当直医のための死亡診断書の書き方

当直中に患者さんが亡くなったとき、当直医が死亡診断書を書くことがあります。普段あまり書かない医師にとっては、どこに何を書くか迷いやすい書類です。このページでは、厚生労働省の「死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル」令和8年度版に沿って、当直医が押さえておきたい書き方のポイントをまとめました。

結論:当直医が押さえる5つのポイント

  1. 死亡診断書か死体検案書かを見きわめる
  2. 生前に診ていなくても、生前の情報を正確に把握できれば死亡診断書を書ける
  3. 「死亡したとき」は確認した時刻ではなく亡くなった時刻
  4. 死因はⅠ欄に因果関係の順で、最下欄が原死因になるように書く
  5. 「心不全」「呼吸不全」など終末期の状態だけを書かない

死亡診断書と死体検案書の使い分け

書類 書く場面
死亡診断書 診療していた患者さんが、生前に診療していた病気に関連して亡くなったとき
死体検案書 それ以外。診療中でない人が亡くなったときや、診療中の病気と関連しない死亡のとき

どちらの場合も、異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出ます。くわしくは異状死の届出をどうぞ。

当直医でも死亡診断書を書ける?

生前にその患者さんを診ていなかった当直医でも、同じ病院のカルテなどで、生前の心身の状態を正確に把握できた場合に限り、亡くなったあとに診察して死亡診断書を書くことができます。把握できない場合は、死体検案書になります。

また、「最後の診察から24時間を過ぎたら警察に届ける」というのは誤解です。24時間を過ぎていても、亡くなったあとに改めて診察し、生前に診療していた病気に関連する死亡と判断できれば、死亡診断書を書けます(平成24年8月31日 厚生労働省通知)。

欄ごとの書き方のポイント

死亡したとき

  • 死亡を確認した時刻ではなく、亡くなった時刻を書く
  • わからない場合は推定し、「(推定)」と添える
  • 救急搬送中に亡くなった場合に限り、医療機関で確認した時刻に「(確認)」と添える
  • 夜の12時は「午前0時」、昼の12時は「午後0時」と書く

死亡の原因(Ⅰ欄・Ⅱ欄)

  • Ⅰ欄:(ア)に直接の死因を書き、(イ)(ウ)(エ)に、その原因を医学的な因果関係の順に1つずつ書きます。いちばん下に書いた病気が「原死因」として統計に使われます。
  • Ⅱ欄:直接には死因に関係しないが、Ⅰ欄の経過に影響を与えた病気を書きます。
  • それぞれの病気について、発病(発症)から死亡までの期間を書きます。1日未満なら時間・分で書きます。

死因や期間は、カルテを確認し、わからなければ主治医に確認しましょう。

よくある誤り

避けたい書き方 どう書くか
病気の終末期の状態としての「心不全」「呼吸不全」 その原因になった病気を書く
「多臓器不全」「出血性ショック」だけ 原因があれば、その下の欄に書く
略語(AMI、SAHなど) 急性心筋梗塞、くも膜下出血と書く
「肺炎」「大腸癌」 わかる範囲で病原体や部位を書く(MRSA肺炎、S状結腸癌など)
「寝たきり」「転倒」など病名でないもの 病名を書く
ほかに死因がある場合の「老衰」 老衰は、ほかに書くべき死因がない自然死の場合に限る
死因の欄を空欄にする まだわからないときは「不詳(検索中)」などと書く

書き終えたら

  • 訂正:二重線で消し、余白に訂正した旨を書いて署名します。
  • 署名:氏名欄は医師本人が署名します。
  • ご家族への説明:求められたら、内容をできるだけ丁寧に説明します。
  • その後:ご家族が死亡届に添えて市区町村に提出し、火葬許可証などが交付されます。死亡届は、亡くなったことを知った日から7日以内です。

死亡確認の手順やご家族への言葉は医師の死亡確認の手順にまとめています。

まとめ

当直医が死亡診断書を書くときは、診断書か検案書か、死亡した時刻、死因の因果関係の3つを特に注意しましょう。迷ったときは、厚生労働省の記入マニュアルを確認し、上級医や主治医に相談するのが安全です。

参考資料

最終更新:2026年10月