胸部CTや腹部CTの上部を読影していると、頸部から上大静脈へ向かうカテーテルや、前胸部皮下に埋め込まれたポートを認めることがあります。

これはCVポート、または皮下埋込型中心静脈ポートと呼ばれるデバイスです。化学療法、長期輸液、中心静脈栄養、血管確保困難例などで使用されます。

CTでは、単に「カテーテルが入っている」と確認するだけでは不十分です。ポート本体の位置、カテーテルの走行、先端位置、血栓付着、感染、破損、迷入、薬剤漏出などを確認する必要があります。

今回は、CTでCVポートを認めたときに知っておきたい、正常所見、カテーテル関連血栓、先端位置異常、鑑別診断、読影時のチェックポイントについて整理します。

CVポートとは?

CVポートとは、中心静脈へ長期的にアクセスするための皮下埋込型デバイスです。

一般的には、前胸部などの皮下に埋め込まれたポート本体と、中心静脈内へ留置されるカテーテルから構成されます。

英語では、central venous port、totally implantable venous access port、implantable venous access port、port catheter などと呼ばれます。

CTでは、前胸部皮下のポート本体からカテーテルが連続し、内頸静脈、鎖骨下静脈、腕頭静脈、上大静脈などを経由して中心静脈へ向かう構造として確認できます。

CVポートが使われる場面

CVポートは、繰り返し中心静脈アクセスが必要な患者で使用されます。

代表的な使用場面は以下です。

  • 悪性腫瘍に対する化学療法
  • 分子標的薬や抗体薬の投与
  • 長期輸液
  • 中心静脈栄養
  • 末梢血管確保が困難な患者の血管アクセス
  • 在宅静脈栄養や長期薬剤投与

がん患者では化学療法目的で留置されることが多く、CTでCVポートを認めた場合は、担癌状態や抗がん剤治療歴を背景情報として意識すると読影しやすくなります。

CTでのCVポートの正常所見

CTでCVポートを見たときは、まずポート本体からカテーテル先端まで連続して追うことが重要です。

正常に近い所見としては、以下が挙げられます。

  • 前胸部皮下にポート本体を認める
  • ポート本体からカテーテルが連続している
  • カテーテルが内頸静脈、鎖骨下静脈、腕頭静脈、上大静脈へ向かう
  • カテーテル先端が適切な中心静脈領域に位置する
  • カテーテル周囲に明らかな血栓、液体貯留、膿瘍を認めない
  • カテーテルの屈曲、断裂、迷入を認めない

CVポートは胸部や腹部CTの主目的ではないことも多いですが、見えている範囲では必ず確認しておきたい人工物です。

CVポートカテーテル関連血栓とは?

CVポートカテーテル関連血栓とは、カテーテルに接して静脈内に形成される血栓です。

カテーテルが血管内皮を刺激すること、カテーテル周囲の血流が乱れること、悪性腫瘍や化学療法に伴う凝固能亢進、先端位置異常、カテーテル感染などが関与します。

特に悪性腫瘍患者では、がんそのものによる血栓傾向に加えて、CVポートや中心静脈カテーテルが血栓形成のリスクになります。

カテーテル関連血栓は無症状で偶然CTで見つかることもありますが、頸部・上肢腫脹、疼痛、発赤、カテーテル閉塞、肺塞栓症などの原因になることがあります。

CTでのカテーテル関連血栓の見え方

造影CTでは、カテーテル周囲に血栓が付着している場合、造影された静脈内に低吸収域または造影欠損として描出されます。

典型的には以下のような所見です。

  • カテーテル周囲に沿う低吸収域
  • 静脈内腔の造影欠損
  • カテーテルの一側または全周性に付着する血栓
  • 内頸静脈、腕頭静脈、上大静脈、右房内などに認める
  • 血管内に限局し、周囲脂肪織濃度上昇や膿瘍とは異なる
  • 薄いスライスやMPRで連続性を確認しやすい

特にカテーテル周囲に沿って明瞭な低吸収域が付着している場合は、カテーテル関連血栓を疑います。

血栓が大きい場合や右房内血栓を伴う場合は、肺塞栓症や循環動態への影響も含めて臨床的な対応が必要になることがあります。

症例 60歳代男性 盲腸癌にて加療中

CVカテーテルをよく見ると、カテーテルの周りに一部低吸収域を認めています。

鎖骨のアーチファクトでこのように低吸収域を認めるケースはありますが、今回はアーチファクトではなく、カテーテル周囲にはっきりと付着しています。

CVカテーテルへの血栓付着を示唆する所見です。

アーチファクトとの鑑別

カテーテル周囲の低吸収域を見たときに注意したいのが、アーチファクトとの鑑別です。

鎖骨、肋骨、造影剤濃度差、カテーテル自体の高吸収、ビームハードニング、部分容積効果により、カテーテル周囲が低吸収に見えることがあります。

血栓を疑う所見としては、以下が参考になります。

  • 低吸収域がカテーテルに沿って連続している
  • 複数スライスで同じ位置に確認できる
  • MPRで血管内腔の造影欠損として追える
  • 骨や高吸収構造から離れても同様の所見が続く
  • 静脈拡張や側副血行路を伴う
  • 臨床的に上肢腫脹、カテーテル閉塞、D-dimer上昇などがある

逆に、1スライスだけに限局する低吸収、骨や高吸収造影剤の近傍でのみ見える低吸収、MPRで連続性がない所見は、アーチファクトの可能性を考えます。

カテーテル先端位置の確認

CVポートを見たときは、カテーテル先端位置の確認が非常に重要です。

先端位置が高すぎる場合、血管壁への接触や血流不良により、血栓形成やカテーテル機能不全のリスクになります。

一方で、先端が深すぎて右房内に入り込む場合、右房壁への刺激、血栓形成、不整脈、心タンポナーデなどが問題になることがあります。

CVポートに関するガイドラインでは、適切な先端位置は気管分岐部からcavoatrial junction付近までの範囲、または上大静脈下部から上大静脈右房接合部付近を目安とする考え方が示されています。

ただし、先端位置の解釈は施設基準、デバイスの種類、留置目的、体位、撮影条件によっても異なります。画像診断では、先端が明らかに高位すぎないか、右房内へ深く入りすぎていないか、血管壁や心房壁へ当たっていないかを確認することが実践的です。

CVポートの走行異常・迷入

CVポートカテーテルは、正常な中心静脈走行から外れることがあります。

確認すべき走行異常として、以下があります。

  • 内頸静脈や鎖骨下静脈から意図しない方向へ迷入している
  • 奇静脈、内胸静脈、対側静脈などへ迷入している
  • カテーテルが強く屈曲している
  • 皮下トンネル内で不自然な走行をしている
  • 鎖骨と第1肋骨の間で圧迫されている
  • カテーテル先端が右房内へ深く入りすぎている
  • カテーテル先端が血管壁に当たっている

走行異常があると、薬剤投与不良、血栓形成、血管損傷、薬剤漏出、カテーテル破損などにつながる可能性があります。

CTでは横断像だけでなく、冠状断像、矢状断像、MPRを用いてカテーテルを連続的に追うことが有用です。

CVポート関連合併症

CVポートでは、血栓以外にもさまざまな合併症を来すことがあります。

1. カテーテル関連血栓

カテーテル周囲の造影欠損として認めます。内頸静脈、鎖骨下静脈、腕頭静脈、上大静脈、右房内などで確認します。

2. カテーテル関連血流感染

ポート感染やカテーテル関連血流感染では、ポート周囲の皮下脂肪織濃度上昇、液体貯留、膿瘍形成、皮膚肥厚などを認めることがあります。

ただし、感染の診断は画像だけでなく、発熱、血液培養、ポート部発赤、圧痛など臨床所見が重要です。

3. ポート周囲血腫

留置後早期や抗凝固療法中では、ポート周囲に血腫を生じることがあります。CTでは皮下の高吸収〜混在濃度の液体貯留として見えることがあります。

4. 薬剤漏出

ポート針の位置不良、カテーテル破損、接続部トラブルなどにより、薬剤が皮下へ漏出することがあります。

CTでは皮下浮腫、液体貯留、炎症性変化として見えることがあります。抗がん剤漏出では臨床的な緊急対応が必要になる場合があります。

5. カテーテル破損・pinch-off syndrome

鎖骨下静脈アプローチでは、カテーテルが鎖骨と第1肋骨の間で圧迫され、損傷や断裂を来すことがあります。

カテーテル断裂片が血管内へ迷入すると、肺動脈や右心系へ移動することがあり、画像での確認が重要です。

6. カテーテル閉塞・フィブリンシース

カテーテル周囲にフィブリンシースが形成されると、吸引不良や投与不良の原因になります。

CTで直接診断が難しいこともありますが、カテーテル周囲の造影欠損や機能不全の臨床情報が手がかりになります。

 

出典

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