骨髄脂肪腫(myelolipoma、副腎)
- 骨髄に類似した脂肪組織と造血組織からなる稀な良性腫瘍。非機能性。
- 多くは偶然発見され、片側の副腎に発生。
- 後腹膜などに発生することもある。
- 50-60歳代に多い。
- 性差はなし。
- 剖検で0.2-0.4%に見られる。
- 病理の特徴は成熟脂肪組織と造血細胞成分が混在している。
- 無症状であることが多いが、腫瘤増大による腹部膨満や、後腹膜出血による腰痛、側腹部痛、血尿、腫瘤触知が見られることがある。
- 2-20cmで発見される(平均10cm)。やや右に多い。
- ときに被膜を有する境界明瞭な腫瘤を形成することがある。
- 悪性化はしない。診断が確定すれば手術は必要ない。
画像所見
- CTでは大部分が脂肪濃度だが、造血組織の程度により軟部組織濃度を伴うことがある。
- CTでは、CT値-30~-115HUを示す。副腎腺腫は、-10~18HUを示す。
- 鑑別診断は、副腎腺腫、腎血管筋脂肪腫、腎細胞癌、副腎癌、褐色細胞腫、後腹膜脂肪腫、脂肪肉腫など。
画像診断 26:1243-1251,2006を一部改変
症例 50歳代男性 尿管結石のフォロー
単純CTで左の副腎に全体に脂肪濃度の腫瘤あり。
MRIではT1強調像のin-phaseからopposed-phaseにかけて、腫瘤の一部で信号低下あり。
脂肪の含有が疑われ、CT所見と合わせて、骨髄脂肪腫を疑う所見です。
症例 70歳代男性 myelolipoma疑い。
左副腎に脂肪濃度を示す腫瘤あり。
骨髄脂肪腫が疑われます。
症例 60歳代女性
RadioGraphics, Nov 1997, Vol. 17: 1373–1385より引用
症例 20歳代女性
RadioGraphics, Nov 1997, Vol. 17: 1373–1385より引用