尿道憩室(urethral diverticulum)
・先天性と後天性あり。
・後天性の場合ほとんどは女性。
・女性の数%におこるとされる。
・留置カテーテルの長期間使用による尿道感染や損傷後、術後などに生じる。カテーテル留置はなくてもおこる。
・女性における性交時痛、排尿後の尿漏れ、排尿時刺激症状、尿路感染症の原因としてしばしば見逃されている。
・憩室は尿道の中部1/3の背外側にできるのが2/3と最多。
・尿道周囲膿瘍が尿道と交通して憩室を形成することあり。
・合併症は、憩室内感染、結石、腫瘍の発生がある。
・腫瘍では良悪性ともに発生するが、悪性腫瘍の場合、腺癌が6割程度と最多。ついで1割程度に扁平上皮癌。
・一般的に尿道憩室の壁は重層扁平上皮が最も多く、次いで移行上皮とされる。女性尿道憩室腫瘍で発生母地とは異なる組織型の腺癌の発生が多数を占める原因としては尿路の扁平上皮や移行上皮への慢性刺激により他の上皮への化生が起こり、同部より腺癌が発生するという説あり。
画像所見
・MRIで憩室は隔壁を持ち馬蹄鉄様(horseshoe shaped)の形態を呈する。液体を含んだ腫瘤としてみられる。
・内容液は、通常尿と同様の信号を示すが、粘稠度の高さにより信号パターンは変わる。
・腫瘍が発生すると、造影効果を有した腫瘤を認め、憩室内に腫瘍が充満すれば前立腺のような形態を呈する。
症例 50歳代女性
参考)画像診断 vol.31 No.4 臨時増刊号 2011 P213-214