腎動静脈奇形(Renal Arteriovenous Malformation and Fistula)
- 稀な疾患であるが、肉眼的血尿を示す。
- 特に若い患者に血塊を伴う大量血尿を認めた場合は本疾患を鑑別に挙げる。
- 先天性、後天性ともに生じる。後天性の場合は、腎生検などの外傷後など。
- 血管造影により、circoid typeとaneruysmal typeに分類される。
- circoid type:毛細血管を持たずにnidusを介して動脈と静脈がシャントを形成した病態。支配動脈は通常複数認められ、区域動脈あるいは葉間動脈より分岐していることが多い。70%に肉眼的血尿を認める。
- aneruysmal type:あらかじめ存在していた動脈瘤(あるいは静脈瘤)が動静脈shuntを形成したもの。支配動脈は通常区域動脈。無症状であり、画像診断時に偶然発見されることが多い。
- 診断には、エコー(カラードプラー)、腎ダイナミックCTによる血管再構成、MRIによるnudisの同定が有効。また血管造影では、数珠状に蛇行した血管を認める。
- 治療はかつては、circoid typeに対して腎全摘術、あるいは部分摘除術が行われたが、最近では、腎塞栓術(TAE:tarnscatheter arterial embolization)が第一選択となる。
- 先天性のものは後天性に比べて再発も多い。
症例 20歳代女性 大量血尿 (circoid type)
右腎中部に異常血管とAV-shunt形成が見られる。
(ノルアドレナリン投与にて正常血管は収縮し、腎動静脈奇形の栄養血管のみが明瞭に描出されている。ノルアドレナリンは腎動脈で使う場合、1A 1mgなので、これを100倍に薄めて(99mlの生理食塩水と混ぜて)そこから1ml取ってうち0.8ml用いる。)