第10回核医学専門医試験【解答】
1,
正解 b,c
- b. 13N 約 10 分
- c. 15O 約 2 分
2,
正解 a
- 照射線量(C/kg)
- 吸収線量(Gy=J/kg)
- 等価線量Sv=吸収線量×放射線荷重係数(確定的影響)
- 実効線量Sv=等価線量×組織荷重係数(確率的影響)
- 放射能Bq=放射能の強さのこと。Bq=dps=disintegration per second
3,
正解 a
4,
正解 d,e
- a, 正しくも誤りでもある?多いと画質は良好に、多すぎると悪化する。
- c,正しい。
- d,誤り。300kev以上は、ガンマカメラの特性は良くない。131Iの画像を見れば分かる。ガンマカメラは、エネルギーが100kev〜200kevが最適とされている。そのため99mTcの140kevが最適と言われています。
- e,正しくも誤りでもある?ピンホールコリメータなら画質は良くなる。近づけすぎると?
5,
正解 b
6,
正解 a,e
- a,単光子放出核種ではなく3種類のγ線(193,185,300keV)を放出する。
- b,正しい。
- c,正しいが、Basedow病でも用いられる。
- d,82Rbは、68Ga, 62Cuなどと同じく、金属のポジトロン各種
- e,誤り。89Srである。
7,
正解 c,d
- a,ジェネレータ。
- b,66時間。
- c,正しい。
- d,正しい。
8,
正解 a,e
- 標識時に加熱が必要なのは、99mTc-MIBI、99mTc-MAG3。
9,
正解 b,c
- 汎用の脳血流シンチ製剤を選べば良いみたい。
10,
正解 c
- 99mTc-MAAは肺動脈末梢の前毛細血管床を塞栓する。この塞栓は微小であり、数時間で網内系により血液から排除され、尿中へ排泄される。
11,
正解 d,e
- a,サイクロトロン。
- b,110分。
- c,非常に不安定な陽電子(positron)が、周りにある陰電子と衝突して消失する。その際に消滅放射線のエネルギーが180°の方向に2本出てそれを対向する2つの検出器で計測する。
参考)【まとめ】FDG-PET検査の原理は?SUVとは?生理的集積は?
12,
正解 c,e
- a,正しい。調製作業は安全キャビネット内において無菌操作で行う。
- b,正しい。調製後の溶液を希釈すると 99mTc 放射性医薬品の分解が起こり、放射化学的純度が低下することがある。
- d,正しい。バイアルを陰圧に保つため注入した液量と同じ量か少し多めのバイアル内の不活性 ガスをシリンジに抜き取ってから針を抜くようにする。
- e,99mTc-HMPAOは、ジェネレータから溶出後 2 時間以上経過していない99mTcO4 − 溶液を用いて調製するようだが。参考)セレブロテック ® キット
13,
正解 b,c
- 過去に全く同じ問題が出ている。
- a,d 誤り。
- e, 誤り。純β線核種の場合、鉛容器で保存すると制動放射線が出て、被ばくが増える。
14,
正解 eと?
- a,正しそう。
- b,正しそう。
- d,誤り。「放射能化学的純度」は、同じ核種だけど、
結合している化合物が違うもの。化合物のほうを調べたいので、 各種クロマトグラフィー、電気泳動、沈殿方などで分析する。ちなみに、「核種」の確認には、放射線エネルギースペクトル、 半減期、吸収係数などの測定が行われる。 - e,誤り。無菌検査のみは半減期14日以内の場合は、結果を待たずして出荷して良い。つまり、患者投与後の「事後検定」が認められている。エンドトキシン試験は認められていない。
15,
正解 a,e
- a,正しい。free となったヨードの甲状腺集積を低下させるという点で、
ヨード剤投与は被ばく低減に有効 - d, 誤り。核医学の場合は、投与された核種からのみ放射線がでる。
ctなどの外部から放射線をあてる装置と違い、「撮像」 時間は被ばく量には関係しない。
16,
正解 a,b
17,
正解 a,e
関連)MIRD法まとめ
18,
正解 b,c
- d,皮膚の等価線量限度は 500 mSv/ 年である.
- e. 妊娠中の腹部表面の等価線量限度は妊娠の事実を知ったときから出産まで 2 mSv である.
19,
正解 d,e
- 障害防止法は、リニアックや、小線源など。ただし、シードを挿入した後の、シード線源は、医療法。患者に挿入する前の線源は、障害防止法。PETの製剤を製造するサイクロトロンは、加速器なので障害防止法。PET-CTの装置内に搬入されている校正線源は、障害防止法。
- RIで行う検査と治療は、全て医療法。PET診療も医療法。
20,
正解 a
21,
正解 a,b
- a,123I-iomazenilは中枢性ベンゾジアゼピン受容体への特異的結合。部分てんかんが適応。
- b,123I-IMP は脳血「液」量ではなく、脳血「流」量。
- d,脳血「流」量の測定には、15O-H2Oの静脈注射もしくは15O-CO2の吸入を用いる。C15O は脳血「液」量なので正しい。(参考:わかりやすい核医学P41)
- e,11C-methionineはアミノ酸トランスポーターを介して腫瘍細胞へ取り込まれる。アミノ酸代謝に関する機能画像を得ることができる。
22,
正解 a,e
- e,グレードが高いほど集積が高い傾向がある。FDG集積と悪性度が相関していることが知られている。(参考:わかりやすい核医学P205)
23,
正解 b
- b,123I-IMPは投与後20-30分後に撮影開始する。
- b,e,99mTc-ECD,99mTc-HMPAOは5-10分後に撮影開始する。
24,
正解 d
- d,パーキンソン病なら正しい。
25,
正解 b,d
- b,正しい。参考)Rubidium-82 心筋血流 PET – 日本心臓核医学会
- a,心筋脂肪酸代謝は123I-BMIPP
- c,心筋糖代謝は18F-FDG
- e,心臓交感神経機能は123I-MIBG
26,
正解 d
- d,心臓の活動性病変の評価を行う場合は、正常心筋への取り込みを抑える必要がある→炭水化物の制限が重要、最低でも12時間以上の絶食を行う。一方で、同じ18F-FDG PETであっても心筋バイアビリティの評価の際には、障害心筋をよりわかりやすくするために、正常心筋の生理的な集積を亢進させる必要があるので、検査前に血糖値を測定し、90mg/dl以下であれば糖負荷を行う。(参考:わかりやすい核医学P82)
- e,びまん性集積を認めた場合は、診断が困難。
27,
正解 a
参考)タリウムシンチ(201Tl-Chlorideシンチ、腫瘍シンチ)
28,
正解 c
29,
正解 a,b
- c,筋肉への集積が増え、脳の集積は低下する。
- d,インスリン負荷で筋肉への集積が増加する。
- e,尿路なので、尿路への生理的集積を認める。また、尿路腫瘍は判別困難なことが多い。
30,
正解 b,e
- a,c脳血流シンチグラフィ
- d,骨シンチグラフィ
- e,肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH)においてみられる小斑状不均一分布をmottled patternという。mottleは「まだら」という意味。
31,
正解 d
- d,細い注射針で注射をすると粒子径が小さくなり肝臓への取り込みがみられその後に腎排泄されることがあるので、21G以上の注射針を使う。(参考:わかりやすい核医学P95)
32,
正解 a,d
- a,これが99mTc-GSAの利点。他肝予備能の指標には、アンチトロンビンⅢ、ビリルビン、プロトロンビン時間、ICG排泄、Child-Pugh分類などがある。
- d,HH15の値が大きいほど心臓に3分後に対する15分後の心臓への集積が大きく、肝機能障害あって心に停滞していることを意味する。
33,
正解 c
- a,正しい。99mTc-DMSAは尿路感染症、VUR、腎瘢痕、腎梗塞に適応となる。
- b,e, 99mTc-MAG3はACEI負荷により腎血管性高血圧症、ラシックス負荷により水腎症の診断が可能。
- c,精巣シンチグラフィでは、99mTcO4–、99mTc-HSA-D、99mTc-HSAが用いられる。参考)http://amcor.asahikawa-med.ac.jp/modules/xoonips/download.php/2003082368.pdf?file_id=1935
- d,99mTc-DTPAは急性腎不全、慢性腎機能障害、腫瘤病変、腎梗塞、腎移植などの診断が可能。(参考:わかりやすい核医学P178)
34,
正解 a,c
- 標識不良により、99mTcO4–が甲状腺、胃粘膜、唾液腺などに集積することがある。
- 気管軟骨や正常乳房にも生理的集積をきたすことがある。参考)骨シンチグラフィの臨床
- また、過度のジェネレーター溶出液内アルミニウムの摂取により、99mTc-MDPはコロイドを形成し、肝臓や脾臓に集積することがある。(参考:わかりやすい核医学P151)
35,
正解 dと?b?a?
- d,99mTc-HMDP は 99mTc-MDP よりも水酸基が多く、骨集積性が高く尿中排泄が早い。
- e,直前に排尿させる。
36,
正解 c
- a,遊離131Iが甲状腺に集積するのを防止するため、ヨウ素製剤で甲状腺ブロックを行う。
- c,撮像は通常放射性医薬品静注 7日目以降に行う
37,
正解 a,c
- センチネルリンパ節検索に用いられる放射性薬剤はa,c,99mTc-HSA
- e,MAAのこと。肺血流シンチで用いる。
38,
正解 b,d
d,抗甲状腺薬により重篤な副作用(無顆粒球症など)が生じて放射性ヨード治療を行う 場合は、甲状腺機能低下症に移行する確実な投与量の選択が勧められる。 将来、甲状腺機能低下症に移行する可能性が高いことを充分に説明し、同意を得た 上で、治療量を決定する。 (バセドウ病の放射性ヨード内用療法に関するガイドライン)
39,
正解 b,d
a, 89Srが骨転移に対する内用療法に用いられる。
40,
正解 d
- 甲状腺シンチで甲状腺両葉の集積の亢進あり。バセドウ病を疑う。
41,
正解 c,e
42,
正解 a
- b,誤り。CD20陽性の再発または難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫に用いられる。
- c,誤り。再発または難治性。
- d,誤り。外来で可能。
43,
正解 d,e
- 後部帯状回〜楔前部、頭頂連合野に血流低下あり。アルツハイマー型認知症を疑う。
- a,誤り。幻視はDLB。参考)レビー小体型認知症(DLB)の画像診断の特徴!
- b,誤り。保たれていない。
- c,誤り。保険適応になっている。
44,
正解 a,c?
- d,e 症状が記載されておらず違うか?
- c、後部皮質萎縮症は視空間認知障害を中核とする。
- 両側の頭頂葉及び側頭葉に血流低下あり。MIBG心筋シンチでは有意な集積低下なし。
45,
正解 a,d
- 右側頭葉後部、後頭葉、頭頂葉、前頭葉に梗塞様病変あり。また年齢を考慮すると大脳半球の萎縮あり。右優位に頭頂葉、後頭葉、側頭葉の血流低下あり。他の臨床所見と合わせてMELASを疑う所見。
- a,脳卒中発作急性期にはてん かん発作を高率(75%)に認めるのが最大の特徴。参考)MELAS の脳卒中様発作の病態と治療
- b,誤り。母系遺伝。
46,
正解 a,d
- 左内頚動脈の閉塞あり。また脳血流では左の前頭葉及び側頭葉、頭頂葉に血流低下あり。
- アセタゾラミド負荷により血流予備能を認めていない。
47,
正解 e
- 負荷により全体の血流低下を認めている。これは過換気の状態で見られる。
刺激と血流増加部位の関係
- 聴覚刺激:両側側頭葉のHeschl回の血流増加(13回核医学専門医48番)
- 視覚刺激:後頭葉内側の血流増加
- 指運動:運動側と反対側の高位中心溝周辺領域(ローランド領)の血流低下
- 一般的な運動刺激:反対側の補足運動野(前頭葉内側面で運動野の前方)と同側小脳の血流増加
- 過換気:全脳血流量の低下(10回核医学専門医47番)
- 咀嚼運動:両側弁蓋部からローランド領中下部の血流増加(3回核医学専門医20番)
48,
正解 a,e
- 右前頭葉皮質下にDWI高信号、Gdにて造影効果あり、血流増大あり。
左頭頂葉は血流増大ははっきりしない。 - Tlは、ふつう脳は集積しないので、
おそらくBBB破綻を示唆している。 DWI多発高信号が多発梗塞をしめし、 右前頭葉では出血を伴って造影効果やTl集積が見られたのかなと 推測
49,
正解 a
50,
正解 a,d
- b,誤り。運動負荷では最大負荷時に血流製剤を投与するが、ガンマカメラで撮像するのは投与後1時間以内の時間を空けてから。
- e,誤り。虚血性心疾患に適応がある。
51,
正解 d
- 左前下行枝領域に虚血を認める。
- 安静時EF 65% 負荷時59%。負荷時の5%以上の低下はpost-ischemic stunningと呼ばれ重症心筋虚血を示唆する指標とされる。(臨床画像 vol.31,No.4増刊号,2015)
52,
正解 b,d
- たこつぼ型心筋症。左室造影が特徴。精神的ストレスが先行することが多く、夫の葬儀中と記載があるのはそのため。参考)たこつぼ型心筋症について
- b,発症後1-2日後に陰性T波が深くなる。その後一旦浅くなるが、再び陰性T波が深くなる。ただし数ヶ月以内には正常になる。
- d,血流と脂肪酸代謝の解離、ミスマッチが重要。血流は改善しても、脂肪酸代謝の異常は遷延して残るため。心筋疾患で有用。
53,
正解 e
54,
正解 c
LADの支配域の関係
55,
正解 b
56,
正解 a,c
57,
正解 e
- IVLが疑わしい。
58,
正解 c
- 左上葉に原発巣あり。腫瘍径は3-7cmに入っているか。→T2
- 同側の縦隔にリンパ節転移あり。→N2
- 膀胱の右側の集積は?これが転移でないならば、T2N2M0でstageⅢAとなる。
59,
正解 a,e
- a,誤り。唾液腺シンチグラフィは99mTcO4–
- e,誤り。甲状腺へのびまん性集積がみられるが、甲状腺シンチ目的で行われる99mTcO4–とは投与する放射線量が異なるため、有意とはいえず。
60,
正解 a,e
- 多発リンパ節転移あり。骨シンチにおいて多発骨転移あり。両側腎臓の集積がはっきりせず、いわゆるbeautiful bone scanか。前立腺癌の多発骨転移、リンパ節転移の疑い。
46ですが、こたえはa.cではないでしょうか?もともと左内頸動脈に狭窄があるので血行力学的TIAかと思うのですが、、、いかがでしょうか?