退職金・iDeCoの受け取りと税金

勤務医は転職や異動が多く、退職金を何度か受け取ることもあります。iDeCoや企業型DC(確定拠出年金)を一時金で受け取るときにも、同じ税金のルールが関わります。このページでは、退職金とiDeCoの受け取りにかかる税金の基本をまとめました。

結論:退職金は税金が優遇されている。受け取り方とタイミングに注意

  • 退職金には退職所得控除があり、さらに残りの2分の1だけに課税される
  • 退職所得控除は、勤続年数が長いほど大きくなる
  • iDeCoや企業型DCの一時金も退職所得として扱われる
  • 退職金とiDeCoの一時金を近い時期に受け取ると、控除が重なって使えないことがある

退職金の税金のしくみ

(退職金 − 退職所得控除) × 1/2 = 退職所得

勤続年数 退職所得控除
20年以下 40万円 × 勤続年数(最低80万円)
20年超 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

例えば勤続10年なら控除は400万円、勤続30年なら1,500万円です。退職所得は、給与などとは別に計算されるため、税率も低くなりやすいのが特徴です(勤続5年以下の役員などには別のルールがあります)。

勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を出しておけば、源泉徴収で精算され、原則として確定申告は不要です。

転職が多い医師の注意点

  • 勤続年数がリセットされる:転職すると、次の勤務先では勤続年数が1年目から数え直しになります。短い勤続で退職金を何度も受け取ると、控除のメリットは小さくなります。
  • 同じ年に2か所から受け取る:同じ年に複数の退職金を受け取ると、合算して計算します。
  • 退職金の規程を確認:病院によっては、勤続3年未満は退職金がないなど、規程がさまざまです。

iDeCo・企業型DCの受け取り方

受け取り方 税金の扱い
一時金 退職所得(退職所得控除の対象)
年金 雑所得(公的年金等控除の対象)
一時金と年金の併用 それぞれの扱い

iDeCoの一時金と勤務先の退職金を近い時期に受け取ると、勤続年数(加入年数)が重なる部分の控除が調整され、税金が増えることがあります。この調整の対象となる期間は、制度改正で見直されています。受け取る順番と間隔は、事前に確認しておきましょう。

iDeCoの使い方は医師のiDeCoと新NISAの使い分けをどうぞ。

開業医・法人化した医師の場合

個人で開業した医師には退職金がありませんが、小規模企業共済に入っていれば、共済金を退職所得として受け取れます。法人の役員として退職金を受け取ることもできます(医師が会社を作るメリット)。

まとめ

退職金は、退職所得控除と2分の1課税で税金が優遇されています。転職が多い医師や、iDeCoを使っている医師は、受け取りのタイミングによって税金が変わるので、早めに計画しておきましょう。

参考資料

※一般的な制度の紹介です。実際の税額は、税理士などにご確認ください。

最終更新:2026年10月