先に結論:レントゲン・CTの被ばく
- 胸部レントゲン1回は約0.06mSvで、日本で1年間に自然に受ける放射線(約2.1mSv)の数十分の1です
- CTは1回約2〜15mSv(部位で違う)。がんの増加がわかり始めるとされる100mSvよりかなり少ない量です
- 妊娠中:頭・胸・手足の撮影なら赤ちゃんにはほとんど届きません。おなかのCTでも、ふつうの検査で赤ちゃんに影響が出る量(100mGy)を超えることはまずありません
- 授乳中:レントゲン・CTのあとに授乳をやめる必要はありません(放射線は体に残りません)
- 心配なときは「この検査で何がわかるか」「ほかの方法はないか」を主治医に聞くのがいちばんです
検査ごとの被ばく量の目安

被ばくの量はmSv(ミリシーベルト)という単位で表します。
| 検査 | 被ばく量の目安 |
|---|---|
| 胸部レントゲン(1回) | 約0.06mSv |
| マンモグラフィ(1回) | 約0.4mSv |
| 頭部CT | 約2mSv |
| 胸部CT | 約3〜10mSv |
| 腹部・骨盤CT | 約5〜15mSv |
| PET-CT(全身) | 約5〜15mSv |
| (参考)日本の自然放射線 1年 | 約2.1mSv |
値は機械や体格、撮り方(造影の有無・撮る回数)で変わります。最近のCTは被ばくを減らす工夫(低線量撮影・画像再構成の技術)が進んでいます。
どのくらいから体に影響があるの?
放射線の影響は、大きく2つに分けて考えます。
- やけど・脱毛などの影響:一度に数百mSv〜数千mSv以上を受けたときに起こるもので、ふつうの画像検査では起こりません
- 将来のがんの増加:100mSvを超えるあたりから、わずかに増えることがわかっています。100mSvより少ない量では、がんが増えるかどうかははっきり確認されていません
ただし「念のため何度も」は避けたいので、同じ時期に別の病院で同じ検査を受けたときは、そのことを医師に伝えましょう。画像を持参すると撮り直しが減らせます。
妊娠中・妊娠の可能性があるとき
- 国際放射線防護委員会(ICRP)は、赤ちゃん(胎児)が受ける量が100mGy未満なら、奇形などのリスクが上がるとは考えにくく、検査を理由に妊娠をあきらめる必要はない、としています
- 頭部・胸部・手足のレントゲンやCTでは、おなかの赤ちゃんが受ける量はごくわずかです
- 腹部・骨盤のCTでも、ふつうは数mGy〜数十mGy程度です
- それでも、妊娠の可能性があるときは検査前に必ず伝えるのが原則です。おなかの検査はMRIや超音波(エコー)に変えられることもあります
授乳中にレントゲン・CTを受けてもいい?
- レントゲンやCTの放射線は体に残らないので、検査のあとすぐに授乳してかまいません
- 造影剤(ヨード)を使うCTでも、母乳に出る量はごくわずかで、赤ちゃんの腸からもほとんど吸収されないため、ふつうは授乳を続けてかまわないとされています。気になる方は医師と相談のうえ、24時間ほど空ける方法もあります(CT造影剤(ヨード)を授乳婦に使う場合、乳児への影響は?)
- PET検査やシンチグラフィ(薬を注射する検査)は別です。薬が体に残るので、授乳を数時間〜しばらく空けるよう指示されることがあります。施設の案内に従ってください
子どもの検査は?
子どもは大人より放射線の影響を受けやすいとされるため、子ども用の少ない線量で撮影したり、エコーやMRIで代わりができないかを検討したりします。必要と判断された検査は、受けるメリットのほうが大きいと考えてよいでしょう。英国で22歳未満にCTを受けた約18万人の調査では、累積で約50mGyの被ばくで白血病、約60mGyで脳腫瘍のリスクがおよそ3倍になると推定されました。ただしもともと少ない病気のため実際の増加はわずかで、10歳未満で頭部CTを受けた場合、10年間で1万回の検査あたり白血病・脳腫瘍がそれぞれ約1人増える程度とされています。
MRIやエコーは被ばくする?
MRI(磁気)と超音波(エコー)は放射線を使わないので、被ばくはありません。CTとMRIの違いは 「CTとMRIの違い」 で詳しくまとめています。
まとめ
- レントゲン1回の被ばくは自然放射線の数十分の1、CTは1回約2〜15mSv
- がんの増加がわかり始める100mSvよりかなり少ない
- 妊娠の可能性があるときは検査前に必ず伝える。授乳はレントゲン・CTなら続けてよい
- 心配なときは、検査の目的とほかの方法を主治医に聞く
参考:環境省「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料」、ICRP Publication 84「妊娠と医療放射線」、日本医学放射線学会ほか。数値は代表的な目安です。個別の判断は主治医にご相談ください。
▶ ほかの所見も調べる:健診・人間ドックの画像検査で言われやすい所見一覧
参考文献
- Mettler FA, Huda W, Yoshizumi TT, et al. Effective doses in radiology and diagnostic nuclear medicine: a catalog. Radiology. 2008;248(1):254-263. PubMed
- Committee Opinion No. 723: Guidelines for Diagnostic Imaging During Pregnancy and Lactation. Obstet Gynecol. 2017;130(4):e210-e216. PubMed
- Pearce MS, Salotti JA, Little MP, et al. Radiation exposure from CT scans in childhood and subsequent risk of leukaemia and brain tumours: a retrospective cohort study. Lancet. 2012;380(9840):499-505. PubMed
- Wang PI, Chong ST, Kielar AZ, et al. Imaging of pregnant and lactating patients: part 1, evidence-based review and recommendations. AJR Am J Roentgenol. 2012;198(4):778-84. PubMed
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