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第13回核医学専門医試験【解答】
1,
正解 c
- c:β+ 壊変では,娘核種は親核種より,原子番号が 1 つ減る。
- 質量数が変化するのはα崩壊のみ。
- e:励起状態が比較的長く続いた状態の後でΓ線を放出することを核異性体転移という。原子番号と質量数は変わらない。
2,
正解 d
- a,誤り。Γ線,KX線を測定する。3H などの低エネルギーベータ線放出核種の測定には液体シンチレーションカウンタを用いる。
- b,誤り。バックグランドは差し引くことが必要。
- c,誤り。計数率が変われば、測定時間が同じでも、誤差は生じる。
- d,正しい。測定時間を長くすれば、測定誤差は減る。
- e,誤り。数え落としは、計数率が高い場合に起こりうる。
3,
正解 e
- 実効線量、等価線量はSv(シーベルト)
4,
正解 a
cpmは一分間何カウントかということ。
まず1秒あたり何カウントかを意味するcpsに変換する。
計測率は60000 cpm=60000/60 cps =1000 cps
これに100μs=102×10-6 s=10-4 sをかければ、数え落としの割合が出る。
1000×10-4=0.1
(n0=n/1-nτ
τ(タウ)は分解時間。nτはカウンターが不感で、1秒間で分解できなかった時間を示す。
つまり、1秒間
なので1-nτは1秒間のうち分解に使われた時間(s)を示す。)
5,
正解 c
- a,高くなる。
- b,
- c,吸収補正をしないと、中心部の集積は低下する。参考)http://tohoku-b.umin.ac.jp/data/14bukaizassi/14_page090.pdf
- d,12ns程度。
- e,リングの直径に比例して空間分解能は劣化する。(参考)わかりやすい核医学P20
6,
正解 d,e
- a,230ns
- b, 感度が悪いため、被写体を近づける必要がある。甲状腺など小さな被写体で用いられる。
- d,平行多孔コリメータは線源(被写体)とコリメータの距離が大きくなると、空間分解能は劣化するが、感度・視野径はほぼ一定。一方ピンホールコリメータの場合は、bのように距離が大きくなると感度が大きく低下する。
- e,正しい。現在のシンチレーションカメラは、シンチレータ、光電子倍増管、位置演算回路などの信号処理回路を組み合わせたアンガー方式によるものが主流(参考:わかりやすい核医学P16)
7,
正解 a,d
- a,正しい。参考)PET検査における吸収補正法
- b,8のdで誤りとわかる。
- e,必要。参考)第17回 SUV – 核医学文献情報研究会
- d,正しい。参考)診療に役立つ核医学の基本
8,
正解 e
- a,脂肪組織へのFDGの取り込みは少ない=肥満症例(脂肪が多い)では、脂肪以外への集積が多くなり、(病変への集積も多くなり)過大評価されることになる。
- b,小さいものは検出しにくい=過小評価される。
- c,絶食してない場合、筋肉への集積が亢進し、腫瘍などの部位への集積は落ちるため過小評価される。
- d,体重が小さいと、分母が大きくなり、SUVの値は実際よりも小さくなる=過小評価される。
- e,投与量を小さくするとSUVは大きくなる。過大評価することになる。
9,
正解 d
- a.123Iは13時間。
- b.201Tlは73時間。
- c.111Inは67時間。
- e.67Gaは78時間。
10,
正解 b
脳血流SPECT検査に用いられる放射性医薬品
- 123I-IMP
- 99mTc-HMPAO
- 99mTc-ECD
の3種類。
11,
正解 c
99mTcの半減期は物理学的は6時間なので、
1/2=1/6+1/x
x=3時間
12,
正解 c,d
13,
正解 e
111In-pentereotide(ペンテレオチド)
- ソマトスタチン受容体への結合をする。
- ソマトスタチン受容体を有する原発性及び転移性神経内分泌腫瘍に保険適応あり。
14,
正解 b
- a,123I-iomazenil:中枢性ベンゾジアゼピン受容体
- c,11C-raclopride:ドーパミンβ2受容体 (ちなみにドパミンβ1受容体へはC-11 SCH23390)
- d,18F-flutemetamol:βアミロイドへの特異的結合
15,
正解 b
16,
正解 a
- 物理的半減期はチェックするが、有効半減期は測定しない。(
そもそも体内に注入しないと、生物学的半減期がわからないので、 有効半減期は求められない。)
放射性医薬品の品質管理
- 確認試験:放射性核種の確認
- 純度試験:放射性核種純度、放射化学的純度、化学的純度
- 無菌試験
- 発熱性物質試験
- pH
- 性状など
参考:第13回日本核医学学会春季大会テキストP16
17,
正解 c
- b:正しい。参考)薄層クロマトグラフ法による放射性クロム酸溶液の放射化学的純度試験
- c:放射化学的異物とは,その医薬品の放射性核種とは
異なる核種の混在物のこと→同一放射性核種を含む異種化合物参考)放射性医薬品基準の改正について(PDF:2861KB) - d:正しい。医薬品の有効期間ではないので注意。
「納入日」、「検定日(時)」とはどのようなものです か?
放射性医薬品では、含まれている放射性同位元素が時間とともに減っ ていくので、放射性医薬品の放射能量は時間とともに減っていきます。 そのため、放射能がいつの時点でどれくらいあるかということを示すため の基準として検定日(時)が定められています。 なお、納入日は、放射性医薬品が病院に納品される日のことで、検定日 (時)と必ずしも一致しません。出典:放射性医薬品取扱いの 基本に関するQ&A集 – 日本アイソトープ協会Q6
18,
正解 d
MIRD法
- 内部被曝を計算する方法。
- 放射線の種類を問わない。
- 臓器内では放射能は均一に分布すると仮定する。
参考:臨床核医学 2014 vol.47 No.1
19,
正解 b
20,
正解 a(cは?)
- a. 実効線量限度 5 年間 100 mSv かつ 1 年間
20mSv→1年間50mSv - cも正しそうだが・・・。
21,
正解 d
- γ線の遮蔽には鉛板や重コンクリートなどが用いられる。
- β線の遮蔽は数mmのアルミ板で可能。
22,
正解 e
- b,正しい。参考)18F-AV45(Florbetapir F 18)
- 123I-iomazenil:中枢性ベンゾジアゼピン受容体→難治性てんかんの焦点診断に用いられる。
- 123I-FP-CIT 、123-β-CIT:ドパミントランスポータ
23,
正解 d
- a. 萎縮や脳室拡大の影響を考慮して統計画像を評価する。(5回核医学専門医試験11)
- c. crossed cerebellar diaschisisを考える。
- e. PDでは、運動症状が片側で始まり対側に進展していくのが典型であり、画像所見も同様に対側の被殻で集積低下を認め、左右非対称に進行して、やがて両側の集積低下を示す。(参考:わかりやすい核医学 P39)
24,
正解 c
25,
正解 e
- a,「使用禁忌」ではないが、いわゆる「適応外使用」に相当する。参考)ダイアモックス注射用 – 日本脳卒中学会5/17
- b,正しい。
- c,正しい。参考)ダイアモックス注射用 – 日本脳卒中学会5/17
- d,30 歳以下の患者には重篤な副作用の報告はない。参考)ダイアモックス注射用 – 日本脳卒中学会10/17
- e,初回投与時、もしくは初回と 2 回目に全く同じ症状発現(海外報告例 1 例)。初回投与時に問題なく 2 回目以降に重篤副作用が 初発した例」の報告はない。
26,
正解 e
- a.心電図同期SPECTに適しているのは99mTc製剤(MIBI)。
- b,誤り。limited flow researveをみる。
運動負荷とdobutamine負荷は虚血をみる。 - c.201Tlは負荷検査の場合1回の注射で負荷像と安静時の画像を撮影できる。
- d.99mTc製剤の場合は、再度注射が必要。
- e,初回摂取率 Tlー4%、Tcー2%
27,
正解 e
心筋血流シンチグラフィ:201Tl、99mTc製剤(99mTc-MIBI、99mTc-terrofosmin)
その他の心筋シンチグラフィ:
- 心筋梗塞シンチグラフィ:99mTc-PYP(ピロリン酸)→心筋梗塞後7日以内で梗塞部位を陽性描出する。
- 心プールシンチグラフィ:99mTc-HSAあるいは、99m-RBC
- 脂肪酸代謝シンチグラフィ:123I-BMIPP→異常集積から障害心筋や虚血のエピソードを知ることができる(memory imaging)
- 交感神経シンチグラフィ:123I-MIBG
28,
正解 b
- b,大きな乳房がある女性患者の場合、前壁に固定性の集積低下をきたすことが多い。(参考:わかりやすい核医学P67)
- c,誤り?左脚ブロックや心尖部心室ペーシングでは中隔の集積が低下する。
- d.誤り。201TlCl シンチグラフィでは、肝臓や胆嚢への集積が少なく、肝臓や胆嚢へのアーチファクトの影響を受けにくい。
29,
正解 c
30,
正解 c
- c, 子宮内膜では、月経期及び排卵期付近で集積が見られる。卵巣の場合は、排卵期から黄体形成期に集積亢進が見られることが多い。そのため、子宮卵巣病変の評価には、月経終了後1週間以内に撮影することが望ましいとされる。
- e, 筋肉への集積が亢進し、脳の集積は減弱する。
31,
正解 c
32,
正解 c
33,
正解 c
- freeの99mTcが生理的に胃、甲状腺、唾液腺などへ集積する。
34,
正解 a,d
35,
正解 d
肝胆道シンチグラフィ
- 99mTc-PMTを用いる。
- 投与5分で心プールが消失
→肝への集積を認め、胆汁中に排泄
→30分以内に肝管・総胆管を経由して腸管の描出あり。
→60分以内に胆のうも描出。
36,
正解 b
37,
正解 d?(aは?)
- 大腿骨頭壊死の診断には、骨シンチや、MRIが有用。
- b,c:溶骨性のパターンを示し、集積は乏しいことが多い。
- d,複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome;CRPS):type1と2に分けられる。臨床診断にはサーモグラムや三相骨シンチが役立つ。発症早期でそれぞれ高血流、充血、びまん性の均一な高集積を大部分の症例で認める。(参考)わかりやすい核医学P147。
38,
正解 a
d,正しい。99mTc-HMDP は 99mTc-MDP よりバックグラウンドの低下が早い。99mTc-HMDPは投与後早くから検査できる。
3 相骨シンチグラフィ
- 病巣の血流を評価する目的で行われる。
- ①早期相:静脈注射後直ちに(血流イメージ)
②血液プール相:5-10分後(血液プールイメージ)
③遅延相:2-3時間後(通常の骨シンチ)の3相撮影する。 - 急性骨髄炎(①〜③↑)と蜂窩織炎(①、②↑、③→)の鑑別に用いられる。
- 反射性交感性ジストロフィ(Reflex sympathetic dystrophy:RSD)においても診断に有用(①②↑、③で関節周囲に異常集積)。
39,
正解:b
コロイド肝シンチグラフィ
- 99mTc-スズコロイド、99mTc-フィチン酸が肝の網内系細胞であるクッパー細胞に取り込まれることにより肝が特異的に描出される。
- MRIの造影剤であるSPIOが同じ機序で集積。
- 肝硬変の病態評価にも使える。
- 副脾や脾梗塞の診断にも有用。
- (また共にセンチネルリンパ節検索にも用いられる。他、センチネルリンパ節検索には99mTc-HSAも用いられる)
40,
正解 a
- a,131I-アドステロールは、静脈注射してから3-4日で尿中及び腸管に排泄される。一部は肝臓に取り込まれ、胆汁から腸管へ排泄される。
- b,デキサメサゾンは原発性アルドステロンが疑われる場合に、副腎腺腫と過形成の鑑別に用いられる。クッシング症候群の場合には用いない。
- また、
原発性アルドステロン症→健側は軽度描出あり。
クッシング症候群→健側は描出されない。
副腎過形成→両側描出される。 - d,静脈注射してから7日後に検査を行う。
41,
正解 d
e:ベータ線は短く、小さな腫瘍に効果がある。大きなものは手術でとる。
42,
正解 a
- a,誤り。RIで行う検査と治療は、全て医療法。障害防止法は、リニアックや、小線源など。ちなみに、PETの製剤を製造するサイクロトロンは、加速器なので障害防止法。(PET診療は医療法)
- e,正しい。表面汚染密度の10分の1を超えなければ、管理区域の外に持ち出せる。
43,
正解 e? (結局何の疾患なのかわからない。PSP??とすると矢状断像の中脳被蓋の萎縮が目立たないが)
- 前頭葉及び側頭葉に萎縮及び血流低下あり。前頭側頭変性症?しかし、knife blade様とまではいかない。
- b,後頭葉の血流低下を認めるのはDLB。今は認めていない。
- c,幻視や認知機能の変動を伴うのはDLB。
- d,塩酸ドネペジルが保険適用になっており有用なのはAD,DLB。
44,
正解 d
参考)ダットスキャン読影のポイント(日本メジフィジックス株式会社)
45,
正解 b
- a,脳血液量はヘモグロビンと強く結合する性質を用いて15O-CO PETで評価する。が、投与薬剤は微量であり、
ヘモグロビンの濃度差はそれほど大きく影響しないのではないか。 - b,CO2分圧が下がると血管収縮して脳血流は下がる。
- c,誤り
- d,時間短縮できるのは、ARG法
- e,脳酸素代謝は、15O-O2 PETで評価できる。脳血流は15O-H2O,15O-CO2 PETで評価できる。
参考)わかりやすい核医学P41-42
46,
正解 d
47,
正解 e
脳血流が減少
- 脳梗塞(ただし亜急性期以外)
- 脳動脈・頸動脈の狭窄や閉塞による血流低下(血行力学的脳循環障害)
- 脳出血
- 左(右)被殻出血時の右(左)小脳
- 発作間欠時のてんかん
- 脳神経の機能低下、障害の結果として起こる血流低下(血流・酸素代謝の一致した障害)
48,
正解 d
サブトラクション画像において両側側頭葉のHeschl回に両側性の血流低下を認めている。聴覚刺激を行なったと考えられる。
参考)
刺激と血流増加部位の関係
- 聴覚刺激:両側側頭葉のHeschl回の血流増加(13回核医学専門医48番)
- 視覚刺激:後頭葉内側の血流増加
- 指運動:運動側と反対側の高位中心溝周辺領域(ローランド領)の血流低下
- 一般的な運動刺激:反対側の補足運動野(前頭葉内側面で運動野の前方)と同側小脳の血流増加
- 過換気:全脳血流量の低下(10回核医学専門医47番)
- 咀嚼運動:両側弁蓋部からローランド領中下部の血流増加(3回核医学専門医20番)
49,
正解 a,d
- a, FDG-PET検査において、心筋バイアビリティの評価の場合には、正常心筋への生理的な集積を亢進させる必要があるので血糖値が90mg/dl以下であれば、糖負荷を行う。一方で、活動性病変を評価する際には、生理的な集積を抑えるために、炭水化物の摂取制限を最低でも12時間以上行う必要がある。同じFDG-PET検査でも全く逆のことをするので注意が必要。
- b, 今回は心筋バイアビリティをみている。
50,
正解 c
- 下壁において、201Tlは血流低下を認めないが123I-BMIPPでは集積低下を認めており、ミスマッチがある。
- 経過からは急性心筋梗塞を疑うが、冠動脈造影において狭窄は認めない。?
- このように急性心筋梗塞と同じような症状及び心電図変化をきたすのに、冠動脈造影において狭窄を認めず、安静時血流シンチと123I-BMIPPのミスマッチを認めるものは、たこつぼ型心筋症である。
参考)
51,
正解 a
- a, 111MBqは正常投与量。
- b, 投与後の撮影時間も問題なし。
- c, 低エネルギー用だとHMRが低下する原因となる。
参考)I-123 MIBG H/Mの正常値とコリメータによる差異 | 日本心臓核医学会 - d,三環系抗うつ薬は、MIBGの集積を阻害するため服用している時は検査前に投与中止を指示する。
参考)I―MIBG 心筋シンチグラフィーによるパーキンソン病 および関連疾患の鑑別 - e,当然HMRの低下する原因となる。
H/M比が低下、洗い出し亢進する疾患
- 糖尿病
- 心不全
- 虚血性心疾患
- 不整脈疾患
- びまん性レビー小体病(パーキンソン病、レビー小体型認知症)
- 家族性アミロイドーシス
- MSA
52,
正解 d
- 血流シンチでは左前下行枝領域に再分布を認めており、虚血が示唆される。血流シンチでは再分布を認めているのに、QGSでは、前壁側の収縮能が戻っていない。気絶心筋の状態と考えられる。
- 安静時EF 76% 負荷時69%。負荷時の5%以上の低下はpost-ischemic stunningと呼ばれ重症心筋虚血を示唆する指標とされる。(臨床画像 vol.31,No.4増刊号,2015)
気絶心筋(stunned myocardium)
気絶心筋(stunned myocardium)とは、冠動脈閉塞後に再灌流しても心機能障害(壁運動異常)が持続し、壁運動回復が遷延すること。出典:急性心筋梗塞後の気絶心筋
不全心筋と心筋バイアビリティの定義
- 気絶心筋(stunned):血流は保たれるが壁機能は低下したまま。予後は良好。
- 冬眠心筋(hibernation):血流は低下、壁機能も低下。糖負荷FDG-PETによる集積はあり、ミスマッチが起こる。十分な心筋血流再建が行われれば、心機能が改善する可能性がある。
- 瘢痕組織(scar):血流・壁機能・FDG集積低下。マッチ。改善は見込めず、心移植や薬物治療の対象。
参考)第13回日本核医学学会春季大会P210-211
QGSの見方
- 心機能(EF)と左室サイズ(拡張末期左室容量=EDV:end-diastolic volume)をチェックする。
- EFの正常下限は45-50%。
- EDVの上限は体格などにもよるが目安として120mL前後。
53,
正解 d
54,
正解 c?b?
- 血流シンチでは、前下行枝領域に血流低下及び再分布を認めている。が一部は再分布していないか。また、右冠動脈領域にも同様の所見あり。
- →前下行枝領域・冠動脈領域に虚血+一部梗塞。(aは正しい)ただし、対角枝領域の虚血はなしか。→bが誤り?
- FDG-PETでは中隔に及ばない前下行枝領域つまり、対角枝領域に集積低下を認めている。また回旋枝領域にも一部集積低下あり。→対角枝領域・回旋枝領域にバイアビリティの低下。(eは正しい。dも正しいと言っていい)
- 残るcは、「PET 画像から回旋枝領域にも虚血が強く疑われる」だが、回旋枝領域にバイアビリティの低下とは言えても、虚血が疑われるとは言えないと思われる。
55,
正解 c
- d,e:腎癌や多発性骨髄腫は溶骨性病変を作るため骨シンチで集積しにくい。
56,
正解 d
甲状腺癌に対する131I内用療法
- 131I内用療法は分化型甲状腺癌(乳頭癌、濾胞癌)に適応あり。
- 治療の対象となるのは甲状腺全摘(または準全摘)術後の症例。今回のように片葉切除または亜全摘の症例では甲状腺補完全摘後に治療の対象となる。
57,
正解 d
- 右腎に早期濃染、washoutあり。FDGの取り込みは不良。
- 分化型肝癌、一部の腎癌では、グルコース-6-ホスファターゼ(G6Pase)という脱リン酸化酵素を持っているため、集積されない。
58,
正解 e
- 腫瘍のサイズの割に、FDGの集積を認めていない。高分化型肝癌が疑われる。
59,
正解 b
- 背面像での仙腸関節部への集積に左右差あり。左は正常。右が抜けているのでここに溶骨性転移があると考えられる。
- 正面像で胸椎に集積低下があるように見えるのは後弯によるものであり、正常範囲。
60,
正解 d
131I-アドステロールの問題。40に類題あり。a-cは正しい。
- d:お酒に弱い人の場合は副作用が現れやすい。副作用にはエタノールによる一過性の顔面紅潮、動悸、気分不良など。なので40のcのように静脈注射は急速にするのではなく、30秒以上かけてゆっくり行う必要がある。
- e:右に副腎腺腫を疑う所見があり、シンチグラフィでは、右の副腎に集積がある。正常ならば両側の副腎の描出を認める(正常でもやや右優位に集積することが多い)。
そもそも131I-アドステロールはACTHにより刺激を受けると取り込みが亢進する。
つまり、ACTHが正常〜高い場合は、両側の副腎に集積を認めるということ。
- アルドステロンはACTHを抑制しないため、原発性アルドステロン症では、健側にも軽度集積を認める。
- クッシング症候群の場合は、ACTHを抑制するため、健側の集積は消失する。
- 下垂体腺腫によるACTH過剰分泌(クッシング病)や ACTH産生腫瘍の場合は、ACTHが高くなるため、両側の副腎への集積は増加する。
ということで、クッシング症候群と診断される。