2020年受験された、アーニャ先生が作ってくださいました。
さらに記述問題の解答の一部を、さちうす先生が作ってくださいました。
感謝感謝ですm(_ _)m
コメント欄も参照ください。
2020核医学専門医試験 回答例
1,
正解:b
(68GaはPETで使う核種なので、β+壊変かなと思いました。)
2,
正解:d
3,
正解:c
4,
正解:b
5,
正解:e
6,
正解:d
7,
正解:c
8,
正解:d
9,
正解:e
10,
正解:a
(メタボリックトラッピングされるので速やかに代謝は受けないかなと思い。。。)
11,
正解:e
(HMPAO、IMP、ECDは蓄積型と覚えていたので選びました。他の選択肢はよくわからないです。)
12,
正解:e
(α線=高LETなのでeかなと思いました。)
13,
正解:e
14,
正解:a
(c 放射性核種純度:定義:(着目する放射性核種の放射能÷ 全放射能)×100
検定法:半減期の測定、β線のエネルギー測定、γ線スペクトロメトリ。
らしいので、半減期だけで求められないのではないかと考えました。)
15,
正解:a?
(イオマゼニルの添付文書では原則投与しないとなっているので、禁忌ではないようです。どれが正解なのかよくわかりませんでした。)
16,
正解:b
17,
正解:b
(ガイドラインを確認しましたが、公共の場への外出制限は書かれていなかったです。α線なので出血等なければ周りの人への被曝はほぼないと考えbを選びました。)
18,
正解:c
19,
正解:a
20,
正解:c
21,
正解:d
22,
正解:e
(酸素摂取率は向上すると考えました。)
23,
正解:e
24,
正解:a
25,
正解:d
26,
正解:b?
(調べてみましたが結局よくわかりませんでした。)
27,
正解:a
28,
正解:e
29,
正解:d
30,
正解:e?
(b、c、dは間違い、aはよく分からなかったので。。。)
31,
正解:b
32,
正解:e?
(a:4時間も絶食しなくていいかとも思い迷ったんですが、eはヨードブロックが必要なのであって造影剤投与は別にいいのかなと考えeにしました。)
33,
正解:c
34,
正解:d
35,
正解:d
(bと迷ったのですが、呼吸器核医学診断ガイドラインp7では、重症肺高血圧症例では慎重投与ではあるが絶対禁忌とはなり得ないとのことです。)
36,
正解:b
(製剤情報で、外観は白色〜淡黄色の懸濁した水性の注射液と記載。)
37,
正解:a
38,
正解:b?
(よく分かりませんでした。)
39,
正解:e
(右総腸骨動脈近傍に集積ありとよみました。)
40,
正解:b
(腎臓の描出があるのでsuper bone scanではないかなと考えました。)
41,
正解:c
(わかりやすい核医学p39に弱酸性のため静注時に疼痛が生じることがあると記載あり。)
42,
正解:e
43,
正解:c?
(アミロイドPET不勉強のためよく分かりませんでした。)
44,
正解:e
IMP血流シンチでは左右差のあまりみられない前頭葉優位の血流低下が認められ、前方型の認知症を疑いました(第20回核医学会春季大会p177-178)。選択肢ではc血管性認知症 or eうつ病。
ダットスキャンで有意な集積低下は認めず、アミロイドPET画像上も皮質にアルツハイマー病を積極的に疑う有意な集積はないものと考えました。
MRI FLAIR像では明らかな形態異常や海馬・側頭葉の萎縮は認められず、両側放線冠に慢性虚血性変化を疑う非特異的な信号変化が散見されます。
血管性認知症を積極的に疑う虚血性変化は乏しいと考え、eのうつ病を選びました。
45,
正解:c
左MCA領域のCBFの低下、OEFの上昇を認め、Misery perfusionと考えました。血管予備能は低下していると思われ、cを選びました。
46,
正解:d
47,
正解:b
48,
正解:d
49,
正解:d
SPECT画像で側壁に再分布を認めない集積低下を認めます。QGSやBulls eye map上は一部再分布している部分もあるように見えましたので、dとしています。
QGSの画像上stunningを疑う壁運動異常は明らかではないかなと思いました。
50,
正解:b
画像を見たまま選びました。。。正直よく分かりません。
51,
正解:b
心不全では洗い出し率(WR)は上昇すると思います。(わかりやすい核医学p73)
52,
正解:e
よく分かりませんが、PYPシンチで左室にびまん性の集積を示しており、アミロイドーシスを疑いました。
53,
正解:c
54,
正解:d
心サルコイドーシスのガイドライン参考にしました。
b→生検の陽性率は20%程度。
c、e→Gaシンチ、造影MRI共に診断基準に記載あり。
aはよく分からなかったのですが、D症例が陽性と判断するには微妙かと思いました。
55,
正解:e
腎静脈〜下大静脈〜右房〜肺門部に集積を認め、腫瘍塞栓を見ているものと考えました。
56,
正解:e
aと迷ったんですが、脾門部の結節にSPECTの集積がないように思いeを選んでいます。
57,
正解:c
腫瘍径の大きいものにはα線はあまり効果がないのではないかと思いcを選びました。
58,
正解:c
59,
正解:e
60,
正解:e
甲状腺左葉に結節状に強い集積を認め、plummer病を疑いました。バセドウ病に対する131Iの内用療法についての設問だと思いました。
第20回核医学会春季大会p172参照しました。
a→1週間以上ヨウ素制限食必要とのこと。
b→甲状腺癌ではないので不要。
c→バセドウ病に対する内用療法でのTSH値の記載があまりなく、よく分かりませんでしたが、負のフィードバックを受けているのでTSHは低くなっているのでは?と思いました。
d→投与量の算出に必要なのは甲状腺重量、摂取率、有効半減期とのことです。
e→>500MBqで入院が必要とのことなので、これが正解ではないかと思いました。
記述問題
思い出せる範囲ですので、曖昧になっている部分もあるのですが、医局の後輩に伝えられるようメモがてら記載します。問題の順番はあやふやです。
①,
心筋シンチの問題
ⅰQGSで求められるパラメータ4つ
左室容積
左室拡張末期容量
左室収縮末期容量
LVEF
ⅱ 画像を見て、おかしくなっている計測値とその理由を聞く問題。
小心臓で左室内腔が過少評価されており、LVEFが過大評価されている。
(問題ではvolume 20mlでEFが94%になっていました。)
ⅲ 上記以外で、患者側の要因で正確な計測が出来ないシチュエーションは?
不整脈がある場合
心膜を剥離する心臓術後(CABG、弁膜症など)
心のう液貯留がある場合
などか?
②,
核医学に関する法令関係の問題
ⅱ 核医学検査に関わる法令とその管轄
第20回核医学会春季大会p378参照しました。
医療法、薬機法、労働安全衛生法、電離則→厚生労働省
障防法→原子力規制委員会
ⅲ 平成28年の障防法の改正について
第20回核医学会春季大会p377のあたりを書けばいいのかと。
私は全然分かりませんでした。
③,
呼吸器核医学の問題
細かい設問は忘れてしまったのですが、肺血流シンチグラムについて、投与時の注意点や重力による分布の変化について記述する問題でした。
第20回核医学会春季大会p136のあたりのことを書いていれば良いと思います。
④,
放射性医薬品の製造時、投与時それぞれに関して、誤投与や患者取り違えを防ぐためにはどうしたらいいか3つずつほど記載する問題でした。
正直漠然としすぎてよく分からなかったのですが、患者名を確認するなどごく一般的なことを書いたような。。。
⑤,
甲状腺癌内用療法についての設問
ⅰ 適応となる病理型 乳頭がん、濾胞がん
ⅱ 適応となる病態4つ
第20回核医学会春季大会p172 スライド6、7あたりのことを記載すれば良いのだと思います。
ⅲ 忘れました。。。フォロー時の注意点とかだったような。。。
⑥,
放射性医薬品についての問題
詳細は忘れてしまったんですが、漠然とした問題でした。テクネシウムからなる放射性医薬品を3つ自由に記載させたりする問題だったような。。。あまり難しくなかったです。
少し時間が経ってからまとめたので、忘れている部分が多くてすみません。。。
医局の後輩たちが今後受験することがないだろうと思っていたので、気にとめていなかったこともあり。。。来年受けるかもしれないので思い出しておいて欲しいと言われたので急いでまとめた次第です。
他にも情報提供者さんがいれば、併せてまとめていただけますとありがたいです。
記述問題(さちうす先生)
問題2. 核医学診療に関わる法令・管理について
(1)
- 医療法 医療法施行規則
- 放射性同位元素等の規制に関する法律(RI法)
- 労働安全衛生法 電離放射線障害防止規則(電離則)
- 原子力基本法
その他、関連法令として放射性医薬品の製造および取扱規則、作業環境測定法、消防法、放射性物質等車両運搬規則、などがあるがおそらく上の4つを答えれば良いと思われる。
(2)
- 医療法 医療法施行規則と電離則は厚生労働省
- RI法は原子力規制委員会が管轄する。
- 原子力基本法は内閣府の所管とあるが、原子力規制委員会の管轄かもしれない。
(3)
- 医療放射線安全責任者の配置
- 安全利用のための研修の実施
- 被ばく線量の管理・記録
- 過剰被ばくその他の事例発生時の対応方針の決定
- 患者に対する検査説明
このうち4つ挙げればよいか。
問題3.
(1)
- α線
- β線
- γ線
- 内部転換電子
- 特性X線
- オージェ電子
など、この中から5つ挙げればよい。
問題4. 甲状腺癌に対する放射性ヨウ素内用療法について
(1)
甲状腺分化癌(濾胞癌、乳頭癌)が適応となる。
※髄様癌、未分化癌は適応外。低分化癌は「甲状腺腫瘍診療ガイドライン2018」においてエビデンスはないものの「予後不良であることを鑑み、集学的治療を行うべき」として推奨されている。
(2)
- 明らかな残存腫瘍が無いと考えられる患者に対して残存甲状腺破壊目的に行うアブレーション(Remnant ablation)
- 画像診断で確認できないが、顕微鏡的な残存腫瘍が存在すると考えられる患者、全摘後サイログロブリン高値の患者に対して再発予防ないし遅延目的に行う補助療法(Adjuvant therapy)
- 肉眼的残存腫瘍や遠隔転移が存在する患者、術後再発の患者に対して顕在する癌の治療を行う治療(Cancer treatment)
(3)
ヨード制限、甲状腺ホルモン休薬
問題5
(1)
放射線診断で通常用いられる標準的な線量を調査したもの。検査群・患者群に対して用いるもので個々の検査に対して用いるものではない。線量限度と異なり、臨床上有益であると考えられた場合、超過しても良いが、大幅に超えてはならない。
(2)
・センチネルリンパ節シンチグラフィ(乳癌・メラノーマ)・99mTc-Sn colloid/99mTc-phytate (120 MBq)
・肝・脾シンチグラフィ・99mTc-Sn colloid (180 MBq)
・肝・脾シンチグラフィ・99mTc-phytate (200 MBq)
・腎静態シンチグラフィ・99mTc-DMSA(210 MBq)
・甲状腺シンチグラフィ・99mTcO4– (240 MBq)
・肺血流シンチグラフィ・99mTc-MAA(260 MBq)
・肝機能シンチグラフィ・99mTc-GSA (260 MBq)
・肝胆道シンチグラフィ・99mTc-PMT (260 MBq)
・副甲状腺シンチグラフィ・99mTcO4– (300 MBq)
・唾液腺シンチグラフィ・99mTcO4– (370 MBq)
・腎動態シンチグラフィ・99mTc-MAG3 (380 MBq)
・メッケル憩室シンチグラフィ・99mTcO4– (440 MBq)
・RIベノグラフィ・99mTc-MAA (500 MBq)
ここまで正解、以下は誤答
・副甲状腺シンチグラフィ・99mTc-MIBI (800 MBq)
・心筋梗塞シンチグラフィ・99mTc-PYP (800 MBq)
・リンパ管シンチグラフィ・99mTc-HSA-D (830 MBq)
・骨シンチグラフィ・99mTc-MDP/99mTc-HMDP 950 MBq
・心プールシンチグラフィ・99mTc-HSA-D (970 MBq)
・RI アンギオグラフィ・99mTc-HSA-D (1000 MBq)
・消化管出血シンチグラフィ/蛋白漏出シンチグラフィ・99mTc-HSA-D (1040 MBq)
・脳血流シンチグラフィ・99mTc-ECD 800-1100 MBq
・脳血流シンチグラフィ・99mTc-HMPAO 800-1200 MBq
・心筋血流シンチグラフィ・99mTc-tetrofosmin (840-1200 MBq)
・心筋血流シンチグラフィ・99mTc-MIBI (880-1200 MBq)
※攻略法は「投与量がかなり少ない検査」「すぐ排泄されそうな検査」を選ぶ。不正解の選択肢は副甲状腺シンチグラフィ・99mTc-MIBI以外は全身検索や大容量投与が必要そうな検査である。実は正解の方が個数が多い。困ったらセンチネルリンパ節シンチを薬剤と病名で分けて書けばok。
選択問題にいくつか気になる部分がありますのでこちらに記載します。
2. d.は「核異性体」の定義になります。同位体の説明はa.だと思います。
15. e. 添付文書に記載がありました。
26. c. が有名です。 参考;Adachi T, et al:J Neuropathol Exp Neurol. 2010; 69(7):737-44
28. c.ですが、201 Tlは 70keV、99m Tc は140 keVなのでこちらが正解かもしれません。ただ、e.を否定する根拠が見つけられませんでした。どなたかお知恵をお貸しください。
回答見た感じでは、アーニャ先生の方が高成績っぽくてお恥ずかしいです(上のは自分で調べたりした分も入っています)。
ありがとうございます!
放射線技師を目指す大学4年生です。核医学の範囲の国試対策に参考にさせていただいております。
28でeは「201Tl は経時的に洗い出されるが、99mTcは心停留性が高い」ことから否定できないでしょうか。
出典:診療放射線技術選書 核医学検査技術学第3版 南山堂 p.256
28は最初に投与したTlが時間が経ってから虚血の箇所に再分布が起こるという意味で経時的な変化が終えるという意味じゃないでしょうか?
テトロホスミンは再分布減少がないので再投与が必要です。そのため投与後の(最初に投与したテトロホスミンの)経時的な変化は追えないという解釈になるのではないでしょうか?
57ですが、大きい腫瘍にα線が効果が薄いわけではなく、骨外進展に効果が薄いのではないかなと思いました。
Ra-223の集積機序が同じアルカリ土類金属元素であるCaと同様の挙動を示すため、硬化性変化のある病変に集積して抗腫瘍効果を示します。骨外進展する腫瘍だと、骨代謝が骨内病変よりより下がっていると思われるので、相対的に治療効果は落ちるのかなと思いました。むしろ外照射のいい適応かと。
60の補足説明です。
aは甲状腺癌であればタイロゲンという遺伝子組み換えのTSG注射剤でヨード制限を回避できますが、バセドウだとグリーゼの危険性があるので基本的には投与できないと思います。
b,c.eは甲状腺癌術後のアブレーションについての説明です。
cについてはガイドラインに記述があります。
https://oncology.jsnm.org/sites/default/files/pdf/thyroid-guideline_2018-06.pdf
eについては残存甲状腺を破壊するアブレーションでは1110MBqが外来治療可能ですが、アブレーションでないので入院が必要になります。
https://www.jrias.or.jp/report/pdf/Y-90manual_v2_taisyutu.pdf
1110MBqの適応はアブレーションに限るとの記載あり。
dに関してはMarinelli-Quimbyの公式というものがあり
dose(Gy)=(14.7×有効半減期(day)×24時間甲状腺摂取率(%)×dose(MBq))/(甲状腺推定重量(g)×3.7×100)
で決められ、解説の通りです。
38ですが、bではないでしょうか?新核医学技術総論臨床編P462に1-2分、1.5-2.5分、2-3分の間の両腎積分値と予め計測した投与量を用いて接種率を計算とあります。