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FDGとは?

・PET検査で用いられる放射性薬剤のこと。

・2-[18F]fluoro-2-deoxy-D-glucoseのことを18F-FDGやFDGと略して用いられる。

・グルコースと似ているけど少しだけ異なる。OHの一つが18Fに変わっている。

FDG1

このちょっとした違いがどのように影響するか?

・グルコースはグルコーストランスポーター(GLUT)により細胞内に取り込まれ、ヘキソキナーゼによりリン酸化され、解糖系に入って行く(代謝される)。

・FDGではヘキソキナーゼ(hexokinase)によりリン酸化されたところで、代謝がとまる!

FDG2

・これを利用して、FDGが集積するということはグルコーストランスポーター(GLUT)の活性上昇、ヘキソキナーゼの活性上昇=エネルギー代謝が亢進した状態、つまりこれは組織の活動性亢進した状態を意味する。

悪性腫瘍組織における糖代謝は正常組織よりも数倍〜数十倍亢進している。
(1930 Wahrburg[ドイツ])

・つまり、FDGの集積が亢進しているところは腫瘍!の可能性があると言える。

・ただし、炎症細胞、筋細胞、熱産生、神経機能などによっても活動性の亢進は起こるため、一概に腫瘍とは言えないので注意(偽陽性)。

FDGは腫瘍細胞に77%、マクロファージ、肉芽組織/マクロファージに23%集積した。
(Kubota R et al JNM 1992;33:1972-1980)

・FDGはすべての生存細胞に集積をし(壊死・瘢痕以外のすべての細胞)、特にマクロファージに集積する。

・また腫瘍の中には、腫瘍なのにFDGの集積がされにくいもの(偽陰性)もあるので注意。

FDG集積の描出能を決める因子

・病巣サイズ
・細胞のGLUT活性、Hexokinase活性
グルコース-6-ホスファターゼ(Glucose-6-phosphatase(G6Pase))活性
・細胞密度
・周辺組織・臓器の集積

偽陰性を示しやすい悪性腫瘍

細胞密度の低い癌

癌性胸水、癌性腹水、スキルス癌、白血病、嚢胞性の腫瘍、粘液性の腫瘍、壊死性腫瘍

G6Paseを持つ癌

分化型肝癌、一部の腎癌では、グルコース-6-ホスファターゼ(G6Pase)という脱リン酸化酵素を持っているため、集積されない。

G6Pase

糖代謝の少ない腫瘍

・Hexokinase活性やGLUT活性の低いもの、つまり、増殖が穏やかな悪性腫瘍は、集積が低い。肺胞上皮癌など。

Hexiokinase

見えにくい場所にある腫瘍

・膀胱や腎など生理的集積に埋もれてしまう腫瘍。

・脳の生理的集積と比較して糖代謝の低い多くの脳腫瘍。

・慢性胃炎の中に生じている胃癌。

小さい腫瘍

・当然小さい腫瘍には弱い。

なぜ癌細胞では解糖系亢進するのか?

細胞が低酸素になったときにHIF1αというタンパク質により、がん、炎症は嫌気性解糖亢進状態へと誘導され、その結果、FDGが集積するから。
(Denko N.C. Nature Rev Cancer 8;705-713,2008、Cramer T ,et al,Cell 112;645-657,2003)

・がん細胞では血管の成長<<癌の成長
→低酸素の細胞が多く、血管から離れたがん細胞は酸素欠乏になり壊死する
→壊死すると糖代謝できなくなるが、
→HIF1αが上昇
→嫌気性解糖にシフトし、細胞を酸欠から救う。
→糖代謝亢進。

・さらにHIF1αはノックアウトすると解糖が低下、ATP産生低下、炎症反応が高度に抑制される。

・つまり、HIF1αはがん組織だけでなく、炎症反応もコントロールしている。

FDGの集積の時間経過

・FDGは正常脳にも強く集積をするが、脳への集積は早く、腫瘍への集積は遅い。

・脳の機能診断をするには、集まる過程が重要であり、45〜50分で撮影をする。

・一方腫瘍はコントラストが付く1時間以降に撮影。ただし、どこにピークがあるかは腫瘍によって違う。実際は腫瘍への集積は、1時間より2時間後でより明瞭となるが、そんなに待てないので、1時間で撮影している。

FDG分布の時間経過模式図(半減期補正)

FDG3

血糖値とFDGの関係

・FDGの分布は血糖やインスリンにより影響を受ける。

・血糖が上昇すると腫瘍、脳の集積は低下するが、心筋、骨格筋、脂肪は(GLUT4インスリン感受性組織をもっているため)集積が上昇する。

・逆に言えば、腫瘍を見たい状態で、血糖が上がってしまうと、脳や腫瘍への集積は低下し(薄くなり)、心筋、骨格筋、脂肪ばかりが目立つようになる。したがって、肝心の腫瘍が見えなくなってしまう。

・そのため、検査時に血糖値上げないように検査前5、6時間絶食後に行う。

・一方で水やお茶はFDGの排泄促進のために推奨されている。FDG5

FDGの集積と腫瘍の性質の関係

・腫瘍の増殖速度と相関し、生存細胞密度(数)と正の相関。

・腫瘍の分化度と逆相関。つまり高分化癌は集積悪い。

※集積悪いもの=肺胞上皮癌(BAC)、増殖おそい、高分化、細胞密度低い、予後良好

腫瘍の体積(一旦大きくなる)の低下に先行して、代謝が低下するため、FDGやメチオニンの集積でとらえることができる。

・この代謝が低下したところをPETで早期診断できるため、反応の良し悪し(PETでの集積の低下が著明ならばCRになる可能性あり、低下が少しならばその後一旦消えても再発する可能性あり)を予測することができる。

・つまり治療後早期のPETにこそメリットがある。

PETにおける治療評価、再発診断で知っておくべきこと

癌の治療評価に使える。

・腫瘤が残存していても、FDGの集積がない状態をメタボリックCRという。特に悪性リンパ腫で用いる。

癌の治療の早期、stable disease(形が変わらない)の評価に使える。

・再発診断、特に手術、放射線治療などの瘢痕の中から再発を高精度で検出することができる。

・ただし、放射線治療では炎症反応への集積には注意が必要。一方で、化学療法では炎症反応は弱い。

FDG以外の放射性薬剤の可能性

・メチオニン、コリンではFDGと異なり脳への集積が低い。なので脳腫瘍(腫瘍の浸潤範囲の診断が容易)に使える。

・メチオニンはFDGのように代謝が止まるわけではない。細胞増殖、分泌機能などを反映。ただし、保険適応外。

FDG集積と臨床

FDG集積≠がん

・生理的集積がある(胃、腸管、骨格筋、褐色細胞、耳下腺、顎下腺、扁桃腺、胸腺、乳腺、精巣、子宮、卵巣)。

・反応性集積がある(G-CSF投与や炎症により、骨髄の集積が増大する)。

・炎症病巣にも集積する(感染部位、放射線治療部位、手術部位など)

・良性腫瘍への集積(大腸腺腫、甲状腺腺腫、ワルチン腫瘍、神経鞘腫など)

 FDG低集積≠良性

・糖代謝の低い腫瘍(高分化肺腺癌、BAC、肝細胞癌、前立腺癌、腎癌、胃癌)がある。

・小さい腫瘍は見つけにくい。(解像力:PET 4-6mm、CT1-2mm)

・高血糖状態では腫瘍集積が低下してしまう。

・SUVに頼りすぎない。身長、体重は自己申告はだめ。

SUVとは?

・SUVとはstandardized uptake valueの略。

SUV

・体の比重を1とみなし、投薬した薬剤がすべて均一に体内に分布したと考えた場合の放射線濃度を1とした場合、組織の単位重量あたりの集積はその何倍にあたるかを示したもの。

・SUV値の望ましい活用は同一症例の治療前後での評価をすること。あるいは大きな症例数における研究的な要素であること。SUVがいくらだから悪性と判断しないようにする。

SUV値を左右する因子

・被験者の体格
・静注から撮像までの時間(uptake time)
・血糖値やインスリン値など
・病変の大きさ
・撮像装置の分解能・処理方法
・生理的位置変動(呼吸性移動)
・関心領域の取り方

SUV1

・同じSUVでも意味が違う。

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