第13回核医学専門医試験【解答】

1. 放射性核種の壊変様式について誤っているのはどれか. 1 つ選べ.
a. α 壊変では,娘核種は親核種より,原子番号は 2 つ減る.
b. β− 壊変では,親核種と娘核種の質量数は変わらない.
c. β+ 壊変では,娘核種は親核種より,原子番号が 1 つ増える.
d. 軌道電子捕獲では,娘核種は親核種より,原子番号が 1 つ減る.
e. 核異性体転移では,原子番号と質量数は変わらない.

正解 c

  • c:β+ 壊変では,娘核種は親核種より,原子番号が 1 つ減る。
  • 質量数が変化するのはα崩壊のみ。
  • e:励起状態が比較的長く続いた状態の後でΓ線を放出することを核異性体転移という。原子番号と質量数は変わらない。

2. ウェル型シンチレーションカウンタを用いる試料測定に関して正しいのはどれか.1 つ選べ.
a. 3H などのベータ線放出核種を測定する.
b. 測定された計数率にバックグラウンドの計数率を加えて試料の計数率とする.
c. 測定時間が一定ならば統計誤差は計数率にかかわらず一定である.
d. 測定時間を長くすると統計誤差は小さくなる.
e. 数え落としは計数率の低い試料で問題になる.

正解 d

  • a,誤り。Γ線,KX線を測定する。3H などの低エネルギーベータ線放出核種の測定には液体シンチレーションカウンタを用いる。
  • b,誤り。バックグランドは差し引くことが必要。
  • c,誤り。計数率が変われば、測定時間が同じでも、誤差は生じる。
  • d,正しい。測定時間を長くすれば、測定誤差は減る。
  • e,誤り。数え落としは、計数率が高い場合に起こりうる。

3. 放射線,放射能に関する単位で誤っている組み合わせはどれか.1 つ選べ.
a. 放射能  dpm
b. 比放射能  Bq/μmol
c. 照射線量  C/kg 空気
d. 吸収線量  Gy
e. 実効線量  Bq/g

正解 e

  • 実効線量、等価線量はSv(シーベルト)

4. 20 kBq の標準線源の放射能を,分解時間 100 μs の計数装置で測定すると,計数率は 60000 cpm であった.この 測定条件における数え落としの割合はどれか.1 つ選べ.
a. 0.1
b. 0.2
c. 0.3
d. 0.4
e. 0.5

正解 a

cpmは一分間何カウントかということ。
まず1秒あたり何カウントかを意味するcpsに変換する。
計測率は60000 cpm=60000/60 cps =1000 cps
これに100μs=102×10-6 s=10-4 sをかければ、数え落としの割合が出る。
1000×10-4=0.1

(n0=n/1-nτ

τ(タウ)は分解時間。nτはカウンターが不感で、1秒間で分解できなかった時間を示す。

つまり、1秒間

なので1-nτは1秒間のうち分解に使われた時間(s)を示す。)

参考)GM管式サーベイメータ数え落としの過去問を考える

5. PET 装置について正しいのはどれか.1 つ選べ.
a. 計数率が高いほど測定された計数率に含まれる PET 装置の偶発同時計数の割合は低くなる.
b. PET の測定された計数率に含まれる散乱同時計数の割合は計数率が高くなると多くなる.
c. 吸収補正をしないと円柱ファントムの PET 画像は中心部が低くなる.
d. PET 装置の同時計数の時間幅(タイムウインドウ)は通常 12 ms 程度である.
e. PET 装置の感度は検出器リング径が大きいほど高くなる.

正解 c

6. ガンマカメラについて正しいのはどれか.2 つ選べ.
a. NaI(Tl) シンチレータ結晶は蛍光減衰時間が 50 ns である.
b. ピンホールコリメータの解像度は,線源との距離によらずほぼ一定である.
c. ガンマカメラのエネルギー分解能は,入射ガンマ線のエネルギーに依存しない.
d. 平行多孔コリメータの感度は,線源との距離によらずほぼ一定である.
e. ガンマカメラの位置演算に通常用いられるのは,アンガー方式である.

正解 d,e

  • a,230ns
  • b, 感度が悪いため、被写体を近づける必要がある。甲状腺など小さな被写体で用いられる。
  • d,平行多孔コリメータは線源(被写体)とコリメータの距離が大きくなると、空間分解能は劣化するが、感度・視野径はほぼ一定。一方ピンホールコリメータの場合は、bのように距離が大きくなると感度が大きく低下する。
  • e,正しい。現在のシンチレーションカメラは、シンチレータ、光電子倍増管、位置演算回路などの信号処理回路を組み合わせたアンガー方式によるものが主流(参考:わかりやすい核医学P16)

7. 18F-FDG PET における SUV に関し,正しいのはどれか.2 つ選べ.
a. SUV には,再構成画像の値に定量性がある必要があり,そのため減弱補正(吸収補正)は必須である.
b. 体重測定の精度は,SUV の精度には影響しない.
c. SUV とは,再構成画像の値 (Bq/ml) を投与した 18F-FDG の量 (Bq) の値で正規化したものである.
d. SUV を求めるには,投与量と再構成画像の減衰補正が同じ時刻を基準として行われていることが必要 である.
e. SUV を求めるには,投与量を測る計測器と PET 装置間でクロスキャリブレーションは不要である.

正解 a,d

8. 18F-FDG PET における SUV について誤っているのはどれか.1 つ選べ.
a. 肥満症例では過大評価される.
b. 病変が小さいと過小評価される.
c. 絶食の前処置が不良な症例では過小評価される.
d. 体重を過小に入力すると過小評価される.
e. FDG 投与量を過小に入力すると過小評価される.

正解 e

  • a,脂肪組織へのFDGの取り込みは少ない=肥満症例(脂肪が多い)では、脂肪以外への集積が多くなり、(病変への集積も多くなり)過大評価されることになる。
  • b,小さいものは検出しにくい=過小評価される。
  • c,絶食してない場合、筋肉への集積が亢進し、腫瘍などの部位への集積は落ちるため過小評価される。
  • SUV
  • d,体重が小さいと、分母が大きくなり、SUVの値は実際よりも小さくなる=過小評価される。
  • e,投与量を小さくするとSUVは大きくなる。過大評価することになる。

9,放射性核種とその半減期の組み合わせとして正しいのはどれか.1 つ選べ.
a. 123I  8 日
b. 201Tl  6 時間
c. 111In  2.8 時間
d. 125I  60 日
e. 67Ga  68 分

正解 d

  • a.123Iは13時間。
  • b.201Tlは73時間。
  • c.111Inは67時間。
  • e.67Gaは78時間。

10,脳血流 SPECT 検査に用いられる放射性医薬品はどれか.1 つ選べ.
a. 99mTc-HMDP
b.99mTc-HMPAO
c.99mTc-MAA
d. 123I-BMIPP
e. 123I-MIBG

正解 b

脳血流SPECT検査に用いられる放射性医薬品

  • 123I-IMP
  • 99mTc-HMPAO
  • 99mTc-ECD

の3種類。

11,ある 99mTc 製剤の有効半減期を求めたら 2 時間であった.この製剤の生物学的半減期はどれか.1 つ選べ.
a. 1 時間
b. 2 時間
c. 3 時間
d. 4 時間
e. 6 時間

正解 c

99mTcの半減期は物理学的は6時間なので、

1/2=1/6+1/x

x=3時間

12,ゼヴァリンによる RI 標識抗体療法を行う際に使用する放射性核種はどれか.2 つ選べ.
a. 99mTc
b. 89Sr
c. 90Y
d. 111In
e. 123I

正解 c,d

13,111In-ペンテレオチドが標的とする受容体はどれか.1 つ選べ.
a. アセチルコリン受容体
b. カルシトニン受容体
c. グルカゴン受容体
d. セロトニン受容体
e. ソマトスタチン受容体

正解 e

111In-pentereotide(ペンテレオチド)

  • ソマトスタチン受容体への結合をする。
  • ソマトスタチン受容体を有する原発性及び転移性神経内分泌腫瘍に保険適応あり。

14,トランスポータを標的とするのはどれか.1 つ選べ.
a. 123I-iomazenil
b. 123I-ioflupane
c. 11C-raclopride
d. 18F-flutemetamol
e. 99mTc-HMPAO

正解 b

  • a,123I-iomazenil:中枢性ベンゾジアゼピン受容体
  • c,11C-raclopride:ドーパミンβ2受容体 (ちなみにドパミンβ1受容体へはC-11 SCH23390)
  • d,18F-flutemetamol:βアミロイドへの特異的結合

15,内用療法に用いられる β 線放出核種はどれか.1 つ選べ.
a. 67Ga
b. 89Sr
c. 111In
d. 201Tl
e. 223Ra

正解 b

16,放射性医薬品(注射剤)の品質管理を目的に測定される項目として,誤っているのはどれか.1 つ選べ.
a. 有効半減期
b. 粒子の有無
c. pH
d. 放射化学的純度
e. 化学的純度

正解  a

  • 物理的半減期はチェックするが、有効半減期は測定しない。(そもそも体内に注入しないと、生物学的半減期がわからないので、有効半減期は求められない。)

放射性医薬品の品質管理

  • 確認試験:放射性核種の確認
  • 純度試験:放射性核種純度、放射化学的純度化学的純度
  • 無菌試験
  • 発熱性物質試験
  • pH
  • 性状など

参考:第13回日本核医学学会春季大会テキストP16

17,放射性医薬品基準に関し,誤っているのはどれか.1 つ選べ.
a. 放射性医薬品基準では放射性医薬品の,製法,性状,品質,貯法等に関する基準を定めている.
b. 放射性医薬品の放射化学的純度の検定には薄層クロマトグラフィを用いることができる.
c. 純度試験における放射化学的異物とは,その医薬品の放射性核種とは異なる核種の混在物のことであ る.
d. 「検定日」または「検定日時」とは,医薬品が表示された放射能を有すべき日または日時をいう.
e. 放射性医薬品基準には,医薬品各条として個々の放射性医薬品に関しても規定されている.

正解 c

「納入日」、「検定日(時)」とはどのようなものです か?

放射性医薬品では、含まれている放射性同位元素が時間とともに減っ ていくので、放射性医薬品の放射能量は時間とともに減っていきます。 そのため、放射能がいつの時点でどれくらいあるかということを示すため の基準として検定日(時)が定められています。 なお、納入日は、放射性医薬品が病院に納品される日のことで、検定日 (時)と必ずしも一致しません。出典:放射性医薬品取扱いの 基本に関するQ&A集 – 日本アイソトープ協会Q6

 

18,MIRD 法による線量計算について正しいのはどれか.1 つ選べ.
a. 体重 60 kg の人を仮定している.
b. ガンマ線による被ばくのみを仮定している.
c. 他臓器が放射線源とならないと仮定している.
d. 各臓器内の放射能の分布は均一と仮定している.
e. 放射性同位元素は体外に排泄されないと仮定している.

正解 d

MIRD法

  • 内部被曝を計算する方法。
  • 放射線の種類を問わない。
  • 臓器内では放射能は均一に分布すると仮定する。

参考:臨床核医学 2014 vol.47 No.1

19. 核医学検査を受ける患者の被ばく線量に直接関係がないのはどれか.1 つ選べ.
a. 放射性医薬品の投与量
b. 核種の質量数
c. 核種のベータ線放出の有無
d. 放射性医薬品の物理学的半減期
e. 放射性医薬品の生物学的半減期

正解 b

20,放射線診療従事者の被ばく防止に関し,誤っているのはどれか.1 つ選べ.
a. 実効線量限度 5 年間 100 mSv かつ 1 年間 20 mSv
b. 女子の実効線量限度 3 月間 5 mSv
c.妊娠中である女子の実効線量限度 1 mSv(妊娠の事実を知ったときから出産までの間)
d. 水晶体の等価線量限度 1 年間 150 mSv
e. 皮膚の等価線量限度 1 年間 500 mSv

正解 a(cは?)

  • a. 実効線量限度 5 年間 100 mSv かつ 1 年間 20 mSv→1年間50mSv
  • cも正しそうだが・・・。

21. 放射性医薬品の被ばく防護に関し,誤っているのはどれか.1 つ選べ.
a. 外部被ばくを軽減するためには,時間,距離,遮へいの三点から考える必要がある.
b. 被ばく量は,取り扱い時間に比例するので短い方が少ない.
c. 被ばく量は,線源からの距離の 2 乗に反比例するので遠い方が少ない.
d. ガンマ線の遮へいにはアルミなど原子番号の小さな物質を用いるべきである.
e. 非密封の放射性医薬品は内部被ばくの危険性がある.

正解 d

  • γ線の遮蔽には鉛板や重コンクリートなどが用いられる。
  • β線の遮蔽は数mmのアルミ板で可能。

22. 放射性医薬品と検査項目の組み合わせで誤っているのはどれか.1 つ選べ.
a. C15O  脳血液量
b. 18F-Florbetapir  アミロイド蓄積
c. 99mTc-ECD  脳血流
d. 123I-FP-CIT  ドーパミントランスポータ
e. 123I-IMP  中枢性ベンゾジアゼピンレセプタ

正解 e

  • b,正しい。参考)18F-AV45(Florbetapir F 18)
  • 123I-iomazenil:中枢性ベンゾジアゼピン受容体→難治性てんかんの焦点診断に用いられる。
  • 123I-FP-CIT 、123-β-CIT:ドパミントランスポータ

23. 脳 SPECT,PET 検査に関して正しいのはどれか.1 つ選べ.
a. 脳血流 SPECT の統計画像解析による診断は脳萎縮の影響を受けにくい.
b. 体動の多い小児の脳 18F-FDG PET 検査では静注後に速やかに鎮静を行う.
c. 右大脳半球および左小脳半球の 123I-IMP SPECT 集積低下では両者の脳血管障害を指摘する.
d. 脳炎の診断のために 99mTc-HMPAO SPECT を行った.
e. 典型的なパーキンソン病の 123I-ioflupane SPECT では両側線条体に均等な集積低下を認める.

正解 d

  • a. 萎縮や脳室拡大の影響を考慮して統計画像を評価する。(5回核医学専門医試験11)
  • c. crossed cerebellar diaschisisを考える。
  • e. PDでは、運動症状が片側で始まり対側に進展していくのが典型であり、画像所見も同様に対側の被殻で集積低下を認め、左右非対称に進行して、やがて両側の集積低下を示す。(参考:わかりやすい核医学 P39)

24. 脳血流 SPECT で高血流を呈する疾患として正しいのはどれか.1 つ選べ.
a. 側頭葉てんかん発作間欠期
b. 脳梗塞慢性期
c. ヘルペス脳炎急性期
d. アルツハイマー病
e. ピック病

正解 c

25. 脳血流 SPECT におけるダイアモックス負荷試験の適正使用について,誤っているのはどれか.1 つ選べ.
a. 適応外使用である.
b. 急性肺水腫などの副作用に注意する.
c. 心電図,酸素飽和度のモニターを行う.
d. 30 歳以下の患者には重篤な副作用の報告はない.
e. 2 回目以降の負荷でも重篤な副作用の報告がある.

正解 e

26. 負荷心筋血流 SPECT に関して正しいのはどれか.1 つ選べ.
a. 心電図同期収集での心機能指標は 201TlCl のほうが 99mTc 製剤より精度が高い.
b. アデノシン負荷での可逆性集積低下は誘発された心筋虚血を示している.
c. 201TlCl での虚血の診断には再静注が必須である.
d. 99mTc 標識心筋血流製剤での虚血の診断には再静注は必須ではない.
e. 201TlCl の初回循環時の摂取率は 99mTc 標識心筋血流製剤より高い.

正解 e

  • a.心電図同期SPECTに適しているのは99mTc製剤(MIBI)。
  • b,誤り。limited flow researveをみる。運動負荷とdobutamine負荷は虚血をみる。
  • c.201Tlは負荷検査の場合1回の注射で負荷像と安静時の画像を撮影できる。
  • d.99mTc製剤の場合は、再度注射が必要。
  • e,初回摂取率 Tlー4%、Tcー2%

27. 急性心筋梗塞 1 週間後の安静時検査において,虚血領域 (Area at risk) に欠損を示すのはどれか.1 つ選べ.
a. 201TlCl
b. 99mTc-MIBI
c. 99mTc-ピロリン酸
d. 18F-FDG
e. 123I-BMIPP

正解 e

心筋血流シンチグラフィ:201Tl、99mTc製剤(99mTc-MIBI、99mTc-terrofosmin)

その他の心筋シンチグラフィ:

  • 心筋梗塞シンチグラフィ:99mTc-PYP(ピロリン酸)→心筋梗塞後7日以内で梗塞部位を陽性描出する。
  • 心プールシンチグラフィ:99mTc-HSAあるいは、99m-RBC
  • 脂肪酸代謝シンチグラフィ:123I-BMIPP→異常集積から障害心筋や虚血のエピソードを知ることができる(memory imaging)
  • 交感神経シンチグラフィ:123I-MIBG

28. 負荷心筋シンチグラフィの読影所見について正しいのはどれか.1 つ選べ.
a. 男性では側壁に減弱による集積低下がしばしば認められる.
b. 女性では前壁に減弱による集積低下がしばしば認められる.
c. 右脚ブロック患者では運動負荷でしばしば中隔基部に偽陽性が見られる.
d. 201TlCl シンチグラフィでは胆のうの高集積によるアーチファクトに注意する.
e. 99mTc 血流製剤では負荷安静像の洗い出し率が診断に有用である.

正解 b

  • b,大きな乳房がある女性患者の場合、前壁に固定性の集積低下をきたすことが多い。(参考:わかりやすい核医学P67)
  • c,誤り?左脚ブロックや心尖部心室ペーシングでは中隔の集積が低下する。
  • d.誤り。201TlCl シンチグラフィでは、肝臓や胆嚢への集積が少なく、肝臓や胆嚢へのアーチファクトの影響を受けにくい。

29. 18F-FDG を用いた PET 検査における生理的集積部位として,誤っているのはどれか.1 つ選べ.
a. 外眼筋
b. 舌下腺
c. 甲状腺
d. 脳
e. 腎

正解 c

30. 18F-FDG の集積で正しいのはどれか.1 つ選べ.
a. 若年者では扁桃の集積が低いことが多い.
b. 褐色脂肪の集積は腹部では見られない.
c. 子宮内膜の集積は月経時だけではなく,排卵期にもみられることが多い.
d. 心筋の集積は血糖と比例する.
e. インスリンを投与すると脳の集積が亢進する.

正解 c

  • c, 子宮内膜では、月経期及び排卵期付近で集積が見られる。卵巣の場合は、排卵期から黄体形成期に集積亢進が見られることが多い。そのため、子宮卵巣病変の評価には、月経終了後1週間以内に撮影することが望ましいとされる。
  • e, 筋肉への集積が亢進し、脳の集積は減弱する。

31. 18F-FDG PET/CT 検査で検出しやすいものはどれか.1 つ選べ.
a. 高分化型肝細胞癌
b. 胃印環細胞癌
c. 局所進行大腸癌
d. 膀胱癌
e. 前立腺癌

正解 c

32. 18F-FDG 集積で誤っているのはどれか.1 つ選べ.
a. 女性化乳房には 18F-FDG が集積する.
b. G-CSF を投与すると骨髄だけでなく,脾臓にも 18F-FDG 集積を認める.
c. 反回神経麻痺の時,18F-FDG 集積の声帯への集積は麻痺側に認める.
d. 小児の胸腺への集積は生理的集積である.
e. 胃への生理的集積は噴門側主体に認められる.

正解 c

33. 99mTc-MAA 肺血流シンチグラム正常像について正しいのはどれか.1 つ選べ.
a.99mTc-MAA を上肢から投与する場合と下肢から投与する場合とで,分布が異なる.
b.99mTc-MAA を座位で投与した場合,肺尖部の分布が多くなる.
c.99mTc-MAA を仰臥位で投与した場合,背側の分布が多くなる.
d.99mTc-MAA の標識不良があった場合,心筋への集積を認める.
e. 静脈注射時に患者の逆流血液が混じっても問題ない.

正解 c

  • freeの99mTcが生理的に胃、甲状腺、唾液腺などへ集積する。

34. 唾液腺シンチグラフィにて集積亢進を示す疾患はどれか.2 つ選べ.
a. Warthin 腫瘍
b. 慢性唾液腺炎
c. 多形性腺腫
d. oncocytoma
e. Sjögren 症候群

正解 a,d

35. すみやかに胆道系に排泄される薬剤はどれか.1 つ選べ.
a. 99mTc-RBC
b. 99mTc-Sn コロイド
c. 99mTc-フィチン酸
d. 99mTc-PMT
e. 99mTc-DTPA-HSA

正解 d

肝胆道シンチグラフィ

  • 99mTc-PMTを用いる。
  • 投与5分で心プールが消失
    →肝への集積を認め、胆汁中に排泄
    →30分以内に肝管・総胆管を経由して腸管の描出あり。
    →60分以内に胆のうも描出。

36. 腎瘢痕の診断に最も有用な薬剤はどれか.1 つ選べ.
a. 99mTc-GSA
b.99mTc-DMSA
c.99mTc-DTPA
d.99mTc-MAG3
e. 67Ga-citrate

正解 b

37. 骨シンチグラフィで集積増加像として認められることが多いのはどれか.1 つ選べ.
a. 早期の大腿骨頭壊死
b. 多発性骨髄腫
c. 腎細胞癌の骨転移巣
d. 初期の複合性局所疼痛症候群
e. 過去の外照射部位

正解 d?(aは?)

  • 大腿骨頭壊死の診断には、骨シンチや、MRIが有用。
  • b,c:溶骨性のパターンを示し、集積は乏しいことが多い。
  • d,複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome;CRPS):type1と2に分けられる。臨床診断にはサーモグラムや三相骨シンチが役立つ。発症早期でそれぞれ高血流、充血、びまん性の均一な高集積を大部分の症例で認める。(参考)わかりやすい核医学P147。

38,骨シンチグラフィに関して誤っているのはどれか.1 つ選べ.
a. 前立腺癌骨転移において,18F-FDG PET は,骨シンチグラフィより検出感度が高い.
b. 3 相骨シンチグラフィは骨髄炎の活動性評価に有用である.
c. 撮像直前に排尿させる.
d. 99mTc-HMDP は 99mTc-MDP よりバックグラウンドの低下が早い.
e. 放射性医薬品投与 3–4 時間後に撮像する.

正解 a

d,正しい。99mTc-HMDP は 99mTc-MDP よりバックグラウンドの低下が早い。99mTc-HMDPは投与後早くから検査できる。

3 相骨シンチグラフィ

  • 病巣の血流を評価する目的で行われる。
  • ①早期相:静脈注射後直ちに(血流イメージ)
    ②血液プール相:5-10分後(血液プールイメージ)
    ③遅延相:2-3時間後(通常の骨シンチ)の3相撮影する。
  • 急性骨髄炎(①〜③↑)と蜂窩織炎(①、②↑、③→)の鑑別に用いられる。
  • 反射性交感性ジストロフィ(Reflex sympathetic dystrophy:RSD)においても診断に有用(①②↑、③で関節周囲に異常集積)。

39. 99mTc-Sn コロイドを使用しないのはどれか.1 つ選べ.
a. 肝硬変の病態評価
b. 肺塞栓症の診断
c. センチネルリンパ節検索
d. 脾梗塞の診断
e. 副脾の診断

正解:b

コロイド肝シンチグラフィ

  • 99mTc-スズコロイド、99mTc-フィチン酸が肝の網内系細胞であるクッパー細胞に取り込まれることにより肝が特異的に描出される。
  • MRIの造影剤であるSPIOが同じ機序で集積。
  • 肝硬変の病態評価にも使える。
  • 副脾や脾梗塞の診断にも有用。
  • (また共にセンチネルリンパ節検索にも用いられる。他、センチネルリンパ節検索には99mTc-HSAも用いられる)

40. 131I-アドステロールによる副腎皮質シンチグラフィについて,正しいのはどれか.1 つ選べ.
a. 肝臓や腸管に生理的集積ないし排泄が見られる.
b. デキサメサゾンを投与しない場合,正常の副腎は描出されない.
c. 画質向上のため,静脈注射は急速に行うことが望ましい.
d. 撮像は投与 6 時間後と 24 時間後に行うのが一般的である.
e. 放射性医薬品投与前日からヨウ素制限を行う.

正解 a

  • a,131I-アドステロールは、静脈注射してから3-4日で尿中及び腸管に排泄される。一部は肝臓に取り込まれ、胆汁から腸管へ排泄される。
  • b,デキサメサゾンは原発性アルドステロンが疑われる場合に、副腎腺腫と過形成の鑑別に用いられる。クッシング症候群の場合には用いない。
  • また、
    原発性アルドステロン症→健側は軽度描出あり。
    クッシング症候群→健側は描出されない。
    副腎過形成→両側描出される。
  • d,静脈注射してから7日後に検査を行う。

41. 内用療法について,正しいのはどれか.1 つ選べ.
a. 事前の画像診断で病巣に薬剤の集積が見られない場合は治療適応外である.
b. 乳児と同居している場合は RI 治療病室に入院しなければならない.
c. RI 治療病室では医療従事者の被ばくを減らすため,家族に食事等の介助をしてもらうのが望ましい.
d. 治療後の注意点を理解して守ることができないため治療を断念した.
e. 飛程の長い β 線の場合には,大きな腫瘍ほど治療効果が大きい.

正解 d

e:ベータ線は短く、小さな腫瘍に効果がある。大きなものは手術でとる。

42.甲状腺癌の 131I 治療に関する放射線安全管理について誤っているのはどれか.1 つ選べ.
a. 医療法だけでなく放射線障害防止法の対象となる.
b. 投与量,退出した日時,退出時に測定した線量率を記録しなければならない.
c. 授乳中の乳幼児がいる母親に対しては,注意・指導した内容を記録しなければならない.
d. 退出基準を満たさない場合でも,医療従事者は当該患者の病室に入室できる.
e. 患者が病室内に持ち込んだものでも,放射線量が少なければ持ち出しを許可できる.

正解 a

  • a,誤り。RIで行う検査と治療は、全て医療法。障害防止法は、リニアックや、小線源など。ちなみに、PETの製剤を製造するサイクロトロンは、加速器なので障害防止法。(PET診療は医療法)
  • e,正しい。表面汚染密度の10分の1を超えなければ、管理区域の外に持ち出せる。

43. 70 歳代,男性.ものが言いにくい.記憶障害が目立つ.MMSE=18.軽度呂律困難.安静時振戦,筋固縮あり. 歩行時体幹軽度後屈みられる. MRI(別紙 No. 43:図 1, 2)および 123I-IMP 脳血流 SPECT(別紙 No. 43:図 3, 4)が施行された. 以下の文で正しいのはどれか.1 つ選べ.
a. この症例は MRI で前頭葉にて knife blade 様の萎縮がみられる.
b. 後頭葉の血流低下が優位である.
c. この症例の疾患は一般的には幻視や認知機能の変動を伴うことが多い.
d. この症例に塩酸ドネペジルは有用である.
e. この症例に 123I-MIBG による心臓交感神経シンチグラフィを施行すれば,高い確率で心筋への集積は保たれていることが予想される.

kakuigaku13-43

正解  e? (結局何の疾患なのかわからない。PSP??とすると矢状断像の中脳被蓋の萎縮が目立たないが)

  • 前頭葉及び側頭葉に萎縮及び血流低下あり。前頭側頭変性症?しかし、knife blade様とまではいかない。
  • b,後頭葉の血流低下を認めるのはDLB。今は認めていない。
  • c,幻視や認知機能の変動を伴うのはDLB。
  • d,塩酸ドネペジルが保険適用になっており有用なのはAD,DLB。

44. 80 歳代,男性.7 年前から下肢優位の運動障害,活動性低下が出現した.初診時,運動障害に加え,振戦,後方易転倒性,開眼失行,眼球運動制限等が認められた.内服薬で経過観察したが徐々に悪化し,認知機能障害も出現してきたため,精査目的で来院した. MRI 上,脳萎縮や軽度虚血性変化を認めるのみ.123I-IMP SPECT および 123I-ioflupane SPECT で下の画像を得た (別紙 No. 44).最も可能性の高い疾患はどれか.1 つ選べ.
a. 前頭側頭型認知症
b. レビー小体型認知症
c. 脊髄小脳変性症
d. 進行性核上性麻痺
e. 正常圧水頭症

kakuigaku13-44

正解 d

参考)ダットスキャン読影のポイント(日本メジフィジックス株式会社)

45. 15O PET について正しいのはどれか.1 つ選べ.
a. 血中ヘモグロビンの低下では脳血液量が過小評価される.
b. 15O-H2O PET では血中炭酸ガス分圧の影響が大きい.
c. 頸動脈狭窄に対するステント留置術適応の決定に 15O PET は必須である.
d. steady state 法は PET の時間短縮を行う有効な方法である.
e. 脳酸素代謝は 15O-CO2 PET で評価できる.

正解 b

  • a,脳血液量はヘモグロビンと強く結合する性質を用いて15O-CO PETで評価する。が、投与薬剤は微量であり、ヘモグロビンの濃度差はそれほど大きく影響しないのではないか。
  • b,CO2分圧が下がると血管収縮して脳血流は下がる。
  • c,誤り
  • d,時間短縮できるのは、ARG法
  • e,脳酸素代謝は、15O-O2 PETで評価できる。脳血流は15O-H2O,15O-CO2 PETで評価できる。

参考)わかりやすい核医学P41-42

46. 核医学画像図 1–3(別紙 No. 46)より最も考えらえる疾患名はどれか.1 つ選べ.
a. アルツハイマー型認知症
b. 前頭側頭型認知症
c. 脳血管性認知症
d. レビー小体型認知症
e. ハッチントン病

kakuigaku13-46

正解 d

47. 脳血流シンチグラフィで正しいのはどれか.1 つ選べ.
a. 急性期脳梗塞の血栓溶解療法適応決定に必須である.
b. 脳内出血部位は高集積となる.
c. ヨード製剤では喘息やアレルギー有無の問診が必要である.
d. 脳虚血後のぜいたく灌流の検出にはどの製剤も優れている.
e. ダイアモックスは,脳循環予備能の評価に用いられる.

正解 e

脳血流が減少

  • 脳梗塞(ただし亜急性期以外)
  • 脳動脈・頸動脈の狭窄や閉塞による血流低下(血行力学的脳循環障害)
  • 脳出血
  • 左(右)被殻出血時の右(左)小脳
  • 発作間欠時のてんかん
  • 脳神経の機能低下、障害の結果として起こる血流低下(血流・酸素代謝の一致した障害)

48. 別紙 No. 48 に 15O-H2O PET を用いた同一症例の (A) 安静時,(B) 負荷時,(C) (B) 画像から (A) 画像を差し引い たサブトラクション画像を示す.実施した負荷はどれか.1 つ選べ.
a. 両側手指運動
b. 視覚刺激
c. 5% CO2 ガス吸入
d. 聴覚刺激
e. 発話kakuigaku13-48

正解 d

サブトラクション画像において両側側頭葉のHeschl回に両側性の血流低下を認めている。聴覚刺激を行なったと考えられる。

参考)

刺激と血流増加部位の関係

  • 聴覚刺激:両側側頭葉のHeschl回の血流増加(13回核医学専門医48番)
  • 視覚刺激:後頭葉内側の血流増加
  • 指運動:運動側と反対側の高位中心溝周辺領域(ローランド領)の血流低下
  • 一般的な運動刺激:反対側の補足運動野(前頭葉内側面で運動野の前方)と同側小脳の血流増加
  • 過換気:全脳血流量の低下(10回核医学専門医47番)
  • 咀嚼運動:両側弁蓋部からローランド領中下部の血流増加(3回核医学専門医20番)

49. 40 歳代,男性.うっ血性心不全の精査で行われた冠動脈造影検査で 3 枝病変を認め,特に右冠動脈は完全閉塞であった.治療方針決定目的に 99mTc 製剤による安静時心筋シンチグラフィおよび 18F-FDG PET 検査が行われ た.それぞれの短軸断層像(別紙 No. 49)を示す.以下の設問のうち,正しいのはどれか,2 つ選べ.
a. 18F-FDG PET で viability の評価をする場合,事前にブドウ糖の経口投与もしくは静注を行う.
b. 18F-FDG の集積は強い炎症を反映している.
c. 下壁に血流の高度低下を認め,viability はないと考えられる.
d. 前壁に 18F-FDG の集積低下領域が認められ,一部で viability が低下している.
e. 血行再建術は行わず,保存的治療が望ましい.

kakuigaku13-49

正解 a,d

  • a, FDG-PET検査において、心筋バイアビリティの評価の場合には、正常心筋への生理的な集積を亢進させる必要があるので血糖値が90mg/dl以下であれば、糖負荷を行う。一方で、活動性病変を評価する際には、生理的な集積を抑えるために、炭水化物の摂取制限を最低でも12時間以上行う必要がある。同じFDG-PET検査でも全く逆のことをするので注意が必要。
  • b, 今回は心筋バイアビリティをみている。

50. 60 歳代,女性.10 日前に,労作時に突然の左前胸部痛が出現した.症状は徐々に改善したが,3 日前に近医受 診し心電図検査で,II,III,aVF,V4–V6 に ST 上昇,心臓超音波検査で,心尖部に高度の壁運動低下を認め, トロポニンも陽性のため当院紹介入院となる.入院後施行された安静時 201TlCl 心筋血流 SPECT,123I-BMIPP 心筋 SPECT(別紙 No. 50:図 A),および冠動脈造影(別紙 No. 50:図 B)を示す. 考えられる疾患はどれか.1 つ選べ.
a. 前壁心筋梗塞
b. 下壁梗塞
c. たこつぼ型心筋症
d. 肥大型心筋症
e. 拡張型心筋症

kakuigaku13-50

正解 c

  • 下壁において、201Tlは血流低下を認めないが123I-BMIPPでは集積低下を認めており、ミスマッチがある。
  • 経過からは急性心筋梗塞を疑うが、冠動脈造影において狭窄は認めない。?
  • このように急性心筋梗塞と同じような症状及び心電図変化をきたすのに、冠動脈造影において狭窄を認めず、安静時血流シンチと123I-BMIPPのミスマッチを認めるものは、たこつぼ型心筋症である。

参考)

51. 症例 70 歳代,女性. 診断 虚血性心筋症,心不全 NYHA 機能分類 III 度 既往歴 うつ病(現在精神科外来にて加療中) 別紙 No. 51 に本症例の 123I-MIBG 心臓交感神経イメージング正面像(汎用型低エネルギーコリメータ使用, 123I-MIBG 111 MBq 投与,撮像時間:早期像 20 分後,後期像 3 時間後)を示す.本症例の 123I-MIBG 集積の心縦隔比 (HMR) を評価する際,HMR が低下する要因として誤っているのはどれか.1 つ選べ.
a. 123I-MIBG の投与量が少ない.
b.123I-MIBG 投与後の撮像時間が遅い.
c.123I-MIBG 撮像カメラのコリメータが低エネルギー用である.
d. 抗うつ剤を服用している.
e. 重症の心不全である.

kakuigaku13-51

正解 a

H/M比が低下、洗い出し亢進する疾患

  • 糖尿病
  • 心不全
  • 虚血性心疾患
  • 不整脈疾患
  • びまん性レビー小体病(パーキンソン病、レビー小体型認知症)
  • 家族性アミロイドーシス
  • MSA

52. 80 歳代,男性.主訴は労作時胸痛で,アデノシン負荷心電図同期心筋血流 SPECT が行われた.別紙 No. 52 図 1 に負荷後と安静時の SPECT 画像(短軸像),図 2 に QGS (Quantitative Gated SPECT) による心機能解析の結果 (前面像)を示す.正しいのはどれか.1 つ選べ.
a. 右冠動脈領域に虚血が存在する.
b. 左前下行枝領域は正常である.
c. 左回旋枝領域に梗塞が存在する.
d. 誘発虚血後の気絶心筋を認める.
e. 虚血性心不全が示唆される.
kakuigaku13-52

正解 d

  • 血流シンチでは左前下行枝領域に再分布を認めており、虚血が示唆される。血流シンチでは再分布を認めているのに、QGSでは、前壁側の収縮能が戻っていない。気絶心筋の状態と考えられる。
  • 安静時EF 76% 負荷時69%。負荷時の5%以上の低下はpost-ischemic stunningと呼ばれ重症心筋虚血を示唆する指標とされる。(臨床画像 vol.31,No.4増刊号,2015)

kakuigaku13

気絶心筋(stunned myocardium)

気絶心筋(stunned myocardium)とは、冠動脈閉塞後に再灌流しても心機能障害(壁運動異常)が持続し、壁運動回復が遷延すること。出典:急性心筋梗塞後の気絶心筋

不全心筋と心筋バイアビリティの定義

  • 気絶心筋(stunned):血流は保たれるが壁機能は低下したまま。予後は良好。
  • 冬眠心筋(hibernation):血流は低下、壁機能も低下。糖負荷FDG-PETによる集積はあり、ミスマッチが起こる。十分な心筋血流再建が行われれば、心機能が改善する可能性がある。
  • 瘢痕組織(scar):血流・壁機能・FDG集積低下。マッチ。改善は見込めず、心移植や薬物治療の対象。

参考)第13回日本核医学学会春季大会P210-211

QGSの見方

  • 心機能(EF)と左室サイズ(拡張末期左室容量=EDV:end-diastolic volume)をチェックする。
  • EFの正常下限は45-50%。
  • EDVの上限は体格などにもよるが目安として120mL前後。

53. 50 歳代,男性.労作時の胸部違和感にて 99mTc 心筋血流製剤による運動負荷および安静心筋血流 SPECT が施行 された.別紙 No. 53 に本症例の吸収補正ありとなしの画像を図 A と B(順不同)に示す. 誤っているのはどれか.1 つ選べ.
a. 吸収補正ありの画像は A で,吸収補正なしの画像は B である.
b. 一過性左室内腔拡大所見を認める.
c. 前壁に虚血が疑われる.
d. 前壁の心筋 viability は乏しい.
e. 下側壁に小範囲の虚血が疑われる.
kakuigaku13-53

正解 d

54. 別紙 No. 54 に負荷心筋シンチグラフィと糖負荷 PET 画像を呈示する.誤っているのはどれか.1 つ選べ.
a. 前下行枝領域の心筋虚血を認める.
b. 対角枝領域の心筋虚血を認める.
c. PET 画像から回旋枝領域にも虚血が強く疑われる.
d. 前下行枝領域に心筋バイアビリティがある.
e. 右冠動脈領域に心筋バイアビリティがある.
kakuigaku13-54

正解 c?b?

  • 血流シンチでは、前下行枝領域に血流低下及び再分布を認めている。が一部は再分布していないか。また、右冠動脈領域にも同様の所見あり。
  • →前下行枝領域・冠動脈領域に虚血+一部梗塞。(aは正しい)ただし、対角枝領域の虚血はなしか。→bが誤り?
  • FDG-PETでは中隔に及ばない前下行枝領域つまり、対角枝領域に集積低下を認めている。また回旋枝領域にも一部集積低下あり。→対角枝領域・回旋枝領域にバイアビリティの低下。(eは正しい。dも正しいと言っていい)
  • 残るcは、「PET 画像から回旋枝領域にも虚血が強く疑われる」だが、回旋枝領域にバイアビリティの低下とは言えても、虚血が疑われるとは言えないと思われる。

55. 50 歳代,男性.下腿浮腫を主訴に来院した.右そ径リンパ節腫大を認め,CT 検査で腹部リンパ節腫大も認め られた.悪性リンパ腫ないし原発不明癌が疑われ,18F-FDG PET 検査(別紙 No. 55:図 1)が施行された.検査結果より,骨シンチグラフィが追加施行された(別紙 No. 55:図 2).正しいのはどれか.1 つ選べ.
a. 腹部リンパ節転移と多発骨転移を認め,胃癌の検索を行う.
b. 腹部リンパ節転移と多発骨転移を伴った大腸癌を疑う.
c. 腹部リンパ節転移と多発骨転移を伴った前立腺癌を疑う.
d. 腹部リンパ節転移と多発骨転移を伴った腎癌を疑う.
e. 多発性骨髄腫と腹部領域の髄外性形質細胞腫を疑う.
kakuigaku13-55

正解 c

  • d,e:腎癌や多発性骨髄腫は溶骨性病変を作るため骨シンチで集積しにくい。

56. 40 歳代,男性.甲状腺右葉の 5 cm 大のろ胞性腫瘍に対して右葉切除施行.術後病理では,広範浸潤型ろ胞癌 であった.本症例に対する今後の治療方針について正しいのはどれか.1 つ選べ.
a. 経過観察
b. 補完全摘後に経過観察
c. 補完全摘を行わずに 131I 内用療法を施行
d. 補完全摘後に 131I 内用療法を施行
e. 分子標的薬治療

正解 d

甲状腺癌に対する131I内用療法

  • 131I内用療法は分化型甲状腺癌(乳頭癌、濾胞癌)に適応あり。
  • 治療の対象となるのは甲状腺全摘(または準全摘)術後の症例。今回のように片葉切除または亜全摘の症例では甲状腺補完全摘後に治療の対象となる。

57. 60 歳代,男性.人間ドックで右腎に異常を指摘され,精査のため来院.腹部造影 CT 早期像(図 1),腹部造影 CT 後期像(図 2),18F-FDG PET(図 3)を別紙 No. 57 に示す.最も可能性の高いのはどれか.1 つ選べ.
a. 腎膿瘍
b. 腎結核
c. 腎悪性リンパ腫
d. 腎淡明細胞癌
e. 腎盂癌
kakuigaku13-57

正解 d

  • 右腎に早期濃染、washoutあり。FDGの取り込みは不良。
  • 分化型肝癌、一部の腎癌では、グルコース-6-ホスファターゼ(G6Pase)という脱リン酸化酵素を持っているため、集積されない。

参考)PET検査の基礎知識と原理(SUV、腫瘍、血糖値)

58. 60 歳代,男性.肝機能障害で腹部 CT 検査(単純検査と造影検査)を受けたところ,肝臓右葉に占拠性病変を 認めた.CT 所見から悪性腫瘍が疑われたが,患者の意向や出血傾向が認められたことなどから,病期診断を含 めて精査するため 18F-FDG PET/CT 検査を行った(別紙 No. 58). 以下の記載のうち誤っているのはどれか.1 つ選べ.
a. PET 画像で肝臓右葉の腫瘍病巣には弱い 18F-FDG 集積が認められる.
b. PET 全身 MIP 画像で観察する限り,肝臓外の悪性病変は指摘しがたい.
c. PET 全身 MIP 画像で観察する限り,高度の耐糖能異常は考えにくい.
d. 肝臓右葉の腫瘍は,原発性肝細胞癌と転移性肝臓癌のいずれも考えられる.
e. 原発性肝細胞癌とすると低分化型の肝細胞癌が考えやすい.

kakuigaku13-58

正解 e

  • 腫瘍のサイズの割に、FDGの集積を認めていない。高分化型肝癌が疑われる。

59. 60 歳代,男性.腎盂癌の転移検索のため,99mTc-MDP による骨シンチグラフィ(別紙 No. 59:図 1)を行った. 溶骨性転移が疑われる領域はどこか.1 つ選べ. なお,患者は腎不全のため血液透析を受けている.
a. 胸郭
b. 骨盤
c. 四肢
d. 頭蓋
e. 胸椎
kakuigaku13-59

正解 b

  • 背面像での仙腸関節部への集積に左右差あり。左は正常。右が抜けているのでここに溶骨性転移があると考えられる。
  • 正面像で胸椎に集積低下があるように見えるのは後弯によるものであり、正常範囲。

60. 70 歳代,女性.健康診断で高血圧を指摘され来院した.腹部 CT(別紙 No. 60)を施行したところ肝臓右葉近 傍に腫瘤が認められたため,ある放射性医薬品 (RI) を用いたシンチグラフィ(別紙 No. 60:中央,右)が行わ れた.次のうち誤っているのはどれか.1 つ選べ.
a. RI を 18.5 MBq 静脈投与して 7 日後に撮像されたものである.
b. 散在する淡い集積は腸管であり,RI が糞便中に排泄されたためである.
c. 集積機序は,腫瘍が RI をコレステロールの生理的アナログとして取り込むことにある.
d. エタノール添加のため大酒家に投与すると,血管迷走神経反射系の副作用が現れやすい.
e. シンチグラムと CT の所見から判断すると,クッシング症候群(副腎腺腫)が疑われる.kakuigaku13-60

正解 d

131I-アドステロールの問題。40に類題あり。a-cは正しい。

  • d:お酒に弱い人の場合は副作用が現れやすい。副作用にはエタノールによる一過性の顔面紅潮、動悸、気分不良など。なので40のcのように静脈注射は急速にするのではなく、30秒以上かけてゆっくり行う必要がある。
  • e:右に副腎腺腫を疑う所見があり、シンチグラフィでは、右の副腎に集積がある。正常ならば両側の副腎の描出を認める(正常でもやや右優位に集積することが多い)。

そもそも131I-アドステロールはACTHにより刺激を受けると取り込みが亢進する。

つまり、ACTHが正常〜高い場合は、両側の副腎に集積を認めるということ。

  • アルドステロンはACTHを抑制しないため、原発性アルドステロン症では、健側にも軽度集積を認める。
  • クッシング症候群の場合は、ACTHを抑制するため、健側の集積は消失する。
  • 下垂体腺腫によるACTH過剰分泌(クッシング病)や ACTH産生腫瘍の場合は、ACTHが高くなるため、両側の副腎への集積は増加する。

ということで、クッシング症候群と診断される。