第9回核医学専門医試験【解答】
1,
正解 c,d
- a,単位時間当たり壊変する確率は、温度、圧力に依存しない。参考)放射性壊変 – ATOMICA –
- b,壊変定数 λ=ln 2 / T と半減期と反比例する。短寿命の場合は壊変定数
- d,10倍〜1000倍ならば、過渡平衡。1000倍以上ならば、永続平衡。この2つを合わせて放射平衡という。(参考:わかりやすい核医学P3)
- e,比放射能はBq/μmol
2,
正解 c,d
- a,正しい。
- b,正しい。
- d,陽電子消滅放射線は線スペクトルを示す。連続スペクトルを示すのは、β線と制動X線。
- e,正しい。
3,
正解 e
- 測定はBqで表示される。Bqとは単位時間あたりの壊変数。1Bqは1秒間に1個の壊変があるということ。
- cpm(count per minute)やcps(count per second)は単位時間あたりの計測値であり、計測率と呼ばれる。
- X×0.8(Bq)=720/60 (cps)
X=15
4,
正解 d,e
- b,正しい。放射性薬剤の放射能を測定する。注射器やバイアルを直接に、キュリーメーターの中に入れて放射能を測定する。
- c,正しい。
- d,誤り。自動的ではなく、事前に核種を選んで測定する。
- e,誤り。容積を補正する必要なく、そのままセットした薬品の全量の放射能量が測定できる。
5,
正解 a,e
- a,PET装置ではコリメータは不要。
- b,シンチレーションカメラでもPETカメラでも用いられる画像再構成法での反復的手法の1つ。
- c,PET検査において、吸収補正を行うためのスキャン。
- d,PET装置とウエルカウンターの校正であり、定量性を保証する目的で行われる。参考)第4章 PET カメラ9/40
- e,SPECTでは二核種同時収集が可能。
6,
正解 c,d
- a,正しい。患者側からコリメータ,結晶(NaIシンチレータ),光電子増倍管の順に位置している
- b,正しい。分解能と感度は相反する関係にある。
- c,誤り。高エネルギーγ線ほど厚いコリメータを用いる。99mTcは141keVで低エネルギー用を用いる。67Gaは中エネルギー用を用いる。
- d,広げると散乱線が増える!?参考)γ線の散乱
- e,正しい。平行多孔コリメータでもピンホールコリメータでも近接させるほど「空間分解能」は高まる。ピンホールコリメータは近接するほど「感度」は上がるが平行多孔コリメータではほぼ一定。
7,
正解 ?→b,c
第9回7番ですが、
b,cが回答と思います。
a: 外部線源を用いたトランスミッションスキャンは十分なデータを得るために(全身であれば)数分~十数分を要します。その間息止めするのは無理でしょう。
b: 以前はリング状を用いていましたが、偶発同時計数が増えるため、点状か線状となっています。
c: 文章通りと思います。吸気よりも横隔膜周囲でのコールドスポット形成が少なくてすむようです。
d: 金属の周囲は放射線の減衰が大きくなるので、過補正となります。よってPETの画素値(=Bq/ml)は大きくなります。
e: 電圧によってCTのHU値は変わりますが、撮像した電圧のHU値を511KeVへ換算する計算式があるので低電圧での撮像で問題ありません。補正用だけですと電圧を下げ被爆を減らすことができるようです。
よって回答はb,cと思います。
Y先生ありがとうございます!!!
8,
正解 a,b
- b,偶発同時計数は放射能濃度の二乗に比例する。(参考:わかりやすい核医学P22)
9,
正解 c
- 1/2=1/6+1/x
x=3
10,
正解 a,e
サイクロトロンで製造される核種
- 11C
- 13N
- 15O
- 18F ここまではPET核種
- 123I
- 201Tl
- 67Ga
- 111In
逆に、ジェネレータで製造されるのが、99mTc(99Mo-99mTc)、81mKr(81Rb-81mKr)。
原子炉で製造されるのが、133Xe、131I、137Cs、125I、99Mo
参考)わかりやすい核医学P10
11,
正解 b,c
- b,還元する。
関連問題)12回11番 99mTcO4 − の錯体形成には酸化剤が必要である.→誤り。還元剤。 - c,標識調製後 30 分以内に使用しなければならないのは99mTc-HAMPAO
- d,標識時に加熱が必要なのは、99mTc-MIBI、99mTc-MAG3。
12,
正解 b,c
- a,誤り。Na-K ポンプにより摂取されるのは、201TlCl。99mTc-pyrophosphate は急性心筋梗塞の壊死心筋細胞にCaイオンと同様な挙動を示す。
- b,正しい。
- c,正しい。201TlCl 水溶性一価陽イオン
- d,誤り。201TlClが心筋摂取率が高い
- e,誤り。標識時に加熱が必要なのは、99mTc-MIBI、99mTc-MAG3。
13,
正解 c,d
- a,誤り。 18F-FDG は脳ブドウ糖代謝
- b,誤り。脳血液量(CBV)の測定には、15O-CO。脳血流の測定には、15O-H2Oの静脈注射または15O-CO2の吸入。酸素代謝は15O-O2。
- c,正しい。99mTc-MAG3 は腎血漿流量(RPF:renal plasma flow)。99mTc-DTPAは糸球体濾過率(GFR)を反映する。
- e,誤り。123I-IMPは脳血流シンチで用いる。
14,
正解 c
15,
正解 a
- a,標識率が向上するが誤り。標識するのは、99mTcであり、99Tcではない。
16,
正解 c,d
- c,d 医薬品の製造工程と見なされない。
17,
正解 c,d
- a,e,サイクロトロンでの製造は放射線障害防止法、使用は医療法,薬事法の規制を受ける。
- b,サイクロトロンは工業用でもよい。
18,
正解 a,b
- b,正しい。
- c,誤り。内部被曝。
19,
正解 a
20,
正解 d
- a,誤り。人体ファントムでの計算。
21,
正解 c,d
- a,厚生労働大臣ではなく、原子力規制委員会
- d,密封されていない。 非密封を扱うのが作業室。
- e,
廃棄保管する→表面密度を超えるものは、みだりに作業室からは持ち出さない。あるいは、表面密度の10分の1を超えるものは管理区域から持ち出さない。
22,
正解 a,d
23,
正解 c
- a,誤り。
- b,誤り。臥位。
- d,誤り。Diamox を負荷後すぐにSPECT 撮影を行う
- e,誤り。1 日法で行う場合,はじめに安静時→次にDiamox 負荷時の SPECT 撮影を行う.
24,
正解 d
- 123I-iomazenilは中枢性ベンゾジアゼピン受容体
25,
正解 e
- てんかん発作時:99mTc-ECDの集積亢進
- てんかん発作間欠期:脳血流の低下、8F-FDGの集積低下、123I-iomazenilの集積低下
26,
正解 a,d
- e,虚血を繰り返している心筋は、安静時には血流は保たれていても、脂肪酸代謝は障害されている。また安静時には冠動脈狭窄を認めない点からも、冠れん縮性狭心症の診断の診断に特に有用とされる。
27,
正解 b,e
- 心筋血流 PET 検査で主に用いられているのは82Rb、15O-H2O、13NH3。
28,
正解 b cは?
29,
正解 b
30,
正解 e
- e,腫瘍の場合は、6時間後、24時間後に撮影する。心筋シンチの場合は、 10分後と4時間後。
- 他は正しい。
31,
正解 a,d
- c,λ sign(lambda sign:ラムダサイン):Gaシンチにてサルコイドーシスにおける肺門及び傍気管リンパ節への集積。
- e,Gaシンチにてサルコイドーシスにおける頭部と頚部の集積。涙腺、唾液腺への集積。
- b,肺血流シンチで用いる所見。肺梗塞を否定する所見。
32,
正解 e
- e,4-6時間以上の絶食。
33,
正解 c
34,
正解 e
- a-cは適切。妊婦には禁忌。
35,
正解 d
- d,99mTc-DTPAは腎臓動態シンチ。急性腎不全、慢性腎機能障害、腫瘤病変、腎梗塞、腎移植などで用いる。
門脈シンチグラフィ
- 門脈大循環シャントの診断目的で施行される。
- 直腸内投与法が一般的。
- 201TlCl、123I-IMP、99mTcO4-が用いられる。
36,
正解 b
b, 99mTc-DMSAは、薬剤静注2時間後以降に背面より平面像、断層像を撮像する。
37,
正解 d,e
- b,11回37番では、利尿剤が答えにならないと思われるので、これは関係ないのだろう。
- c,誤り。造影MRIやビスホスフォネートは骨への集積が不良となるためだめ。
- d, 99mTc-HMDP は水酸基を有しているため投与後1時間から 99mTc-MDPは投与後2時間から撮像することができる。
- 関連問題)11回37番
38,
正解 a
39,
正解 a,c
40,
正解 c,d
- c,甲状腺眼症がある場合は、内用療法により症状が増悪することが知られている。(参考:わかりやすい核医学P287)
41,
正解 c,d
- a,誤り。PETでなく、骨シンチ
- b,誤り。物理的半減期が50日。
- c,正しい。
- e,誤り。繰り返し投与は可能。3ヶ月以上開ける必要はある。
42,
正解 b,c
43,
正解 a,d
- a,アルツハイマー病では後ろから前に血流低下部位が広がっていくイメージ。その際に一次感覚運動野をスキップして前に進んでいく。参考)アルツハイマー病における脳血流シンチグラフィの画像診断は?
44,
正解 b
b,アセタゾラミドの重大な副作用として、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)があらわれることがある。参考)医療用医薬品 : ダイアモックス – KEGG
45,
正解 d?
- d、記憶障害とはちょっと違う気もするが・・・。
- CTでも認めたという側頭葉の萎縮に一致した血流低下あり。
- 元の画像では左優位に前頭葉にも血流低下がありそう。
46,
正解 b
47,
正解 c?
c,アミロイド蛋白の蓄積とタウ蛋白の過剰なリン酸化。
48,
正解 e
- ダイアモックス負荷にて、血管予備能のコントラストが明瞭になったと考える。
- 安静時ほぼ正常に見えているが、ダイアモックス負荷で後頭葉以外、予備能が残っていないようです。
- もやもや病が疑われます。
49,
正解 a?
- d, CD36 欠損症において123I-BMIPP心筋無集積の報告がある。参考)[123]I-BMIPP 心筋無集積と末梢CD36 欠損症との関係
- e, LCX領域は保たれているように見える。
50,
正解 b,d
- a, 誤り。中隔枝領域にも虚血を認めている。
- c, これらの検査では心筋 viabilityはわからない。
- e, 誤り。左前下行枝で一部123I-BMIPP集積低下あり。
参考)
51,
正解 b,e
- a, 左前下行枝領域。
- b,e 負荷時の一過性虚血性内腔拡大(TID)は広範囲の内膜下虚血に起因すると考えられ、重症虚血を示唆すると考えられている。左前下行枝を含む多枝病変例に対しては冠血行再建術を適用するべきとされる。
52,
正解 c,e
53,
正解 c?
54,
正解 e?
- c,誤り。カルシウム拮抗薬やβ遮断薬は運動負荷による検査感度低下を招く原因になるので、薬剤中止が望ましい。
- Double product=収縮期血圧×心拍数で25,000以上で運動負荷十分量と評価されるが、今回は、それに到達していない。十分な運動負荷をかけられない場合は偽陰性となることがある点に注意。
- 左前下行枝領域に負荷時及び安静時に集積不良を認めており、梗塞疑い。
55,
正解 d,e
- 膵臓及び涙腺、唾液腺、縦隔リンパ節、後腹膜に異常集積を認めており、IgG4関連疾患を疑う所見。
56,
正解 d,e?
- 最も強く集積しているのはおそらく注入部位。2箇所腋窩リンパ節に集積をしていると考えられ、腋窩リンパ節郭清の対象となる。胸骨傍リンパ節はもっと正中(向かって右側)なのでは・・・。
57,
正解 b,c
58,
正解 a,b cは?
- 2回目は1回目と比較して、骨髄へのびまん性集積亢進及び脾臓の集積やや亢進を認めている。G-CSF投与や全身性の炎症、貧血などがある時にこのような分布になるが、病歴から、G-CSFの投与の有無を確認することが必要。
59,
正解 d→e
- a,2010年から外来でアブレーション目的での131I内用療法では1,110MBqまで治療を行えるようになった。123Iではなくて、131I。1,110MBqはあくまで甲状腺癌に対して、甲状腺全摘術後の残存甲状腺の破壊(アブレーション)目的の場合。バセドウ病などでは500MBqが退出基準の上限。(参考:わかりやすい核医学P284)
- b,甲状腺全摘されている必要がある。
- c,残存甲状腺(甲状腺床)への集積。
- d,正しい。退出基準は、線量率 30 μSv/h を超えないこと。
9回59番ですが、eではないでしょうか。
aは131Iとのひっかけで×
bは全摘出後のみが適応なので×
cは集積は残存甲状腺と思われ×
d,eですが、いわゆる外来アブレーション(全摘出後・転移なし・残存甲状腺アブレーション目的で1110MBq(30mCi)投与)の場合に関してのみ、特別に退室規則とは別個で規定されていると思います。
そして、アブレーションの成否についての経過観察として、半年から1年後にTgの検査とアブレーションを行うことがガイドライン上勧められています。
よって回答はeではないでしょうか。
「残存甲状腺破壊を目的としたI-131(1,110MBq)による外来治療」の実施要項に記載があります。
ご確認いただけますと幸いです。
Y先生ありがとうございます!!!
60,
正解 c?
- c, ACTHの刺激を受けると131I-アドステロールはステロイドホルモンの合成素材として皮質に集積が更新する。
- d,正しい。クッシング病は下垂体腺腫によるACTH過剰分泌なので、両側に集積を認める。今回は右側のみ。
22番の解答はa.dではなく、a.eと思いますがいかがでしょうか。
医療法施行規則30条の18の2
内部被ばくによる線量の測定は、放射性同位元素を誤つて吸入摂取し、又は経口摂取した場合にはその都度、診療用放射性同位元素使用室、陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室その他放射性同位元素を吸入摂取し、又は経口摂取するおそれのある場所に立ち入る場合には三月を超えない期間ごとに一回、厚生労働大臣の定めるところにより行うこと。
とあるので、eの1年間が3ヶ月の間違いと思います。
50ですが、TICIで心筋バイアビリティは確認でき、この場合、再分布しているのでviabilityありとしていいのではないのでしょうか?そして、本症例の場合、内科的治療より血行再建が優先されるのではないでしょうか?https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcoron/18/3/18_18.026/_pdf