第12回核医学専門医試験【解答】
1,
正解 e
- a,α 壊変では,娘核種は親核種より,質量数は4減り、原子番号が 2 つ減る。質量数が変化するのはこのα 壊変のみ。
- b,β− 壊変では,娘核種は親核種より,原子番号が 1 つ増える。
- c,β+ 壊変では,娘核種は親核種より,原子番号が 1 つ減る。
- d,軌道電子捕獲では、原子番号が1 つ減る。
- e,核異性体転移ではΓ線を放出し、原子番号と質量数は変わらない。
2,
正解 a
- a, 67Gaは93,185,300keVの3種類の異なるエネルギーのγ線を放出している。
- b,99mTcは核異性体転移によりγ線を放出している。
- c,111Inは171,245keVの2種類の異なるエネルギーのγ線を放出している。
- d,123Iはγ線のみ放出している。
- e,201Tlの半減期は約3日である。他、67Ga、111Inも約3日である。
3,
正解 d
d,等価線量Sv=吸収線量×放射線荷重係数(確定的影響)。吸収線量が同じでも、放射線の種類により影響は異なるのでそれを加味(放射線荷重係数)した値。
4,
正解 a
- 30000cpm→30000/60cps=500cps
- 数え落としの割合=500cps×120μs=500ps×120×10-6s=0.06
5,
正解 c
- a,正しい。
- c,SPECT撮像では、減弱や散乱線による画像の劣化、コリメータ装着による深さ方向の空間分解能の劣化があるため、減弱補正や散乱線補正が重要。
6,
正解 c
- a,正しい。参考)SPECT画像作成のための基礎知識 – 核医学の基礎を学ぶ会
- b,正しい。参考)日本画像医療システム工業会規格 P29
- d,正しい。
- e,正しい。
7,
正解 a,b
- 脳血流シンチのSPECTの定量化はARG法が代表。
- 安静時とダイアモックス負荷を同日に行うのがdual table ARG法。
- ECDやHMPAOではPatlak-plot法が用いられる。
8,
正解 a,e
- FBP法(フィルタ補正逆投影法):解析学。
- MLEM法、OSEM法:統計学。繰り返しの式(逐次式)を算出している。
- a,正しい。
- b,ポアソン分布に従う。
- c,与える。
- d,サブセット数を多くするほど画像再構成に必要な計算時間は短くなる。
- e,正しい。
9,
正解 d
- a,サイクロトロンにより産生される。
- b,110分。
- c,陽電子が放出する消滅放射線を検出する。
- d,正しい。
10,
正解 b
11,
正解 d
- c,正しい。(参考:わかりやすい核医学P11)
- d,還元剤が必要。
関連問題)11回11番 99mTc 製剤の標識はパーテクネテートを酸化することで行う.→誤り。還元。
12,
正解 d
- 123I-IMPは脳血流との直線性がよく、特に高血流領域の定量性に優れる。参考)よくわかる核医学P38表1
- しかしさらに直線性を保つのが15O-H2O。
13,
正解 d
14,
正解 a
15,
正解 a
a,123I-iomazenilは中枢性ベンゾジアゼピン受容体。
16,
正解 b c?
c,誤り?発熱性物質試験は毎回確認。
17,
正解 d
- a,誤り。
- c,誤り。検定日時とは、この日時に表示された放射能を、該当医薬品が有することを示すもの。
- d,正しい。13回にも、「純度試験における放射化学的異物とは、その医薬品の放射性核種とは
異なる核種の混合物である」という問題を、誤りで、「同一放射性核種を含む」という点が問題にされている。 - e,誤り。放射性医薬品を体内に投与して、放射性核種が放出する放射線を体外から計測して画像表示するのがインビボ核医学診断。甲状腺機能亢進に対して、妊娠可能女性に99mTcパーテクネートを行なっていることからも誤りとわかる。
18,
正解 b
- a, 誤り。99mTcO4 − を塩化第一スズ(SnCl2)などで還元することで、種々の配位子と結合して錯体を形成する。(参考)わかりやすい核医学P10
- c,誤り。激しく振とうしない。標識率が低下する恐れがある。
- e,誤り。化学的純度測定法はペーパーストリップ式である。
19,
正解 a
- MIRD法は内部被曝を計算する方法。累積放射能にS値を掛けることで得られる。
20,
正解 c
- a,b,d,e:職業被曝
- c,患者の被曝のほかボランティアの被曝も医療被曝に分類される。
21,
正解 e
- a, 5mSv/3ヶ月。公衆被ばくは1mSv/年。
- b,誤り。
- e,正しい。1ヶ月ごとに測定するが、結果報告書には、3か月毎に集約する(四半期ごと)の結果を載せる。
- 参考)e-Gov 法令検索 電離放射線障害防止規則
22,
正解 e
- b, 1 年間に 50 mSvかつ5 年間に 100 mSv
23,
正解 a
- b,体表面から 1 m の距離における線量率が 30 Sv/h のときは退室できる.
- c, 131Iは500MBq以下。200 MBq 以下はSr。
- d,過渡平衡なので誤り。
- e,RI 治療病室の画壁の外側の線量基準は 1 mSv/週である.
24,
正解 a
- a,安静時脳血流量は低下するが、脳酸素摂取率 (OEF)は増加する。
25,
正解 d
- a,b,123I-iomazenilがてんかんの焦点部位の検索に用いられる。
- c,静注時に疼痛を生じることがあるため、ゆっくり注射する。
- e,ドパミントランスポーター
26,
正解 e
- b,心電図同期収集での R-R 分割数は8-16分割して心臓の動きを捉える。としか調べた限り記載がない。
- c,201TlClは一回で良い。
- e,正しい。心筋描出率 Tl85%, Tc55%
27,
正解 d
- a,正しい。三環系抗うつ剤、抗精神病薬や降圧薬であるレセルピンやカルシウム拮抗薬も休薬する。最低1-2週間以上。(参考:わかりやすい核医学P71)
- b,正しい。アデノシンだけでなくジピリダモール、ATPにおいても薬剤負荷の場合は、喘息は禁忌。
- d,ガイドラインでは、カフェインは12時間以上の摂取禁止。
28,
正解 c
- a,201TlClも99mTc製剤共に、負荷時の肺への集積上昇は、左室充満圧の上昇や左室機能障害と関連すると報告されている。
- c,一過性内腔拡大(TID:transient ischemic dilatation)は安静時と比較して負荷時に左室が一過性に拡張することを言い、多枝病変や広範な虚血により認める。
- b,d,eは正しいとして覚えておく必要ありか。eは過去問でよくある問題。
29,
正解 a
30,
正解 b
31,
正解 a
- e,寒冷刺激で褐色脂肪細胞へのFDGの集積が増大する。
32,
正解 d
消化管出血シンチグラフィ
- 99mTc-(Sn)コロイド:投与後15分間の出血しか検出できない。
- 99mTc-RBC、99mTc-HSA:投与後24時間の間歇性出血を検出できる。
を用いる方法がある。
今は3時間後と記載があるので、dが正解。
よりわずかな出血でも検出できるのは前者。
33,
正解 c
- a, 99Mo を親核種とするのは99mTc。81mKrの親核種は81Rb(ルビジウム)。
- b, 4.6時間。
- c, 正しい。81mKr 注射液を溶出する場合には、5%ブドウ糖注射液等の非電解質注射液を用いる。
- d,e, 81mKr ガスを溶出する場合に加湿した酸素または空気を用いる。
参考)クリプトン(81mKr)ジェネレータ サイクロトロンRI製剤 製品情報
34,
正解 b
- a,使用する医薬品は99mTc-MAA(macroaggregated human serum albumin(大凝集ヒト血清アルブミン))。他には、81mKrでも血流検査は可能。
- b,正しい。過去にも、肺血流シンチで「静脈注射時に、シリンジ内で血液と混和してはいけない。」という選択肢あり。
- c,誤り。頻出問題。
- d,誤り。息止めはしない。咳と数回の深呼吸をさせてから3-5回の呼吸の間にゆっくりと静注する。(参考:わかりやすい核医学P95)
- e,99mTc-MAAは肺動脈末梢の前毛細血管床を塞栓する。
35,
正解 d
- d, 蛋白漏出性胃腸症の検出は99mTc-HSA-Dで可能。ただし、消化管出血と蛋白漏出性胃腸症の鑑別はできない(わかりやすい核医学P170)
門脈シンチグラフィ
- 門脈大循環シャントの診断目的で施行される。
- 直腸内投与法が一般的。
- 201TlCl、123I-IMP、99mTcO4–が用いられる。
36,
正解 d
- 99mTc-RBC、99mTc-Sn コロイド、99mTc-フチン酸、99mTc-HSAはいずれも消化管出血シンチグラフィで使用される。
37,
正解 b
38,
正解 e
3 相骨シンチグラフィ
- 病巣の血流を評価する目的で行われる。
- ①早期相:静脈注射後直ちに(血流イメージ)
②血液プール相:5-10分後(血液プールイメージ)
③遅延相:2-3時間後(通常の骨シンチ)の3相撮影する。 - 急性骨髄炎(①〜③↑)と蜂窩織炎(①、②↑、③→)の鑑別に用いられる。
- 反射性交感性ジストロフィ(Reflex sympathetic dystrophy:RSD)においても診断に有用(①②↑、③で関節周囲に異常集積)。
39,
正解 e
40,
正解 b
41,
正解 c
42,
正解 e
- a,前処置にはヨード制限と甲状腺ホルモンの補充療法の中止を行う。これにより甲状腺刺激ホルモンであるTSHを上昇させておき、甲状腺がんへの131Iの取り込みを促す。
- b,多発転移例にも行われるが、1cm未満という規定はない。
- c,分化型である乳頭癌,ろ胞癌に適応がある。
- e,正しい。講習会の受講は医師以外に診療放射線技師も必須でしょうか?→各施設医師および診療放射線技師各1名の受講が治療施行に際して必須です。(引用:I-131(1110MBq)外来投与適正施行講習 Q&A – 日本核医学会)
43,
正解 e
- 脳血流において、後部帯状回〜楔前部、側頭葉後方部から頭頂連合野に血流低下あり。ADを疑う所見。123I-MIBG 心臓交感神経シンチグラフィで低下を認めているため、DLBか。
- a,MSA(多系統萎縮症)
- c,NPH
- e,PDやDLBなど
44,
正解 c
- 123I-FP-CIT SPECT (123I-ioflupane)では両側に著明な線条体への集積の低下あり。また脳血流シンチでは、後部帯状回〜楔前部、側頭葉後方部から頭頂連合野に血流低下あり。cか。
45,
正解 e
- 123I-FPCIT SPECT (123I-ioflupane) 画像で左優位に両側線条体への集積低下あり。また形状はドット状。認知障害がある。レビー小体病(PD、PDD、DLB)か。
46,
正解 e
- 右側頭葉の血流低下あり。酸素摂取率(OEF)は増大あり。misery perfusionの状態。
47,
正解 c
48,
正解 c
- a,Patlack plot 法が可能なのは99mTc製剤。
- b,123I-IMP の脳内分布の経時的変化は投与後20-30 分でピークとなる.(参考:わかりやすい核医学P37)
- c,正しい。約3時間後のSPECTまで脳内カウント比に変化を認めない。参考)脳血流製剤 99m-Tc ECD の脳内分布の経時的変化
- d,99mTc-ECDはluxury perfusionや脳炎などの高血流病変が検出できないことがある。(参考:わかりやすい核医学P38)
- e,?
49,
正解 e→a
- LAD領域に虚血がある。
- RCA領域に梗塞ありか。
- e,
負荷時の一過性虚血性内腔拡大(TID)は広範囲の内膜下虚血に起因すると考えられ、重症虚血を示唆すると考えられている。
12回49番ですが解答aではないでしょうか。
中等度、の定義がわかりませんが、中隔から前壁の中部心尖部主体で不完全fill-inがみられ、LAD領域の比較的広い虚血であることはわかります。
b,c,dは違うとして、eについてもTIDはSPECT上は怪しいですが、QGSでは10%からが陽性ということからも、明らかなTIDなし、でよいのではないでしょうか。
お忙しいところ申し訳ありませんがご確認よろしくお願いいたします。
Y先生ありがとうございます。
参考:心筋シンチ読影テキスト
50,
正解 c
- a,正しい。最大運動負荷時に血流製剤を投与し、その後最低1分の運動を続け、その後60分以内に撮影を開始する。
- b,d,e正しい。
- c, 99mTc製剤、中でも99mTc-MIBIは肝臓への集積が高い点がデメリット。99mTc-tetrofosminは比較的少ない。
51,
正解 d
52,
正解 d
- 対角枝領域に再分布あり虚血が疑われる。
- 安静時EF 68% 負荷時63%。負荷時の5%以上の低下はpost-ischemic stunningと呼ばれ重症心筋虚血を示唆する指標とされる。(臨床画像 vol.31,No.4増刊号,2015)
53,
正解 e
- a,正しい。LAD領域に再分布を認めている。
- b,正しい。RCA領域に再分布を認めている。
- c,正しい。負荷時の方が内腔拡大している。負荷後左室一過性内腔拡大(transient ischemic dilatation:TID)と呼ばれる所見。重症心筋虚血を示唆する所見。
- e,誤り。重大心事故発生率は 1% 未満 / 年と推定されるのは心筋シンチにて異常所見がない場合。今回は、TIDを認めており、むしろ重症。
54,
正解 d
d,心臓の活動性病変の評価を行う際は、正常の心筋への生理的な集積を抑える必要がある。その為、炭水化物を摂取制限する。最低でも12時間以上の絶食を必要とする。蛋白質制限ではない。
55,
正解 b
- b,18F FDG PETを用いた悪性褐色細胞腫および傍神経節腫の診断感度は高く、感度97%との報告がある。参考)内分泌甲状腺外会誌 32(2):116-120,2015
- e,131I-MIBGはγ線だけでなくβ線も出す為、褐色細胞腫を含めた神経内分泌腫瘍に対して内用療法が行われることがある。
56,
正解 e
- リンパ管シンチグラフィー
57,
正解 b
- 両側顎下腺、腹部大動脈の後腹膜、前立腺、肺野(広義リンパ路)に集積あり。
- IgG4関連疾患(Mikulicz病、後腹膜線維症、前立腺炎、間質性肺炎)と考えられる。
58,
正解 a or c
- a,甲状腺への集積低下あり。
- c,亜急性甲状腺炎ならば、痛みの症状があるのが普通。参考)亜急性甲状腺炎|甲状腺の病気について|伊藤病院 – 甲状腺疾患専門
59,
正解 d
- 褐色脂肪組織への集積。
60,
正解 e
- d,正しい。TSH> 30 μU/mlを治療前の目標値とする。(参考:わかりやすい核医学P284)
- e,rhTSH(タイロゲン®︎)により内用療法前に甲状腺ホルモンの内服を休薬する必要がなくなった。ただし、rhTSH の注射を行ったうえで,予定通りにという点が微妙。治療2日前、1日前に注射に来なくてはいけない。この書き方だと当日注射して治療をしたということになるので、これが誤りか。参考)アブレーション|伊藤病院 – 甲状腺疾患専門