死亡確認でご家族にかける言葉 場面ごとの例

当直で死亡確認をするとき、手順よりも迷うのが「ご家族に何と言えばいいか」です。初めて会うご家族の前で、短い言葉で、でも冷たくならないように伝えるのは、慣れていないと難しいものです。このページでは、入室から退室までの場面ごとの言葉の例と、避けたい言い方をまとめました。手順そのものは医師の死亡確認の手順をどうぞ。

結論:言うことは3つだけ。ゆっくり、短く

  1. 名乗る:「当直医の○○です。確認させていただきます。」
  2. 時刻と事実を伝える:「○時○分、死亡を確認しました。お亡くなりになりました。」
  3. ねぎらう:「ご本人も、ご家族も、よくがんばられました。」

長い説明はいりません。大切なのは、落ち着いた声で、ゆっくり、ご家族のほうを向いて伝えることです。言葉そのものより、話す速さや姿勢のほうが印象に残ります。

場面ごとの言葉の例

場面 言葉の例 ポイント
入室したとき 「失礼します。当直医の○○です。」 一礼してから。ご家族の人数と、誰がキーパーソンかを看護師さんに聞いておくと安心です
確認を始める前 「これから確認させていただきます。」 ご家族に、そのまま近くにいてもらってかまいません
確認しているとき (声をかけなくてよい) 聴診・対光反射・脈の確認は、急がず丁寧に。ご家族は手元をよく見ています
確認が終わったとき 「○時○分、死亡を確認しました。お亡くなりになりました。」 時刻は腕時計で。スマホを見ながら言わない
そのあと 「最期までよくがんばられました。」「ご家族がそばにいてくださって、ご本人も心強かったと思います。」 事実として言えることだけを言う(下の「避けたい言い方」も参照)
退室するとき 「しばらくご家族でお過ごしください。このあとのことは、看護師からご説明します。」 一礼して退室。お別れの時間をとってもらう

「ご臨終です」は使ってもいい?

「ご臨終です」は昔から使われてきた言い方で、間違いではありません。ただ、今は時刻と事実をそのまま伝える言い方のほうが一般的です。

  • 「○時○分、お亡くなりになりました。」
  • 「○時○分、死亡を確認いたしました。」

どちらでもかまいません。大事なのは、時刻をはっきり伝えることです。この時刻は死亡診断書に書く時刻にもつながります(死亡時刻の考え方は死亡診断書の書き方を参照)。

避けたい言い方・ふるまい

避けたいこと 理由・言いかえ
専門用語(「心停止」「瞳孔散大」「対光反射消失」など) ご家族には伝わりにくい。カルテには書くが、口では「お亡くなりになりました」で十分
死因を言い切る(「○○が原因です」) 当直医は経過をよく知らないことが多い。「くわしい経過は、主治医からご説明します」と伝える
「苦しまずに亡くなりました」と断言する 見ていないことは言わない。聞かれたら「看護師さんの記録では、最期は落ち着いておられたようです」など、わかる範囲で
ご家族が間に合わなかったことに触れて責める・慰めすぎる 「間に合わなかった」は言わない。「来てくださって、ご本人も喜んでおられると思います」
前の治療や主治医の判断を評価する 当直医が知らない経緯がある。評価や推測は口にしない
急いでいる様子(早口・時計を何度も見る・PHSに出ながら) 可能なら急ぎの連絡は看護師さんに預け、確認の数分間は目の前のご家族に集中する

こんなときはどう言う?

ご家族がまだ病院に着いていないとき

ご家族の到着を待ってから確認するかどうかは、病院の方針や主治医の指示によって違います。事前に看護師さんや主治医の指示を確認しておきましょう。到着を待つ場合も、待たずに確認した場合も、ご家族が来られたら「当直医の○○です」と名乗り、確認した時刻を落ち着いて伝えます。

ご家族から質問されたとき

  • 「なぜ亡くなったのですか」:わかっている病名の範囲で答え、くわしい経過は主治医から説明があることを伝えます。
  • 「このあとはどうすればいいですか」:お別れの時間のあと、看護師から説明があることを伝えます。死亡診断書は医師が書いてお渡しします。
  • 答えられないこと:「申し訳ありません、私は当直でくわしい経過を存じ上げないので、主治医から説明させていただきます」と正直に。

異状がありそうなとき

経過から説明できない死亡や、外傷など異状が疑われるときは、ご家族への言葉より先に、上級医への相談と警察への届出(医師法21条)が必要かを判断します。くわしくは異状死の届出(医師法21条)をどうぞ。

当日あわてないための準備

  • カルテで病名・経過・DNARの有無・キーパーソンを確認しておく
  • 聴診器・ペンライト・腕時計を持っていく(当直バイトの持ち物リスト)
  • 言う言葉(上の3つ)を一度口に出しておく

まとめ

死亡確認で伝える言葉は、名乗る・時刻と事実を伝える・ねぎらうの3つで十分です。ゆっくり、短く、ご家族のほうを向いて伝えましょう。わからないことは言い切らず、主治医からの説明につなげるのが安全です。

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最終更新:2026年10月