核医学専門医試験について語るLINEオープンチャットの実際に19回を受験された先生方が、2022年(19回)の解答例を作成してくださいました。
感謝感謝です。
2022年(19回)核医学専門医試験解答例
- d
b A=N0×λ×exp(-λ×t)なので原子数N0に比例する
d 10半減期後は2^10分の1なので1024分の1
- b
- d
計数値xの誤差は√xで、係数率の誤差は√x/tとなるので、測定時間が一定なら統計誤差は係数率が増えるにつれて増え、測定時間を長くすると小さくなります。
- b
- c
- e
OSEM法は収集データをいくつかのサブセットに分けて逐次近似再構成する方法で、この手法自体には平滑化処理は含まれません。もちろん平滑化処理と併用するのが普通だとは思います。
TEW法: triple energy window法:散乱線を除去する方法です。メインピークの両端にサブウィンドウを設け、メインウインドウに含まれる散乱線量を推定、除去(というより減算)する方法です。
https://jsnc.org/p-jsnc-seminar/001/2010/0719-12
- d
FDGはGLUTを介して取り込まれたあとリン酸化され、FDG-6リン酸に変わり、それ以上反応が進まないので細胞内にトラップされます。
腎臓、膀胱に生理集積が強いことからも分かる様に、主に腎排泄です。
https://www.nmp.co.jp/sites/default/files/2018-11/T_FDG.pdf
- e
- d
- e
- b (dと割れました)
特異的な結合が残り、正常部位からさっさと抜けてしまうという性質が必要です。flutemetamolの元となったPIBは優れたクリアランスがあると記載されています。
https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/049110922.pdf
flutemetamolはアミロイドβに結合。代謝は関係ない様です。
https://www.nmp.co.jp/member/inter/pdf/IF_Viza.pdf
- b
- e
- a
ECDはエステル結合が加水分解されることにより脂溶性から水溶性になり、細胞内に蓄積します。
Tc99m-GSA、いわゆるアシアロシンチ
タンパク末端のシアル酸が取れたアシアロ糖タンパクはタンパク質の老化を示し、肝臓はこれアシアロ糖タンパクを認識するレセプターがあるので、その機能を見る検査になります。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kobunshi1952/45/8/45_8_563/_pdf/-char/ja
- e
- e (aと割れました)
時間のかかる無菌試験は事後検定が認められている。
http://www.rinshokaku.com/contents/pdf/sec8/2.pdf
純度試験には3つあり
- 放射性異核種の純度
スペクトロスコピーで評価。
- 放射化学的純度
ラジオ液体クロマトグラフ法によって行う。
純度試験として化学形が異なるものの混入について試験すると書いてるので誤りではないと思います。
- 合成で用いられる薬剤の残留濃度
エタノールやアセトニトリルなど。残留濃度濃度の基準が決まっています。
- d
- e
- d
「病院又は診療所内の病室に入院している患者の被ばく する放射線の実効線量が 3 月間につき 1.3 ミリシーベルトを超えない」という医療法の基準があり、それに準じる。
その他は以下のリンクに明記。
https://www.jrias.or.jp/pdf/Lu-177manual_v1.pdf
- b
- b
- c
- d
- a (cと割れました)
10でセロトニン再取り込み阻害薬について触れられていたことからも分かる様に、ドパミントランスポータ以外はセロトニントランスポータに親和性あり。
- c
- b
- d
- d
- e or a,b,d
かなり割れました。
- ダイナミック収集については心臓MRIはperfusionまで調べたい時は必要で、今回血流に関して聞かれてるので必要と判断していいと思います。SPECTはLVEFとか調べたい時は必要ですが、そうでなければ不要です。
- 時間分解能はplanar像だけで言えばRIの方が高いのですが、SRECTでいくともっとかかるので誤りだと思います。
- MRIのLGEは線維化を見ていると言われます。Perfusionではどうなんだろうと思ったんですが、やはり心筋細胞には取り込まれずに細胞外液に非特異的に分布する様です。
https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/17136/JJRS-62-12-682-689.pdf
- 両者とも薬剤負荷をかけながら検査薬剤を投与しますが、SPECT核種は心筋に蓄積するため、投与し終わってからSPECTを撮れば良いので負荷室で行えます。それに対しMRIではリアルタイムの分布を見なければいけないのでMRI機器の中に入って付加をかける必要があり、この選択肢を正解と判断しました。
- b(eと割れました)
以下のリンクより、15O-H2O>13N-NH3>Tl>MIBIです。
アンモニアと水の微妙な抽出率の違いを聞くのはどうなんだろう、、、
http://www.rinshokaku.com/magazines/2016/49_4.pdf
- d
- d
7.で解説しましたが、細胞内にFDG-6リン酸の形で取り込まれたFDGはそのリン酸化を外すG6Paseという酵素を持つ細胞では普通のFDGに戻されるため集積が低下します。高分化型の癌がこれらを有する傾向にあります。
>腎細胞癌、前立腺癌、膀胱癌、胃硬癌(スキルス)、気管支肺胞型腺癌(高分化型肺腺癌)、高分化型肝細胞癌などがFDGの集積が乏しい
https://www.twmu.ac.jp/info-twmu/tmc/pet-petct.html
腎細胞癌や肝細胞癌に関しては背景臓器の集積が比較的強いことも偽陰性が多い原因かと思います。
- d
- b
- a
- a
- a
a 換気分布に異常が出ることもありますが、基本的には血流障害なので換気異常は出にくいです。
b 少なくとも区域以上の血流欠損とされています。
https://www.cteph.jp/ja/doctor/about_diagnosis/discrimination
- b
- e
a 185MBq
b 74MBq
c 37-111MBq
d 185-370MBq
e 740MBq
- a
頭蓋骨のびまん性の生理集積はhot skullとも呼ばれ、女性に多いとされます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3622568/
- b
腎臓に生理集積では説明のつかない強い集積があり、間質性腎炎の所見です。
- e (b,cと割れました)
- 脾臓と肝臓は生理集積部位です。
- In children, the normal marrow extends more peripherally into the extremities.
https://www.sciencedirect.com/topics/medicine-and-dentistry/bone-marrow-scintiscanning
- central marrow failureの意味がよく分かりませんでしたが、多分中心部の骨髄の集積が低くなる状態を示しているのではないかと思います。造血能が亢進したら素直に考えて中心部の骨髄の集積は上がりそうです。
- e
- うつ状態なので前頭葉の血流低下がみられてもいいと思いますが、断定的に言えるかは疑問です。DLBの鬱だと前頭葉の血流低下はあまり見られないとかいう話も聞いたことがあるようなないような。eが明らかな誤りなので一応これは正しいとしてもいいのかなと。
- 症状が右優位なので低下は左優位だと思います。
- d
c.負荷後がちょうど正常値範囲内に入るんで悩みますが、文献的には安静時34切ってて、負荷後も34切ってるので血行力学的虚血StageⅡと判断しました。なので適応ありでいいのかなと。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/scs/30/1/30_1_7/_pdf
- 盗血というからには負荷前より下がる必要があると思いますが、ほとんど変化ないか僅かに上昇しているので違うかなと思いました。
- c (eと割れました)
c 線形変換をした後に非線形変換をすると書いてあるのが多いですね。
元画像と見比べるならともかく、解剖学的標準化が正しく行われたかを症例ごとに見てる先生なんてほとんどいないと思いますが・・・。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mit/34/1/34_8/_pdf
- b (d,eと割れました)
直線性の問題かと思いましたが、多分ECDは細胞内での代謝が行われて初めて集積するため、贅沢灌流では欠損像になる様です。
https://www.fmu.ac.jp/home/radtech/RI/RI_kensa1.html
- d
- e
左右差が見られやすいのはPDですけど、これを見てDATでDLBとPD鑑別できると勘違いする人が出てこないことを祈るばかりです。
- c
- c
- b
- c
- e
巨細胞性動脈炎なのでリウマチ性多発筋痛症は合併し得ますが、好発の肩関節、股関節、棘間靭帯への集積を指摘できないので積極的には疑えません。
大腿動脈にも炎症が来うるので集積強度を考えても活動性炎症と読むのが妥当だと思います。
- d
肺への集積増加は予後不良因子と言われています。
https://www.nmp.co.jp/member/mpiinpre/gtopic/point08.html
- d
いろいろ飛ばしていきなり肺門部(しかも両側で対側の方が強い)は考えにくいかなと。サルコイドーシスやサルコイド反応、炎症性変化の方が考えやすいかと。
左側なのでワクチン接種の反応性腫大の可能性は考慮したほうが良いでしょう。
- b (c,eと割れました)
CTの背景肺が明らかに気腫状で、続発性の肺高血圧かなと思いました。図4で末梢側の集積が亢進しており、stripe signと呼ばれています。小葉中心性肺気腫で特異的としている論文もあります。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S000129981830076X
逆にこのstripe signがあると肺塞栓症はやや否定的になります。
- e
- d
褐色脂肪はアドレナリンβ3受容体を介して活性化されます。57の褐色細胞腫で褐色脂肪への集積が亢進しているのもそのためだと思います。
- a
- a
解答例の作成にご協力いいただいた先生方、文献を添付しながら詳細な解説を作成してくださった先生に、この場をお借りしてお礼申し上げます。
42のcentral marrow failureですが、慢性骨髄増殖症候群が進行したときに躯幹部の集積が消失する所見のことを言うようです。一方で末梢脂肪髄への造血骨髄が拡大することが所見のようです。最新核医学第3版の508ページに記載があります。