第11回核医学専門医試験【解答】
1,
正解 d
- 核異性体転移は、励起状態が比較的長く続いた後にγ線を放出すること。
- γ線の放出では、原子番号や質量数は変わらない。
2,
正解 d
- TA>TB の時、過渡平衡。代表は、99Mo(半減期66時間)-99mTc(半減期6時間)-99Tc
- TA>>TBの時、永続平衡。
3,
正解 a,e
4,
正解 a
- a,距離によらずほぼ一定。
(関連問題 13回6番)
b. ピンホールコリメータの解像度は,線源との距離によらずほぼ一定である。(解像度を上げるためには近づける必要があるので誤り)
d. 平行多孔コリメータの感度は,線源との距離によらずほぼ一定である.(正しい。)
5,
正解 b,e→b,c
- b,誤り。Butterworth フィルタは,低域通過フィルタである。
- c,正しい。ブランク補正データの作成は数百万カウント以上必要。
いつもお世話になっております。
11回5番ですが、回答はb,cではないでしょうか。
cについて、計数率が大きすぎると、機械の不感時間による数え落としや偶発同時計数が増えます。線源強度の設定が「数え落とし○%以下、偶発同時計数が全同時計数の○%以下」での条件での測定を行う、と測定項目ごとに決まっていますので、なるべく大きな計数率、というのは間違いと思います。(もちろん計数率が低すぎると必要なカウントを得るのに時間がかかりすぎますが・・・)
eについては吸収補正しないPETの画像は体表面につよい帯状の集積が起こり内部の集積が低くなる現象がおこります。これを「アーチファクト」と呼んでいいのかはやや疑問がありますが、おおむね間違っていないように思います。
ご検討いただけますと幸いです。
Y先生ありがとうございます!!!
6,
正解 c
- a,b,d,e,正しい。
- c,誤り。短時間ほどSNが悪いのでセグメント方式に変換する。
7,
正解 e
- 131Iの物理学的半減期は8日なので、1/6=1/x+1/8 からx=24
8,
正解 d
- 99mTc-DMSAは腎静態シンチ
9,
正解 a,d
サイクロトロンで製造される核種
- 11C
- 13N
- 15O
- 18F ここまではPET核種
- 123I
- 201Tl
- 67Ga
- 111In
逆に、ジェネレータで製造されるのが、99mTc(99Mo-99mTc)、81mKr(81Rb-81mKr)。
原子炉で製造されるのが、133Xe、131I、137Cs、125I、99Mo
参考)わかりやすい核医学P10
10,
正解 d,e
- d,正しい。
- e,誤り。18F-FDG-6-リン酸は細胞内で、次の酵素反応に進めない。通常の糖ならばこのあとミトコンドリア内のクエン酸回路に入る。
11,
正解 a,e
- b,123Iの半減期は、13時間。131Iの半減期が8日。なのでこの文章は131Iならば正しい。
- c,永続平衡ではなく過度平衡。
- d,軌道電子捕獲ではなく核異性体転移によりγ 線を放出する.核異性体転移によりγ 線を放出するのは他に、81mKr
12,
正解 c,d
13,
正解 a
- a,日本薬局方にも定められている。
14,
正解 a,b
- d,誤り。放射線障害防止法は、RI と放射線発生装置を規制対象としている。参考)神戸大学法令
15,
正解 c
16,
正解 c,d
- c,距離が大きいほど被ばくは少なくなるので、負の相関。
- d,クレアチニンクリアランスは腎機能が落ちると低下する。つまりクレアチニンクリアランスが高い=排泄能が保たれているということなので、RI分布が腎クリアランスに依存する場合は、クレアチニンクリアランスが高いほど、被ばくは減るということになり、負の相関を示す。
関連)MIRD法の過去問
17,
正解 b,c
- b,確率的影響のみを考えれば良い範囲。
- c,1mSv/年。
18,
正解 d,e
- a,単位時間当たりの照射線量を照射線量率という。1放射能Bqは、1秒間の壊変数(1Bq=1秒間に1壊変)。
1壊変で、18Fは511eV2本のγ線(消滅放射線科)、 99mTcは141eVの1本のγ線を放出。放射線の本数・ エネルギーとも18Fのほうが高くなる - b,誤り。半価層とは、放射線量が半分になる時の物質の厚さ。鉄の方が厚い。参考)【放射線】半価層と半減期の違いとは?
- c,誤り。2の10乗分の1なので1024分の1。
- d,よくわからないが正しそうだが・・・。
- e,正しい。距離の2乗に反比例するので、4倍離れると同じ時間ならば、1/16の被曝量。時間は12倍なので、後者は前者の12/16=3/4倍の被曝量であり、後者の方が少ない。
19,
正解 c,d
- a,2年間記録は保存する必要があるので誤り。
- b,一般病棟はだめ。
- c,30μSv/h以下なら退出できるので正しい。
- d,介護者の被ばくが5mSv 以下ならば退出、帰宅できるので正しい。
- e,500MBq以下でないと退出できない。
20,
正解 c
21,
正解 c
22,
正解 e
- 11C-メチオニン PETは、放射性壊死と脳腫瘍の再発の鑑別に有用。脳腫瘍の悪性度は判定できない?
メチオニンPET
- 脳腫瘍の診断
- 脳腫瘍の治療効果判定
- 脳腫瘍の再発評価
に用いられる。
23,
正解 b
- 99mTc-ECD SPECT ではぜいたく血流や脳炎など高血流病変を検出できないことがある。何度か出題されている。
- 他の選択肢が正しいということをチェックして覚えておく。
- e:99mTc製剤は直後から一定時間保持される。一方、123I-IMPはピークに達するまでに20分程度かかり、そこから経時的に少しずつ抜けて行く。
- 123I-IMP はいったん肺に集積した後に脳に集積する.
- 99mTc-HMPAO は標識後速やかに投与する必要がある.
- 123I-IMP ARG 法では一点動脈採血で脳血流が推定できる.
- 99mTc-ECD は静注直後の脳集積分布が一定時間保持される.
24,
正解 d
- 梗塞部位〜周囲は血流の増大あり。いわゆるLuxury perfusion(贅沢灌流)。Luxury perfusion を呈する組織の予後は悪いとされる。脳梗塞の亜急性期に、再開通により脳血流量CBFは増加するが、脳酸素消費量は低下している。(脳組織は壊死)
25,
正解 b,d
- c,誤り。集積部位に一致して血流は低下する。
- e,心筋バイアビリティの評価をする際には正常心筋の生理的なFDG集積を亢進させ、バイアビリティがない部位を明瞭にするために検査前血糖値が90mg/dl以下であれば糖負荷を行う。逆に、心臓の活動性病変を同定する際には、正常心筋の生理的な糖代謝を抑制する必要があるため、最低でも12時間以上の絶食を行う。
26,
正解 b
- a,カフェインを制限するのはアデノシンの薬剤負荷の場合。
- b,201Tlの半減期は73時間(3日)、99mTc製剤(MIBI、tetrofosmin)の半減期は6時間であるため、201Tlは半減期が長く、より被ばくが多くなる。
- c,d 逆。
27,
正解 b,d
- a,誤り。3 環系抗うつ薬はMIBGの集積を阻害する。参考)MIBG心筋シンチグラフィとは どのような検査ですか?
- b,正しい。血性疾患においては、
虚血や梗塞周囲より広い範囲で交感神経の障害を認めることが知ら れている。 - c,誤り。施設によって正常範囲なども異なる。
- d,正しい。心臓の除神経状態であるため、心筋への集積はほぼなし。
- e,誤り。肺ではなく肝臓。
28,
正解 c
29,
正解 a,c
d,陽性描出はするが尿に紛れて見えない可能性はあり。
30,
正解 d
31,
正解 a,b
32,
正解 b,d
33,
正解 c
34,
正解 b,c
- a,誤り。緊急時の検査に対応できるのはMAA。
- b,正しい。81mKr ガス、133Xeガスで同日実施が可能。ただし、投与量を変えればテクネガスでも可能。
- c,正しい。閉鎖回路が不要なので、患者への負担が少なく、小児や呼吸状態の良くない人にも可能。
- d,誤り。洗い出しの評価はキセノン(133Xeガス)のみで可能。
- e,誤り。SPECTはテクネガスが推奨される。参考)肺換気シンチグラフィの最新動向
35,
正解 ?→b,d
- a,誤り。数時間で分解され、網内系により血液から排除され、尿中に排泄される。
b,誤り。仰臥位安静状態での静脈注射を行う。撮影は、座位もしくは立位で行われる。- c,誤り。Stripe signは、肺の表面と欠損の間に帯状のRI集積を認めることで、肺塞栓を否定するサイン。肺塞栓の場合は、肺表面まで欠損を認める。
d,誤り。肺動脈塞栓は血管を侵す疾患→換気はそのままなのでミスマッチ欠損。- e,誤り?。ほぼ正常または肺野の一部に粗大な低灌流域を示す所見は小斑状不均一分布(mottled pattern)を示す。区域性は特徴的ではないはず。
これも誤り? - 肺血流(↓)→肺換気(→):ミスマッチ
- 肺換気(↓)→肺血流(↓):マッチ
お世話になっております。
11回35番はb,dではないでしょうか。
まずaは明らかに×(3時間で50%程度が洗い出される)
cも×(ガイドラインにものっています)
eも× おっしゃられるとおり、ほぼ正常か斑状の欠損となると思います。
bについては、座位での注射では通常、下肺への分布が多く、上肺への分布が少ないことになりますが、鬱血性心不全や肺高血圧などで再分布がおこると、この上<下の分布の差がなくなることが報告されています。よってあえて座位で注射して、本来生理的におこるはずの分布がおこらないこと、で診断するのだと思います。
dについては、肺動脈血栓はミスマッチの代表ですが、肺梗塞になると肺実質は出血性梗塞の状態で画像上もconsolidationになると思います。いわゆるhumpton humpの状態でしょうか。つまりその部分については換気も低下すると思います。(何年か失念しましたが過去にもこれを○にしないと回答数が合わない問題があったように思います・・・)
よってb,dを解答と考えますが・・・いかがでしょうか。
お忙しいところ申し訳ありませんがご確認よろしくお願いいたします。
Y先生ありがとうございます!
36,
正解 a,e
37,
正解 b,e
- MRI 造影剤とビスホスフォネート製剤はリン酸化合物製剤の骨への集積を抑制する。(参考:わかりやすい核医学P132)
38,
- 正解 e
- e,疲労骨折は骨シンチか。
39,
- 正解 a,d
- c,e:甲状腺ホルモンは上昇するが、甲状腺の放射性ヨウ素摂取率は上昇しない。
40,
正解 b
- そもそも131I-アドステロールはACTHにより刺激を受けると取り込みが亢進する。
- つまり、ACTHが正常〜高い場合は、両側の副腎に集積を認めるということ。
- アルドステロンはACTHを抑制しないため、原発性アルドステロン症では、健側にも軽度集積を認める。
- 副腎皮質腺腫によるクッシング症候群の場合は、ACTHを抑制するため、健側の集積は消失する。
- 下垂体腺腫によるACTH過剰分泌(クッシング病)や ACTH産生腫瘍の場合は、ACTHが高くなるため、両側の副腎への集積は増加する。
- ということで、クッシング症候群と診断される。
- 関連問題)13回60番
41,
正解 a,c→a,d
- e,誤り。脾臓・肝臓・骨髄への著明な集積を認めており、不適格症例である。
11回41番はadではないでしょうか。
aは明らかとして、
bは全例必須。eはおっしゃるように骨髄集積が強すぎて不適格と思います。
cについては病巣(リンパ腫)への集積は問わないはずです。あくまで不適格となる部位への集積があるかないか、の判断が目的だと思います。
dについて、血液プールがあること、が適格生体内分布の項目としてあり、心臓や四肢の血管にRIがみられるのが正しいInの像です。しかしながらこの症例ではこられがみられない(=クリアランスが亢進している)といえると思います。
よってadを回答と考えますが、いかがでしょうか。
お忙しいところ申し訳ありませんがご確認よろしくお願いいたします。
Y先生ありがとうございます!!!
42,
正解 c
- a,誤り。骨シンチにより集積を認め、同部位に難治性の疼痛がある場合。
- b,誤り。骨髄抑制との兼ね合いから少なくとも3ヶ月以上空ける必要がある。
- c,正しい。ただしSrによる治療は標準的な鎮痛薬に置き換わるものではなく、NSAIDsやオピオイドで十分な疼痛コントロールができない患者のみに使用する。また、WHO疼痛緩和ラダーは併用する。
- d,誤り。周囲への被ばくは非常に少ないため外来で可能。
- e,誤り。多発でももちろん適応になる。
43,
正解 a,b
- 後部帯状回から楔前部の代謝及び血流低下あり。アルツハイマー型認知症が疑われる。
- b,塩酸ドネペジルは、アルツハイマー型認知症、DLBで保険適応となっている。
- c,これは正常圧水頭症。
- d,アミロイドイメージングでは、後部帯状回から楔前部、頭頂葉、前頭前野などの大脳皮質や線条体において集積を認める(Alzheimers Dement 7:257-262,2011) 関連記事)アミロイドPETとは?
44,
正解 c,d?e?
45,
正解 d,e
- a,血流の測定には15O-H2Oの静注または、15O-CO2の吸入を用いる。酸素代謝は15O-O2を用いる。
- c,悪化している。酸素摂取率は増大しており、misery perfusionの状態。
46,
正解 c
47,
正解 c,e
- misery perfusionは、血流は減っているのに酸素摂取率は保たれる。
- 左前頭葉皮質、左側頭葉皮質、左基底核部ではこの現象が見られる。
48,
正解 c,e
- a,認知症で最も多いのはアルツハイマー型認知症。
- b,誤り。低下する。
49,
正解 c,d
- サルコイドーシスの症例。サルコイドーシスの活動性病変を見る場合のFDG-PET検査では、12時間以上の絶食により心筋への集積を抑える。
- c,活動性炎症所見を反映している。ドックなどで行われる通常のFDG-PET検査とは異なる。
- d,心臓サルコイドーシスの活動性病変に一致して、血流が落ちる。
- e,造影MRIの遅延像で中層優位に遅延造影を認めることがあるが、これで確定とはならない。確定はやはり生検及び他疾患の除外か。
50,
正解 c
51,
正解 d,e
- また心臓サルコイドーシスの問題。
- c,サルコイドーシスの心内膜心筋生検による組織診断率はサンプリング エラーのため19%ときわめて低い。(Clin Nucl Med 1990; 15: 408-411)参考)日サ会誌 2008; 28: 15-24 – 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
52,
正解 a
- 明らかな血流低下や再分布を疑う所見なし。
- TIDなど認めず。
53,
正解 a,e
- 心不全が重症ほどMIBGの集積が低下する。MIBG の Washout rate あるいは後期像 H/M 比は、 心不全症例において予後(心事故発生)の強力な予測因子である。引用)心臓核医学とともに -虚血性心疾患から心不全まで – 日本心臓核医学会
- したがって、予後が良好なのは症例1。治療効果が期待できるのも症例1ということになる。
54,
正解 a
- a:末梢にというのが誤りか。
- b~e:いずれも認める。
55,
正解 c
- 左脛骨骨幹部に骨シンチにて限局的な集積あり。
- 一方でレントゲン上ははっきりしない。疲労骨折を疑う所見。
56,
正解 b,e
- 骨梁間型の骨転移は、FDG-PETやMRIのみで描出されることが多い。
57,
正解 c
- 両側鎖骨下、縦隔、左骨盤内に異常集積あり。リンパ節転移の疑い。
- b,膀胱癌は90%以上が尿路上皮癌(移行上皮癌)。
58,
正解 a,b
重篤な骨髄抑制とは、具体的には
- ヘモグロビン量<8g/dl
- 白血球数<2,000/μL
- 好中球数<1,000/μL
- 血小板数<50,000/μL
(治療の適正使用マニュアル)
59,
正解 e
- 右小脳橋角部に造影効果を有するextra-axial tumorあり。123I-MIBG シンチグ ラフィで集積あり。
60,
正解 b,d
- a,ヨードは制限して甲状腺刺激ホルモン(TSH)を十分に上昇させる。
- b,甲状腺刺激ホルモン(TSH)を十分に上昇させ131Iの甲状腺への取り込みを促す。
- d,両側肺に異常集積を認め転移を疑う。