クラリシッド® 200mg 2T 分2
  • アジスロマイシン
  • ミノサイクリン
30歳以上
  • 上記に加えて、アモキシシリン:サワシリン® 1000mg 分4、食後眠前、10日間

ただし、EBウイルス感染症にアモキシシリンを使用すると皮疹が出現することがあるため注意が必要です。

  • コンプライアンス不良の場合は、投与回数の少ないマクロライド系を処方します。例:ジスロマック® 500mg 分1、3日分。ただし耐性菌が多い点に注意します。
  • ペニシリンアレルギーでは、クラリスロマイシン、クリンダマイシンなどを検討します。
  • 炎症が強いときは、ロセフィン® 1g/Vを2g、つまり2V、生食50mlで点滴し、24時間毎に投与します。
  • 急性扁桃炎には最低10日間の投与が推奨されています。

抗菌薬投与により、以下が期待されます。

  1. 症状改善までの期間が数日短縮する。
  2. リウマチ熱などの合併症を予防できる。

対症療法

  • 解熱・鎮痛目的:ボルタレン® 25mgまたは50mg坐薬、1日3回、数日分
  • 腫れ止め:トランサミン® 250mg、3CP 分3、経口数日分
  • 喉の痛み止め:SRトローチ明治® 0.25mg、6T 分6、経口数日分
  • うがい薬:イソジンガーグル®、1日数回うがい

一週間以内に耳鼻咽喉科外来受診を指示します。

各論② 急性喉頭蓋炎

高熱を伴う嚥下痛、嗄声、前頚部の圧痛、呼吸困難、流涎、開口障害を認める場合は、
急性喉頭蓋炎を疑います。

頚部側面X線、軟部条件を施行し、
thumb sign、つまり親指のような喉頭蓋腫脹を確認した場合は、直ちに耳鼻科へコールします。

各論③ 扁桃周囲膿瘍

  • 高熱
  • 口蓋垂の対側偏位
  • 軟口蓋腫脹

これらを認める場合は、耳鼻科受診のうえ、切開・排膿を検討します。

各論④ 伝染性単核球症

  • EBVやCMV感染が原因です。
  • 扁桃に白苔を認めます。
  • 後頚部リンパ節腫脹を認めます。前頚部だけでない点が重要です。
  • 肝機能障害、肝脾腫を認めることがあります。
  • リンパ球増加を認めます。白血球分画の60〜70%になることがあります。
  • 末梢血に異型リンパ球が出現します。白血球分画の10%以上が目安です。
  • 血小板数の低下を認めることがあります。約50%でみられます。
  • トランスアミナーゼ上昇を認めます。
  • EBウイルス抗体を確認します。

伝染性単核球症は kissing disease とも呼ばれます。

  • アモキシシリンなどのペニシリン系抗菌薬使用で発疹が出現することがあるため注意します。

鑑別として、急性HIV感染、トキソプラズマ症、HHV-6、風疹、A型肝炎などがあります。
トキソプラズマ症では猫との接触歴、沖縄ではヤギの生食歴なども確認します。

頚部リンパ節腫脹を来す疾患

急性感染

  • 細菌性:A群β溶連菌
  • ウイルス性:EBウイルス、サイトメガロウイルス、風疹
  • 炎症部位:眼、眼瞼、耳、副鼻腔、頭皮、口腔、歯、咽頭

慢性感染

  • 結核

非感染性炎症

  • 膠原病

悪性腫瘍

  • 悪性リンパ腫
  • 甲状腺癌
  • 頭頚部癌
  • 転移性腫瘍

頚部リンパ節腫脹のカルテ記載

  • リンパ節:大きさ、圧痛、硬さ、可動性の4要素を記載します。
  • 分布:全身性か限局性かを確認します。
  • 部位:耳介前後、後頭部、頤・顎下部、頚部、後頚部、鎖骨上窩、腋窩、鼠径などを記載します。
  • 病歴:時間的経過、体重減少の有無、既往歴を確認します。結核、梅毒、膠原病、悪性腫瘍、輸血歴など。
  • アレルギー、服薬歴を確認します。フェニトイン、抗生剤、スルホンアミドなど。
  • 身体所見:発熱、盗汗、全身倦怠感の有無を確認します。

ご案内

スマホ版画像診断cafe100日チャレンジ

2026年7月1日から100日で完成を目指します。制作の進捗はメルマガでもお届けします。

腹部画像診断を学べる無料コンテンツ

4日に1日朝6時に症例が配信され、画像を実際にスクロールして読影していただく講座です。現状無料公開しています。90症例以上あり、無料なのに1年以上続く講座です。10,000名以上の医師、医学生、放射線技師、看護師などが参加中。

胸部レントゲンの正常解剖を学べる無料コンテンツ

1日3分全31日でこそっと胸部レントゲンの正常解剖の基礎を学んでいただく参加型無料講座です。全日程で簡単な動画解説付きです。

画像診断LINE公式アカウント

画像診断cafeのLINE公式アカウントで新しい企画やモニター募集などの告知を行っています。 登録していただくと特典として、脳の血管支配域のミニ講座の無料でご参加いただけます。