解答更新
2020年5月20日 41,64
2020年8月9日 62追記
2020年8月16日 65追記
2019年に実際に試験を受けられて合格された、
- ぶんた先生
- K先生
- H先生
- M先生
に解答作成を手伝っていただきました。
ご協力いただき誠にありがとうございました。
解答ここはこうじゃないかなどございましたら、一番下のコメント欄に記載いただければ幸いです。
問題は、いずれも日本放射線学会サイトより引用しております。
目次
基礎
1, 物理学的半減期が 2 番目に短いのはどれか。1 つ選べ。
a 11C
b 14C
c 15O
d 67Ga
e 123I
正解 a
- 11C 20分
- 14C 5730 ± 40 years
- 15O 2分
- 67Ga 3日
- 123I 13時間
14Cは知らないけれど、その他の核種は1次試験で頻出ですし、その知識で解けるようになっていますね(と、緊張して解けなかった私が解説します、笑)。
→放射線科専門医試験対策「半減期」ゴロ付きにまとめています。
2,拡散強調像について誤っているのはどれか。1 つ選べ。
a 水分子の拡散運動を画像化している。
b MPG を大きくすると b 値は大きくなる。
c MPG をかけた方向の拡散の程度を観察可能である。
d FA map は神経線維のつながりを描出する手法である。
e IVIMはボクセル内の水分子の拡散と毛細血管の潅流を同時に観察する手法である。
正解 (c?)d?→d
拡散強調像とは、水分子の拡散運動を画像化したもの。
Motion probing gradient(MPG)という傾斜磁場を加えて撮像する。
MPGを強くすることで拡散強調の程度を決めるb値を高く設定できる。
水分子は、脳においては神経線維の軸索の長軸方向に沿って拡散しやすくその他の方向では拡散しにくい。
このように方向によって拡散のしやすさが異なることを「拡散異方性がある」という。
このため、拡散強調像の作成においては、MPGをx,y,zの3方向にかけ、それらの画像データを合算した画像を作成している。
3方向にかけることにより、十分に拡散が検出できるようにしている。
FAmap
FAmap とは、ある特定の方向にMPGをかけたときにおける「拡散異方性」の強さと向きをmappingしたもの。
様々な方向にかけたMPGのFAmapのデータを集積し、テンソルmodelで解析したのがトラクトグラフィーであり、これが神経線維の方向を概ね反映した画像とされている。
IVIM
IVIM(intravoxel incoherent motion)とは、撮像対象の組織に分布する毛細血管の微小循環による拡散への影響(毛細血管内の水分子はランダムな方向に動く)を指しており、純粋な拡散を観察するためにはIVIMを考慮し、できるだけ排除する、という考えがある。
ただし、逆にIVIMに注目することで「ボクセル内の水分子の拡散と毛細血管内の流れ(灌流)を同時に観察するための手法」としても使える、とのこと。
参考)http://yamarad.umin.ne.jp/ivim/index.html
- 従って、a,b,e○
- c:x、y、z方向に各々MPGをかけたときの拡散の程度は、理論上観察可能と思われるが。。。そもそも、個別に見るものなのでしょうか?
- d:神経線維のつながりを描出したものはトラクトグラフィーだが、そのために使うのがFAmapだとすると「手法」といえる気はしますが。。。
2番の
>c MPG をかけた方向の拡散の程度を観察可能である。
について、
>c:x、y、z方向に各々MPGをかけたときの拡散の程度は、理論上観察可能と思われるが。。。そもそも、個別に見るものなのでしょうか?
とのコメントを載せられていますが、これについては可能です。
実際に、少し古いMRIだとx, y, z方向それぞれのMPGをかけた画像を吐き出す機械もあります。臨床的には各繊維の方向がある程度わかること、アーチファクトかどうかの判定の参考になるなどの有用性があるとは思いますが、効果は限定的だと思います。
http://www.shizuhogi.jp/pdf/2008/mri08-2.pdf
実際シーメンスの資料で18枚目くらいのところに各方向にMPGをかけて撮像した元画像がありますのでご参考にしてください。またdの選択肢についてですが、
>FAmap とは、ある特定の方向にMPGをかけたときにおける「拡散異方性」の強さと向きをmappingしたもの。
とコメントされておりますが、FA mapは異方性拡散の強さ(スカラー)のみを表したMAPでつまり向き(ベクトル)の情報を捨て去ったもので、FA mapからはトラクトグラフィーを作成できません。つまりFA map自体に元画像(というより元データ)がありますので、そちらをテンソルmodelで解析したのがトラクトグラフィーです。
なのでFA mapで神経のつながりを描出することはできませんのでdが誤りで良いかと思います。
ksk310先生ありがとうございます!!!
3,超音波検査について正しいのはどれか。2 つ選べ。
a 周波数が高いほど空間分解能が向上する。
b 表在臓器のコントラスト分解能は CT に劣る。
c 腸管ガスはその後方エコー増強の原因となる。
d 組織の音響インピーダンスの違いを画像化する。
e パワードプラは血流の速度と方向を色で表示する。
正解 a,d
- b: 表在臓器のコントラスト分解能はCTに優る
- c: 腸管ガスにより後方エコーは減衰
- e: 血流の速度と方向を色で表示するのはカラードプラ
4, 1 台 2TB のディスク装置 4 台で RAID5 を構成した場合の実効容量はどれか。1 つ選べ。
a 2 TB
b 4 TB
c 6 TB
d 8 TB
e 10 TB
正解 c
RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks、レイド)と は、複数のHDDをひとつのドライブのように認識・表示させる技術。万が一のHDD故障時にもデータ復旧・アクセスを可能にする安全性の向上や、複数HDDへの分散書き込みによるデータ保存の高速化など、RAIDモード毎に特長があり、用途に合わせて様々なストレージ構築が可能。
特にビジネスシーンなど、高い信頼性を必要とするデータのストレージとして利用されている。
https://www.buffalo.jp/topics/knowledge/detail/raid-about.html
RAID5では、3/4の容量を使用することが可能。1台2TBの4台で構成されているので、3台分、すなわち6TBを使用することが可能。よって、答えはc.6TB
5, 電子カルテシステムの真正性確保を目的として行うのはどれか。2 つ選べ。
a 機器設置場所への入室制限
b 保存された修正履歴情報の管理
c クラークによる代行入力の承認作業
d システムの障害対策のための冗長化
e 標準形式で記録するためのテンプレート作成
正解 b,c
真正性、見読性、保存性の3つでしたよね。
頭頸部
6,80 歳代の女性。突然発症の意識障害で来院した。頭部単純 CT を示す。 低吸収域(矢印)の病態として考えられるのはどれか。2 つ選べ。
a 空 気
b 脂肪腫
c 動脈瘤
d 過誤腫
e 新鮮な血腫
正解 c,e
右中大脳動脈M1-2分岐部にfilling defect signを認めており、同部位の動脈瘤の破裂を示唆する所見です。
関連:クモ膜下出血(SAH)の原因動脈瘤を探す3つのポイント!
動脈瘤破裂以外では、新鮮血腫も相対的に造影不良域として認められます。
7, 60 歳代の男性。3 階から転落して大腿骨を骨折。その後,意識レベルの低下を認めた。 MRI の拡散強調像と磁化率強調像を示す。 可能性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a 血栓塞栓性梗塞
b 脂肪塞栓症
c 多発性脳膿瘍
d びまん性軸索損傷
e 多発性転移性脳腫瘍
正解 b
長管骨骨折後の意識障害の病歴で、DWIで散在する高信号、SWIでびまん性点状の低信号域の所見は典型的。
8, 70 歳代の男性。頭部外傷後の精査で施行された頭部単純 CT を示す。 可能性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a くも膜下出血
b 急性期脳梗塞
c 原発性脳腫瘍
d 転移性脳腫瘍
e 急性硬膜下血腫
正解 e
後部大脳縦裂に沿った高吸収域がみられる。急性硬膜下血腫の所見。
9, 50 歳代の女性。軽度の頭痛で来院した。MRI の T1 強調像,T2 強調像および造影 T1 強調像を示す。 可能性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a 髄膜腫
b 上衣腫
c 脈絡叢囊胞
d 脈絡叢乳頭腫
e central neurocytoma
正解 a
左側脳室三角部内の均一なT2WI高信号腫瘤。造影効果も強く均一で、meningiomaです。
10, 30 歳代の男性。認知機能低下を主訴に来院。検査データで免疫能の低下がある。MRI の T2 強調像と T1 強調像を示す。 可能性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a HIV 脳症
b 神経梅毒
c 単純ヘルペス脳炎
d トキソプラズマ脳炎
e 進行性多巣性白質脳症
正解 a
年齢不相応の強い大脳萎縮、T2WIで側脳室周囲白質に比較的対称性の異常高信号域を認めます。
免疫能低下、認知機能低下という臨床情報からもHIV脳症が最も考えられます。
鑑別はPMLですが、HIV脳症と比べ、白質病変が非対称性である点、より緩徐に進行する点が異なります。
関連)
11, 6 か月の男児。MRI の T2 強調像と T1 強調矢状断像を示す。 可能性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a 滑脳症
b 裂脳症
c 全前脳胞症
d 脳梁形成不全
e Dandy-Walker 奇形
正解 c
左右の半球が連続しており、全球の形態を示す。背側にはdorsal cystが認められ、alobar型の全前脳胞症の所見である。
12, 30 歳代の女性。皮膚筋炎で治療中。5 か月前より徐々に進行する視野障害,1 か月前より記銘力低下や左上下肢脱力を示す。脳 MRI の T1 強調像,T2 強調像と拡散強調像を 示す。 可能性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a HIV 脳症
b 急性散在性脳脊髄炎
c メトトレキサート脳症
d 進行性多巣性白質脳症
e posterior reversible encephalopathy syndrome
正解 d
両側頭頂葉皮質下白質(U-fiber含む)にT1WI低信号、T2WI高信号で、辺縁を縁取るようなDWI高信号がみられる。更に皮膚筋炎で治療中→ステロイド使用で免疫低下より、d.進行性多巣性白質脳症が最も考えられる。
13, 60歳代の女性。後頸部痛を主訴に来院した。MRI のT2強調像,脂肪抑制造影 T1 強調像を示す。 可能性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a 髄膜腫
b 脊髄梗塞
c 血管芽腫
d 類表皮腫
e Chiari 1 型奇形
正解 c
延髄~頚髄レベルでの強い造影効果を有する結節を伴う嚢胞性病変、hemangioblastoma.
試験的にはvHL病との合併が頻出ですね。
14, 80 歳代の女性。1 年前より左眼の充血と出血があり,来院。MRIのT1 強調像,脂肪抑制T2強調像,脂肪抑制造影T1強調像を示す。 可能性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a 脂肪腫
b 多形腺腫
c 悪性黒色腫
d 横紋筋肉腫
e 悪性リンパ腫
正解 c
左眼球前に T1WIで高信号域を含む多結節城腫瘤あり。
強い造影増強効果を認めます。
悪性黒色腫を疑う信号パターンです。
悪性黒色種は眼球内ではぶどう膜からの発生が有名ですが、稀に虹彩や結膜からも発生することがあり、この症例は、結膜由来の悪性黒色腫と思われます。
15, 70歳代の男性。鼻出血の精査にて左上顎洞病変を指摘された。造影CTとMRIの脂肪抑制T2強調像を示す。 可能性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a 血瘤腫
b 扁平上皮癌
c 腺様囊胞癌
d 悪性黒色腫
e 浸潤型真菌性副鼻腔炎
正解 a
脂肪抑制T2強調像で辺縁の低信号帯、内部に不均一な信号が混在するパターンが認められ、内部に慢性的に繰り返す出血が示唆される。左上顎洞骨壁には圧排による骨リモデリングがみられる。単純CTが示されていないため、造影CTの内部の高吸収域の診断的意義が分からないが(石灰化?、造影効果?、造影剤漏出?)、T2強調像での特徴的な内部性状より、血瘤腫と考えられる。
整形外科
16, 6 歳の女児。誘因なく疼痛が出現し,安静で一旦軽快した。しかし,疼痛の増強と発熱を繰り返し来院。足部単純 X 線写真と MRI の脂肪抑制 T2 強調像を示す。 可能性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a 類骨腫
b 巨細胞腫
c 軟骨芽細胞腫
d 骨髄炎(Brodie 膿瘍)
e Langerhans 細胞組織球症
正解 d
単純X線写真で左踵骨に辺縁に骨硬化を伴う透亮像あり。選択肢の類骨骨腫やLangerhans細胞組織球症も鑑別にあがる。MRIで踵骨全体にT2WI脂肪抑制で高信号がみられ、さらに骨髄内から骨皮質を貫通して骨外へ進展する病変がみられ、膿瘍形成が疑われる。よって、d.骨髄炎(Brodie膿瘍)。
17, 50歳代の女性。主訴は右大腿部痛。来院時,および 1 年後の右大腿の単純X線写真を 示す。 可能性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a Paget 病
b 骨軟化症
c 非定型骨折
d 多発性骨髄腫
e 転移性骨腫瘍
正解 c
骨幹部の骨皮質の肥厚と一致する骨折線。非定型大腿骨折(atypical femoral fracture; AFF)の所見です。2018-16に続き出題されましたね。
骨折に先行して数週間や数ヶ月前からの違和感あり、外傷歴がないか、あっても軽微で骨折が生じます。骨癒合は遷延しやすいのが特徴。
(臨床画像2017年10月号p1192-3)
18, 50 歳代の男性。主訴は皮膚の硬化,運動障害。血沈亢進,好酸球増加がある。MRIを示す。 この疾患の発症の契機となるのはどれか。2 つ選べ。
a 糖尿病
b 悪性腫瘍
c スタチン服用
d 深部静脈血栓
e 過負荷の運動
正解 b,e →c,e
両側性に筋膜が肥厚し、T2強調像や脂肪抑制T2強調像で高信号、造影MRIで著明に増強されている。筋や周囲皮下組織には明らかな異常所見なし。
好酸球性筋膜炎を示唆する所見です。
好酸球性筋膜炎
- 筋膜に沿って膠原線維の増生とリンパ球・好酸球浸潤を来す疾患。
- 誘発因子は激しい運動や外傷であり、傷害された筋膜での非特異的炎症と組織から流出した抗原に対する自己免疫反応が起きていると推察されている。
- そのほか、Borrelia 感染(ライム病)、マイコプラズマ感染との関連や、スタチン系薬剤、フェニトイン、 ACE阻害薬のramipril、ヘパリンなどが発症との関連が疑われている。
- 四肢遠位(前腕、下腿)に好発し、急激に発症する疼痛・こわばり・腫脹、皮膚の硬化を認め、臨床的には強皮症に似る。
- MRIにて、筋そのものや皮下組織、表皮、真皮には明らかな異常を認めない点が他疾患との鑑別点となる。
参考:好酸球性筋膜炎 診断基準・重症度分類・診療ガイドライン
ぽよ先生ありがとうございました!!
19, 40 歳代,男性。単純 X 線写真で左上腕骨骨幹部に異常を指摘され,MRI が撮像された。 可能性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a 骨軟骨腫
b 裂離骨折
c 内軟骨腫
d 三角筋粗面
e 線維性骨異形成症
正解 d
三角筋が付着する部位(三角筋粗面)に骨皮質の肥厚を認める。T1強調像ではっきりとした腫瘤形成はなく、病歴上は痛みなどの症状もなさそうであり、三角筋粗面における正常変異としてよいと思われる。
なお、骨シンチグラフィでも三角筋粗面に集積がみられることがある(骨軟部の連想画像診断 p6-7を参照)。
20, 30歳代の野球選手。最近右肩痛が強くなり,投球ができなくなった。右肩関節の MRI の斜冠状断・斜矢状断像を示す。 投球痛の原因として可能性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a 滑液包炎
b 棘下筋損傷
c 骨化性筋炎
d 腋窩神経損傷
e 肩甲上神経絞扼
正解 e
2009年20とほぼ同じ画像。傍関節唇嚢胞による神経絞扼症候群
関連:傍関節唇嚢胞による肩甲上神経絞扼症候群のMRI画像診断
21, 20 歳代の女性。右膝背側の痛みを主訴に来院した。 右膝関節の単純 X 線写真の側面像を示す。 可能性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a 類骨骨腫
b 骨化性筋炎
c 悪性リンパ腫
d 傍骨性骨肉腫
e メロレオストーシス
正解 d
Codman三角を伴う、大腿骨遠位骨幹端から背側に膨隆する腫瘤。骨膜反応が著明で、強く悪性を疑う。傍骨性骨肉腫。
胸部
22, 40 歳代の男性。喫煙者。咳嗽,喀痰,労作時呼吸困難を主訴に来院した。高分解能 CT を示す。 可能性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a 肺気腫
b 囊胞性線維症
c リンパ脈管筋腫症
d Birt-Hogg-Dubé 症候群
e Langerhans 細胞組織球症
正解 e
毎年たいてい出題される、肺嚢胞性疾患を鑑別する問題。両側肺野にびまん性のいびつな形の嚢胞性病変、粒状影を認め、Langerhans細胞組織球症を疑う所見です。典型的画像。
関連)肺好酸球性肉芽腫症の画像診断(Langerhans細胞組織球症)
23, 50 歳代の男性。献腎移植後10年。発熱,咳嗽を主訴に来院した。胸部 CT と高分解能 CT を示す。 可能性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a 肺結核
b 原発性肺癌
c アスペルギルス症
d 非結核性抗酸菌症
e ニューモシスチス肺炎
正解 c
免疫不全患者における肺腫瘤の鑑別。内部に空洞形成と、周囲のhaloを伴っており、選択肢の中では肺アスペルギルス症が最も疑われる。
24, 40歳代の女性。3か月以上続く咳,微熱にて来院した。 胸部CTを示す。 可能性が最も高いものはどれか。1 つ選べ。
a 結核症
b 珪肺症
c アミロイドーシス
d マイコプラズマ肺炎
e 慢性好酸球性肺炎
正解 e
3ヶ月以上という慢性の経過、reversed halo signから、慢性好酸球性肺炎と考えられる。
25, 80歳代の男性。悪性リンパ腫の治療中に胸部X線写真にて肺病変を指摘され精査目的 で紹介された。胸部および両下肢の造影 CT を示す。 最も考えられる診断はどれか。1 つ選べ。
a 肺血栓塞栓症
b レジオネラ肺炎
c 肺ノカルジア症
d マイコプラズマ肺炎
e 肺クリプトコッカス症
正解 c
右肺と、左大腿の筋層内にリング状造影効果を伴う腫瘤が多発しています。肺の画像所見と病歴でクリプトコッカス、ノカルジアが残るが、下肢に病変を形成する、となるとノカルジアらしいでしょうか。
参照 CT findings of pulmonary nocardosis (AJR)
26, 70 歳代の男性,1 か月前からの微熱と乾性咳嗽,軽度呼吸困難を主訴に受診。高分解 能 CT 横断像と冠状断再構成像を示す。 可能性が最も高い疾患はどれか。1 つ選べ。
a 過敏性肺臓炎
b 転移性肺腫瘍
c マイコプラズマ肺炎
d ニューモシスチス肺炎
e びまん性汎細気管支炎
正解 a
毎年たいてい出題される、肺のびまん性すりガラス影を来す疾患を鑑別する問題。
びまん性小葉中心性の結節状すりガラス影、粒状影を認め、部分的にspareされる場所もみられる。急性〜亜急性過敏性肺臓炎を疑う所見。
27, 60 歳代の男性。40 歳より長期透析中のため悪性腫瘍スクリーニング目的で胸部 CT を 施行された。症状はない。 可能性が最も高い疾患はどれか。1 つ選べ。
a 塵肺症
b 異所性肺骨化症
c 異所性肺石灰化症
d 慢性過敏性肺臓炎
e 肺肉芽腫性感染症
正解 c
頻出である異所性肺石灰化症。
28, 80 歳代の男性。3 か月続く咳嗽を主訴に来院した。胸部 X 線写真正面像を示す。 以下の中で可能性が最も高いのはどれか。2 つ選べ。
a 大葉性肺炎
b 悪性リンパ腫
c 縦隔内甲状腺腫
d 気管支カルチノイド
e 気管支腺様囊胞癌
正解 d,e
S sign of Golden (inverted S sign) がみられ、右上葉の無気肺が疑われる。
中枢側の腫瘍性病変が疑われる。3ヶ月の経過から肺炎は否定的。縦隔内甲状腺腫や悪性リンパ腫では気管の閉塞は稀。よって、d.e.
29, 30 歳代の男性。咳嗽,胸痛,上腹部痛を主訴に来院した。 胸部 CT 冠状断再構成と腹部造影 CT を示す。 可能性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a 肺化膿症
b 肺吸虫症
c 肺結核症
d 肺クリプトコッカス症
e 敗血症性肺血栓塞栓症
正解 b
右肺下葉縦隔側に棍棒状のconsolidationと周囲のGGOあり、左肺は気胸、肝左葉辺縁LDAあり。 肺吸虫症を考えます。胸膜直下に病変が多く、周囲のすりガラス状濃度上昇を伴う不整形結節があること、胸水や気胸を伴うことなどから疑います。
ヒトへは淡水産カニなどを食べることで小腸から感染し、腹腔内→腹直筋内へ移動し発育、再び腹腔内→横隔膜を貫き(本症例の肝臓のLDAはこの経路が疑われる)→胸腔へ(ここで気胸を起こす)移動するそうです。
最終的に肺実質内で虫嚢を形成し、産卵するそうです(想像するだけで恐ろしい・・・)
2012-30でも出題されています。
参照 東京レントゲンカンファレンス ウエステルマン肺吸虫症
30, 60 歳代の男性。大工をしており,検診で異常を指摘された。自覚症状はない。胸部単純 X 線写真を示す。 診断として正しいものはどれか。1 つ選べ。
a 石綿肺
b 胸膜中皮腫
c 原発性肺癌
d 胸膜プラーク
e 良性石綿胸水
正解 d
石綿関連疾患について問う問題。
胸部レントゲン上、両肺野には目立った異常陰影なく、胸水貯留もみられない。
右横隔面、右第三弓2接した心膜、左中肺レベルなど胸膜に石灰化を認め、胸膜プラークを示す所見です。
関連:石綿肺および石綿関連疾患のCT画像診断(アスベスト、塵肺、胸膜プラーク、中皮腫)
31, 5 歳の男児。咳嗽を主訴に近医を受診し,胸部単純X線写真で異常を指摘された。胸部単純X線写真と胸部造影 CT を示す。 可能性が最も高いものはどれか。1 つ選べ。
a 胸腺腫
b 血管腫
c リンパ腫
d 胸腺過形成
e 胸腺脂肪腫
正解 e
胸腺脂肪腫
32, 40 歳代の男性。3 か月前から続く労作時呼吸困難を主訴に来院した。胸部単純 X 線写 真正面像と高分解能 CT を示す。 可能性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a 肺水腫
b 肺出血
c 肺胞蛋白症
d 浸潤性粘液性腺癌
e ニューモシスチス肺炎
正解 c
crazy-paving patternを呈する。選択肢はいずれもcrazy-paving patternを呈し得る。
慢性の経過と労作時呼吸困難の訴え、所見の割に症状が弱いことからも肺胞蛋白症を最も考える。
関連:
心血管
33, 50 歳代の男性。検診の胸部単純 X 線写真で異常を指摘された。心臓 MRI を示す。 本疾患の MRI 所見で,誤っているのはどれか。1 つ選べ。
a 遅延造影領域は,線維化や肉芽腫を反映する。
b 急性期炎症では,black blood T2 強調画像で局所信号上昇,腫大,限局性壁運動低 下を認める。
c 慢性期では,拡張型心筋症との鑑別が困難である。
d 正常心筋の null point の設定が困難である。
e 遅延造影領域は,心外膜側や中層主体の分布を示すことが多い。
正解 d
34, 60 歳代の男性。喀血を主訴に来院した。胸部造影 CT の横断像と冠状断再構成像を示す。 可能性が最も低いのはどれか。1 つ選べ。
a 解離性大動脈瘤
b 肺癌大動脈浸潤
c 大動脈気管支瘻
d 炎症性大動脈瘤
e 感染性大動脈瘤
正解 c
胸部下行大動脈に突出部を認め、周囲に軟部濃度域を伴う。
a,b,d,eいずれもあり得る。
大動脈気管支瘻孔であれば、動脈内に空気濃度を認めるはずなので、最も可能性が低いのはc。
35, 60 歳代の男性。経胸壁心エコーで局所壁運動異常を指摘されて,心臓 MRI 検査が行わ れた。遅延造影 MRI を示す。 可能性が最も高い疾患はどれか。1 つ選べ。
a 心筋梗塞
b 拡張型心筋症
c アミロイドーシス
d サルコイドーシス
e 好酸球性心筋炎
正解 a
LAD領域の急性期心筋梗塞の典型例。
36, 60 歳代の女性。呼吸困難を主訴に近医受診し,心臓超音波検査にて異常を指摘された。 MRI を示す。 可能性が最も高い疾患はどれか。1 つ選べ。
a 心筋梗塞
b 肥大型心筋症
c 拡張型心筋症
d 高血圧性心筋症
e たこつぼ型心筋症
正解 e
シネMRIで左室心尖部の壁運動低下と内腔の拡大が見られる。たこつぼ型心筋症では、遅延造影MRIにおいて遅延造影がみられないことが特徴とされてきたが、たこつぼ型心筋症急性期の9〜22%の症例で心筋に淡い遅延造影がみられることが報告されている。
ただし、たこつぼ型心筋症において認められる遅延造影は、心筋梗塞のような明瞭な高信号ではないため、急性心筋梗塞との鑑別は困難ではない。本症例でも遅延造影で心尖部の左室心筋に淡い高信号を呈しており、たこつぼ型心筋症と思われる。
37, 50 歳代の男性。2 週間前から発熱,咳嗽が出現。 近医の心エコーで腫瘤を指摘され,精査目的で受診。MRI を示す。 可能性が最も高い疾患はどれか。1 つ選べ。
a 血管腫
b 横紋筋腫
c 悪性リンパ腫
d 結核性心膜炎
e 乳頭状線維弾性腫
正解 c
上行大動脈や肺動脈基部、SVCを取り巻くように進展する腫瘤影。サイズの割に組織破壊が乏しく、また均一で強い拡散制限を伴っている。Lymphoma.
乳腺
38, 60 歳代の女性。右乳房腫瘤を主訴に来院した。マンモグラフィを示す。 可能性が高いのはどれか。2 つ選べ。
a 線維腺腫
b 浸潤性小葉癌
c 浸潤性乳管癌
d 非浸潤性小葉癌
e 非浸潤性乳管癌
正解 b,c
右上外側領域にspiculaを伴う腫瘤影を認め、悪性腫瘍を疑います。
選択肢の内、腫瘤影としてみられる悪性腫瘍としてはb,c。
非浸潤性癌は理論的には乳管内にとどまっているので、腫瘤を形成しないのでd,eは×。
39, 40 歳代の女性。左乳房腫瘤の精査で各種検査の後に造影 MRI が施行された。 Background parenchymal enhancement(BPE)について,誤っているものはどれか。 1 つ選べ。
a 本症例の BPE の程度は moderate である。
b 月経開始後 5~12 日の時期に優位となる。
c 乳腺の辺縁優位に認められることが多い。
d 乳癌術前検査で広がり診断能が低下する。
e 非対称性の場合,非浸潤性乳管癌との鑑別が問題となる。
正解 b
月経開始から第2週目がBPEの程度は最も低く、4−1週が最も高いと報告されている。
従って月経開始5-12日目の間にMRIを撮影するべきとされている。
関連:背景乳腺の増強効果(BPE)とレポート報告形式(乳腺MRI)
40, 60 歳代の女性。左乳房腫瘤を主訴に受診。乳房 MRI を示す。 可能性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a 葉状腫瘍
b 線維腺腫
c 囊胞内癌
d 浸潤性小葉癌
e 浸潤性乳管癌
正解 c
T2WIで高信号、ダイナミック早期相で内部の増強効果はみられず、辺縁の一部が乳頭状に肥厚し増強効果がみられる。
嚢胞内癌が疑われる。
小児
41, 5 歳,男児。右頸部の違和感を訴え,耳鼻科を受診した。超音波検査で異常を指摘され,精査目的に入院した。MRI を示す。 可能性が高いのはどれか。2 つ選べ。
a 血管腫
b 神経鞘腫
c 平滑筋肉腫
d 横紋筋肉腫
e 悪性リンパ腫
正解 c,d(d,e説もあり)→d,e
5歳、右の頭蓋底を主座とする不整形の腫瘤影。
骨破壊も伴っており、左への進展も疑われる。
造影効果は不均一。
横紋筋肉腫は真っ先に挙がるとして、もう一つをどれにするか悩みますが、平滑筋肉腫で検索したら似たような写真が出てきた印象で、これでしょうか。
問41(小児頭頚部腫瘍)ですが、d横紋筋肉腫 e悪性リンパ腫 ではないでしょうか。
平滑筋肉腫と横紋筋肉腫では発生する患者の年齢層が大きく異なります。平滑筋肉腫は60歳越えが発症中央値のはずです。
すぐわかる小児の画像診断 では頭頚部横紋筋肉腫の項がありますが悪性リンパ腫との鑑別について述べられています。
もちろん小児平滑筋肉腫症例もあると思いますが、eより上位に来るのは厳しいのではと思いました。
びびび先生ありがとうございます!
42, 生後 2 か月の女児に対して,腹部超音波検査を施行。 可能性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a 門脈瘤
b 急性肝炎
c 先天性胆道閉鎖症
d 先天性胆道拡張症
e 肝内門脈静脈シャント
正解 c
triangular cord signを認め、先天性胆道閉鎖症を示唆する所見です。
triangular cord sign
肝門部で門脈前方の三角形あるいは帯状高エコー。
縦断像あるいは横断像で評 価し、厚さが 4 mm 以上を陽性と判定する。
43,12 歳男児。股関節痛精査目的の股関節 X 線撮影と続いて行った股関節 MRI を示す。 可能性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a ペルテス病
b 化膿性骨髄炎
c 単純性股関節炎
d 大腿骨頭すべり症
e 一過性大腿骨頭委縮症
正解 d
単純X線写真正面像で右大腿骨頭の成長板の拡大がみられ、脂肪抑制T2強調像では右大腿骨頭の成長板周は囲に淡い高信号とともに関節液貯留もみられる。
大腿骨頭すべり症では通常後内方に向かって生じるため、ラウエンシュタイン法による側面像で大腿骨頭の前後方向の幾何学的変化を捉えやすい。
腹部
44, 20 歳代の女性。右季肋部痛を主訴に来院した。ダイナミック造影 CT の動脈相(横断 像,再構成冠状断像)を示す。 次にすべき検査は何か。2 つ選べ。
a 血清 IgG4
b 子宮頸管粘液検査
c 血清クラミジア抗体
d 抗ミトコンドリア抗体
e 肝炎ウイルスマーカー
正解 b,c
動脈早期相で肝周囲に増強効果がみられ、肝周囲炎が疑われる。
20歳代女性であることからFitz-Hugh-Curtis Syndromeを疑う。検査法としてb,cがある。
45, 50 歳代の男性。肝胆道系酵素の上昇があり,超音波検査を施行したところ,肝腫瘤を 認めた。造影 CT の横断像と冠状断像を示す。 可能性が高いのはどれか。1 つ選べ。
a 肝膿瘍
b 出血性囊胞
c エキノコッカス症
d 胆管内乳頭状腫瘍
e 肝粘液性囊胞性腫瘍
正解 e→d
肝右葉~肝門部を主座とする充実+嚢胞性腫瘤。
胆管内乳頭状腫瘍、肝粘液性嚢胞性腫瘍
設問34ですが、内部性状が乳頭状であることと男性であることから私はdのIPNBを疑いました。冠状断像では右葉の肝内胆管の拡張も見られます。
https://link.springer.com/content/pdf/10.1007/s00330-015-3618-2.pdfMCNの9割以上が女性であるので、男性であることはMCNの可能性をかなり下げると思います。
肝S4を中心とした大きな多房性嚢胞性病変という点ではMCNも鑑別の上位に上がりますが、MCNの多房はどちらかというと房の大きさにばらつきがあって、cyst in cyst typeが多く、本症例では
https://www.nature.com/articles/modpathol201171.pdfのfig1でいえばどちらかというとmulticysticに分類される用に思います。
malignant potentialもかなり低いので、本症例のように充実部がかなり目立つ症例も比較的まれなように思います。
ksk310先生ありがとうございます!!!
46, 40 歳代の女性。腹痛を主訴に来院。幼少時に交通外傷の既往あり。これまでは悪性腫 瘍の既往はない。造影 CT の横断像(2 スライス)を示す。 最も考えられる疾患はどれか。1 つ選べ。
a 脾 症
b 副 脾
c 副 肝
d ガーゼオーマ
e 悪性リンパ腫
正解 a
本来脾臓が存在しているべき場所に、多結節状の構造物あり。脾臓と同じ位に造影されている。
交通外傷後であり、脾破裂による脾摘後、脾症と想像される。
脾症(splenosis)
- 外傷や外科手術により脾臓が破裂して、腹腔内に逸脱した脾臓の組織が他の部位へ自己移植することで生じます。
- 小腸の漿膜面や肝臓、大網、腹膜や横隔膜面などで起こることがあります。
- 外傷後5-10年後に発見されることが多いとされます。
47, 20 歳代の女性。腹痛を主訴に来院した。MRI の脂肪抑制 T1 強調像,T2 強調像を示す。 可能性が最も高い膵病変はどれか。1 つ選べ。
a 仮性囊胞
b 漿液性囊胞腫瘍
c 粘液性囊胞腫瘍
d Solid pseudopapillary neoplasm
e Intraductal papillary mucinous neoplasm
正解 d
若年女性における、内部に出血性壊死を伴う膵尾部腫瘤であり、SPNが第1に疑われる。
48, 50 歳代の男性。検診で膵尾部腫瘤を指摘され来院した。造影 CT 膵実質相と SPIO 造 影後 T2 強調像を示す。 可能性が高いのはどれか。1 つ選べ。
a 膵内副脾
b 通常型膵癌
c 腺房細胞癌
d 神経内分泌腫瘍
e Mucinous cystic neoplasm
正解 a
膵尾部に結節状の造影増強効果が認められる。SPIO造影後T2WIでは低信号を呈する。造影増強効果、MRIの信号変化は脾と同様で膵内副脾が疑われる。
- b.通常型膵癌は線維性間質を反映して遷延性の造影パターンを呈するため、造影膵実質相では膵実質と比較して低吸収を呈する。
- c.腺房細胞癌は膵頭部に発生することが多く、境界明瞭で外方に突出する形状が特徴的で、小さい病変では比較的均一な造影増強効果を示すが、正常膵実質と比較すると濃染は弱く、大きい病変では出血や壊死を伴う嚢胞成分を含む。
- d.膵内分泌腫瘍は典型的には膵実質相で濃染が最大になる腫瘍が多いが、膵実質相では等あるいは低吸収を呈し門脈相で濃染してくる腫瘍も少なくない。SPI造影後T2WIでは低信号を呈さない。
- e.Mucinous cystic neoplasmは、膵体尾部に見られる辺縁平滑で、厚い線維性被膜を有する多房状の嚢胞性腫瘤。
49, 50 歳代の男性。全身倦怠感にて近医を受診,採血にて肝障害が認められた。FDGPET-CT とダイナミック造影 CT を示す。 可能性が最も高い膵疾患はどれか。1 つ選べ。
a 膵管癌
b 膵腺房細胞癌
c 膵内分泌腫瘍
d 漿液性囊胞腺腫
e 自己免疫性膵炎
正解 e
膵実質の腫大とFDG集積、また肝内胆管の小結節?
AIH+IgG4関連疾患
50, 60 歳代の男性。腹痛と嘔吐を主訴に来院した。 造影 CT の横断像を示す。 可能性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a 傍盲腸ヘルニア
b 大網裂孔ヘルニア
c 小腸間膜ヘルニア
d Winslow 孔ヘルニア
e 右傍十二指腸ヘルニア
正解 e
上腸間膜動静脈の右背側にループ状になった小腸が同定される。ループ構造は腹部大動脈と上腸間膜動静脈の間できゅっと収束している。右傍十二指腸ヘルニアを疑う所見です。
51, 40 歳代の女性。2 日前より,左側腹部痛が出現,疼痛は鈍痛で咳で増強する。便通異常はみられない。単純 CT 横断像と冠状断像を示す。 この疾患について正しいのはどれか。2 つ選べ。
a 小腸間膜に多い。
b 悪性化することがある。
c 粘膜との連続性はない。
d 石灰化を認めることがある。
e 強力な抗菌薬治療が必要である。
正解 c,d
頻出の腹膜垂炎の一般知識を問う問題
52, 40 歳代の女性。急激に発症した心窩部痛にて夜 12 時に救急外来受診した。既往歴なし。造影 CT を示す。 最も可能性の高い疾患はどれか。1 つ選べ。
a IgA 血管炎
b 急性胆囊炎
c 悪性リンパ腫
d 胃アニサキス症
e Borrmann4 型胃癌
正解 d
胃全体に著明な胃壁の浮腫性肥厚を認める。
急激な発症であり、胃アニサキス症が疑われる。全周性の壁肥厚のみであれば、鑑別としてスキルス胃癌や悪性リンパ腫が鑑別として挙がる。
53, 50 歳代の女性。腹痛,嘔気で受診。造影CT を示す。 この病態について正しいのはどれか。2 つ選べ。
a 膵炎の原因となる。
b 緊急開腹手術の適応である。
c 拡張しているのは主に回腸である。
d 胆道系酵素が上昇していることが多い。
e 胃癌に対する BillrothⅠ法再建術後に多い。
正解 a,d
輸入脚の拡張と液貯留あり、輸入脚症候群を疑う。
BillrothⅡ法やRoux-en-Yなど、輸入脚を有する再建術後にみられる。
胆汁や膵液、腸分泌液の貯留による輸入脚内圧の上昇、径が拡張し、腹痛や腹部膨満などを来す。
泌尿器
54, 30 歳代の男性。健診で腎腫瘤を指摘された。造影 CT を示す。 診断はどれか。1 つ選べ。
a Cobb 症候群
b 結節性硬化症
c von Hippel Lindau 病
d Osler-Weber-Rendu 病
e Birt-Hogg-Dubé 症候群
正解 c
左腎に濃染する腫瘤あり、淡明腎細胞癌を疑う。右腎に小嚢胞あり。
膵臓に多発性、多房性嚢胞あり。
精巣に嚢胞あり。
Von Hippel-Lindau病を示す所見です。
関連:遺伝性(成人家族性)腎腫瘍とは?Von Hippel-Lindau病、Birt-Hogg-Dube症候群、結節性硬化症
55, 50 歳代の男性。血尿を主訴に来院した。造影 CT の再構成冠状断像を示す。 次にすべき検査は何か。2 つ選べ。
a 腎動脈造影
b 腎静脈造影
c 腎動態シンチグラム
d 逆行性腎盂尿管造影
e カラードップラー超音波検査
正解 a,e
腎動静脈奇形疑いの症例に関する検査アプローチ。
56, 40 歳代の女性。腹部 CT を別に示す。 鑑別診断として最も考えにくいのはどれか。1 つ選べ。
a 脂肪肉腫
b 髄外造血
c 骨髄脂肪腫
d 血管筋脂肪腫
e 神経節細胞腫
正解 e
両側副腎に脂肪を含有する腫瘤性病変を認める。
eは、単純CTで水の濃度に近い著明な低吸収を呈する境界明瞭な腫瘤である。他の選択肢は、脂肪を含んでおり、最も考えにくいのは、eと思う。
婦人科
57, 40 歳代の女性。倦怠感と嘔気,無月経を主訴に来院した。MRI の T2 強調像とガドリニウム造影 T1 強調像の矢状断像を示す。 可能性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a 子宮体癌
b 遺残胎盤
c 胞状奇胎
d 子宮内膜増殖症
e 子宮内膜ポリープ
正解 c
子宮内腔を占拠する腫瘤で、内部は小嚢胞の集簇状になっている。
無月経と合わせ、胞状奇胎を疑う。臨床的にはhCGの異常高値から診断されることも多いらしいです。
58, 16 歳の女性。月経異常を主訴に来院。卵巣腫瘍が疑われた。骨盤部 MRI を示す。 最も疑われるのはどれか。1 つ選べ。
a 線維腫
b 未熟奇形腫
c 悪性リンパ腫
d 顆粒膜細胞腫
e 未分化胚細胞腫
正解 e
若年女性の巨大な骨盤内充実性腫瘤。
多結節状でT2WIで高信号、T2WIで低信号・造影MRIで造影される隔壁構造を持ち、未分化胚細胞腫を疑う所見です。
59, 40 歳代女性。不正性器出血,貧血を主訴に来院した。MRI T2 強調矢状断像を示す。 可能性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a 子宮頸癌
b 子宮体癌
c 子宮筋腫
d 子宮内膜ポリープ
e 分葉状内頚管過形成
正解 c
筋腫分娩の典型例。
60, 20 歳代の女性。下腹部痛にて緊急入院となった。超音波検査で骨盤内腫瘤を指摘され た。3 種類の MRI を示す。 正しいのはどれか。2 つ選べ。
a 血行動態の異常がある。
b 間質の腫瘍性病変である。
c 胃癌のチェックが必要である。
d 病変の主座は左の付属器である。
e 組織学的には間質の浮腫が見られる。
正解 a,e
右卵巣の腫大があり、T2WIでは浮腫を反映して卵巣内に広く高信号が認められる。辺縁には卵胞と思われる小嚢胞構造が複数認められる。卵巣広範性浮腫の典型的な画像所見である。造影MRIでは造影増強効果が認められるが、浮腫が強い部位では増強効果は弱い。
卵巣広範性浮腫は慢性的・間欠的な卵巣の不全捻転によるリンパ管や静脈のうっ滞が原因とされ、小児や若年成人に好発し、茎捻転と同じく右卵巣に多い。
- b.腫瘍性病変ではない。
- c.転移性卵巣腫瘍の70%は両側性で、画像的特徴としては多結節性、多房性の境界明瞭な腫瘤で、浸潤・癒着傾向を欠くことが挙げられる。狭義には胃の印環細胞癌からの転移をKrukenberg腫瘍という。
- d.左付属器は骨盤左側に正常に認められる。病変の首座は右付属器である。
61, 60 歳代の女性。不正性器出血を主訴に来院し,精査となった。骨盤 MRI を示す。 考えられる疾患について誤っているのはどれか。1 つ選べ。
a 閉経後に好発する。
b 原発性卵巣癌の可能性が高い。
c エストラジオールは高値を示す。
d Junctional zone が明瞭化している。
e 子宮内膜生検で異型は見られない。
正解 e
閉経後としては不相応の子宮筋層・内膜の肥厚と明瞭なzonal anatomyである。骨盤内右側に強く造影される境界明瞭な腫瘤あり。
腹水が貯留している。顆粒膜細胞腫を疑う。子宮内膜癌の合併の可能性が高いことも憶えておく必要がありますね。
IVR
62, 60 歳代の女性。膵頭十二指腸切除術後のドレーンから出血をみとめた。造影CTを示す。 考えられる IVR 手技はどれか。2 つ選べ。
a Packing
b Isolation
c レーザー治療
d ステントグラフト内挿術
e バソプレッシン動注療法
正解 b,d
おそらく背側膵動脈にできた、医原性の仮性瘤に対するIVR。
仮性瘤の近位と遠位側を塞ぐ(isolation)、ステントを挿入することにより仮性瘤への血流を途絶させる。
- パッキングとは、動脈瘤内をコイルで詰めること。真性瘤に対して行う。
- バソプレシン動注療法は、動脈平滑筋や腸管平滑筋に直接作用して収縮させ、止血させる方法。
微量な出血が広範囲に及ぶ出血性胃炎, 出血性腸炎や 出血血管が細い憩室出血などに対して行う。太い血管の破綻(仮性動脈瘤など)には用いるべきでない。
- レーザー治療は動脈出血に対して行わない。下肢静脈瘤などに行う治療。
2020年8月9日追記
isolation+packingではないか?という質問から、いや、packingとは言わないのだという超専門的なやりとりはコメント欄をご覧ください。
N先生、kj先生、O先生ありがとうございます!!
63, 60 歳代の女性。施行した手技終了時の DSA 像を示す。 この手技につき,適応になる疾患はどれか。2 つ選べ。
a 胃静脈瘤
b 肝性脳症
c 難治性腹水
d 血小板減少症
e 門脈本幹の腫瘍塞栓
正解 a,c
Transjugular Intrahepatic Portosystemic Shunt: TIPSの適応は、
- 内視鏡的治療でコントロール不良な消化管静脈瘤
- Portal hypertensive gastropathy、
- 門脈圧亢進に起因する難治性腹水、胸水とされる。
なお、日本IVR学会の「技術教育セミナー」の症例と全く同じ画像である(http://www.jsir.or.jp/docs/member/hinto/25_4/25_4_4.pdf)。
64, 30 歳代の男性。3 年前より右殿部の腫脹を認め,徐々に増大し赤紫色に変化してきた。 座位にて疼痛としびれも認める。MRI T2 強調冠状断像および 3D-CTA(VR 像)を示す。 選択される IVR 手技はどれか。2 つ選べ。
a 経動脈的塞栓術(NBCA)
b 経皮的ラジオ波焼灼療法
c 内腸骨動脈塞栓術(コイル)
d 経動脈的塞栓術(エタノール)
e 経皮的硬化療法(ポリドカノール)
正解 c,d →a,d
dのエタノールを使用し、細かい血管を塞栓する。
もう1つの選択肢は、a or c と思われる。AVMであればa,cの判断は困難。AVFと考えてc,dか。
64の軟部組織血管奇形の問題ですが、IVRマニュアル139ページより、経動脈的塞栓物質の種類はNBCA、オニキス、無水エタノール、オルダミン、粒状塞栓物質とあり、これらが問われているのではないかと考えました。一方で、コイルやゼラチンは使用しないとあり、ただしコイルはフローコントロール目的では使用することがあるとあります。この場合、内腸骨動脈の塞栓はフローコントロールとして必要かどうかということとなると思いますが、かなり具体的な判断が必要となり、この一枚の3D画像からはわからないと思いました。よって答えはadかと思いました。いかがでしょうか。
問64(骨盤内巨大血管病変)ですが、a NBCA d エタノール ではないでしょうか。
adが経動脈的塞栓術ですが cが内腸骨動脈塞栓術となっているのがミソと思われます。
本症例はおそらくTypeⅢのAVMと診断できますので、nidusの塞栓(あるいは可及的にnidusに近づいての塞栓)が望まれます。内腸骨動脈本幹のコイル塞栓のみでは①側副路から血流を引き込んでしまい全く血流低下しない(治療効果がない) ②側副路経由の非常に難しい塞栓を強いられるため追加治療困難 を招来していまいます。出題者の意図はcは禁忌に近いというものではないしょうか。
ただしこの辺は下手にNBCAやエタノールで強塞栓すると筋壊死、神経障害(大腿神経、坐骨神経など)、皮膚壊死等を生じかねないので”可及的末梢でコイルメインに塞栓する”のも現実的とは思います。
受験生先生、びびび先生ありがとうございます!
核医学
65, 10 歳代の女性。頭部 SPECT 画像を示す。 使用された放射性医薬品として正しいのはどれか。1 つ選べ。
a 123I-BMIPP
b 123I-IMP
c 123I-ioflupane
d 123I-iomazenil
e 123I-MIBG
正解 d
脳血流シンチグラフィ製剤を選べという問題ですね。
65番のSPECTですが脳血流画像と比較して基底核、視床、脳幹、小脳に集積が少ないことがiomazenilを選ぶ根拠のようです。核医学ノート120、121ページから。
iomazenilは脳受容体シンチグラフィですね。
R先生ありがとうございます!!
66, 60 歳代の男性。3 年前よりすくみ足,易転倒性,構音障害出現。123I-IMP および 123I-ioflupane による脳 SPECT 画像,123I-MIBG による胸部シンチグラフィ後期像を示す。 可能性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a Parkinson 病
b Alzheimer 型認知症
c Lewy 小体型認知症
d 進行性核上性麻痺
e 大脳皮質基底核症候群
正解 d
パーキンソニズムを来す疾患の鑑別。
123I-ioflupaneでは両側線状体への集積低下を認め,123I-MIBGでは、後期相で心臓への集積を認める=washout rateがさほど高くない。
これによりd or eを疑う。
123I-IMPでは、比較的対照的な両側前頭葉への血流低下が疑われる。d 進行性核上性麻痺に合致する。
大脳皮質基底核症候群は前頭頭頂葉優位、左右非対称な大脳萎縮が特徴。
関連:大脳皮質基底核変性症(CBD)のMRI画像診断、症状、認知症、治療
67, 40 歳代の男性。脳脊髄液腔シンチグラム 3 時間像を示す。 考えられるのはどれか。1 つ選べ。
a 髄液鼻漏
b 正常圧水頭症
c 脊柱管狭窄症
d 閉塞性水頭症
e 脳脊髄液減少症
正解 e
脳脊髄液腔シンチグラム3時間像で、両側性腰部RI集積(いわゆるクリスマスツリー所見)および膀胱の早期描出を認める。
これらは脳脊髄液漏出の参考所見にはとどまるが、選択肢の中では脳脊髄液減少症を最も疑う。
68, 50 歳代の男性。心筋梗塞の急性期に安静時の血流と脂肪酸代謝の評価が行われた。 正しいのはどれか。2 つ選べ。
a 血流・代謝ミスマッチはない。
b 梗塞は左回旋枝領域に存在する。
c SPECT 画像は垂直長軸像である。
d 経時的な壁運動の改善が期待できる。
e 脂肪酸代謝の評価には 123I-BMIPP を用いた。
正解 d,e
- a.中隔〜心尖にミスマッチあり。
- b.梗塞を疑う集積の欠損なし。
- c.水平長軸像。
- d.気絶心筋。気絶心筋とは冠動脈閉塞後に再灌流に成功しても心機能障害(すなわち壁運動異常)が持続し、壁運動回復が遷延すること。よって、壁運動の改善が期待できる。
- e.脂肪酸代謝には123I-BMIPPを用いる。
よって、d.e.
69, 60 歳代の男性。主訴は労作時の息切れ。安静時の心電図同期心筋血流 SPECT が行わ れた。 正しいのはどれか。2 つ選べ。
a 右室負荷がある。
b 虚血性心不全を疑う。
c 99mTc 標識製剤を用いた。
d 心尖部肥大型心筋症を疑う。
e 前壁の壁運動は保たれている。
正解 c,e
胆嚢に強い集積があるので99mTc-MIBIもしくはtetrofosmin.心尖部に明らかな壁肥厚なし。QGSでも明らかな壁運動障害なし。
ここ最近、筆記試験でも必ず1問は「これ何のシンチ」が出題されるので、まとめてみました。口頭試問でも頻出とのウワサ。
→全身のシンチグラフィ、これ何のシンチ?
70, 70 歳代の女性。右乳癌の術前に施行された核医学検査の画像を示す。 正しいのはどれか。1 つ選べ。
a 脂肪織の病変が示唆される。
b 乳癌病巣に強い集積が見られる。
c リンパ節転移を示唆する所見ではない。
d ガンマプローブで撮影された画像である。
e この検査に 99mTc-tetrofosmin が用いられる。
正解 c
センチネルリンパ節シンチ
- 乳癌では臨床的に明らかな腋窩リンパ節転移が認められている場合は、レベルⅡ(中部腋窩)までのリンパ節郭清が推奨されている。
- センチネルリンパ節シンチグラフィは臨床的にリンパ節転移が明らかではない場合に行われ, センチネルリンパ節転移が陰性であればリンパ節郭清を省略する。
- それに伴い術後合併症や上肢機能障害が減り, QOL(qualityoflife)の改善につながる.。
- センチネルリンパ節転移が陰性の場合,腋窩リンパ節郭渭を省略しても長期予後は変わらないという大規模臨床試験の結果が出ている。
- 術前にリンパ移行性の高い放射性医薬品(99mTc-HSA、99mTc-フチン酸99m、Tcスズコロイド)を原発巣または周辺組織に皮下もしくは皮内投与し、 ガンマカメラでシンチグラムを撮像することでリンパ節の描出を行う.
- 注入部位は腫瘍の占居部位に関わらず乳輪下に投与することが多く、リンパ節に加え、注入部位にも強い集積を認める。
- リンパ系内の貯留時間はコロイド粒子の大きさにより異なり,小さなものほど移行が早い。99mTc-フチン酸は径200~l,000nmとリンパ節描出に適度な大きさであり、汎用されている。
- 手術中にγ線検出用のガンマプローブを用いてセンチネルリンパ節を同定・摘出し、術中迅速病理診断で転移の有無を確認する.
従って、a,b × c ○
胸部前面像での強い集積部位は注入部位と考えられ、その近傍のより小さな集積部位は腋窩のセンチネルリンパ節を疑う。このリンパ節が転移であるかどうかは画像のみではいえないため、c は正しい。
d× 術前に撮像されている画像でありガンマプローブによる画像ではない。
e ×
参照)わかりやすい核医学 P276-279
71, 70 歳代の女性。左下肢腫脹の精査のため来院した。シンチグラムを示す。 正しいのはどれか。1 つ選べ。
a 24 時間後の画像である。
b 左下肢のリンパ管が拡張している。
c 放射性医薬品は静脈内投与された。
d この検査の標準的な投与量は 370 MBq である。
e この検査には放射性医薬品として 99mTc-HSA-D が用いられる。
正解 e
リンパ浮腫に対するリンパ管シンチグラフィ。99mTc-HSADを投与部位1箇所あたり、約40~80MBqを容量が0.1~0.2mL以内となるように調製の上、皮内に投与し、観察部位のシンチグラムを得る(http://www.jsnm.org/archives/4382/より抜粋)。なお、昨年保険適用になった検査のようである。
72, 30 歳代の男性。精査のために核医学検査を施行した。 使用した放射性医薬品はどれか。1 つ選べ。
a 18F-FDG
b 67Ga-citrate
c 99mTc-pertechnetate
d 111In-pentetreotide
e 123I-MIBG
正解 b
左頚部に強い集積あり。また、涙腺、鼻腔、唾液腺、肝臓、脾臓、胃、腸管、外陰部にも生理的集積がみられる。67Gaシンチの使用が疑われる。リンパ腫か。
73, 50 歳代の男性。喉頭癌の精査にて 18F-FDG PET/CT 検査を施行した。喉頭病変以外に も体幹部に軽度の集積を認めた。PET MIP 正面像と PET/CT 横断像を示す。 所見の解釈で最も適当なのはどれか。1 つ選べ。
a 胸壁膿瘍
b 胸壁転移
c 弾性線維腫
d 褐色脂肪組織
e 淡明細胞肉腫
正解 c
両側肩甲下部に脂肪成分を含む腫瘤あり、わずかに18F-FDGが集積している。弾性線維腫。
74, 50 歳代の男性。悪性リンパ腫に対して化学療法を行い,治療効果判定のため 18F-FDG PET 検査を施行した。治療前と治療後の PET MIP 正面像を示す。 治療後の所見の解釈で最も考えられるものはどれか。1 つ選べ。
a 胃の腫瘍浸潤
b 脾機能亢進症
c 骨髄の腫瘍浸潤
d 心筋の腫瘍浸潤
e G-CSF 製剤投与後の変化
正解 e
治療前と比べ、治療後の画像では脊椎や大腿骨など長管骨への集積が亢進している。
75, 60 歳代の男性。手指の震え,動悸を主訴に来院。採血にて甲状腺中毒症を認めた。 99mTc-pertechnetate シンチグラムを示す。 可能性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a Basedow 病
b 慢性甲状腺炎
c 亜急性甲状腺炎
d 副甲状腺機能亢進症
e 機能性結節性甲状腺腫
正解 e
核種が99mTc-pertechnetateと提示されている甲状腺シンチグラフィの画像。甲状腺左葉の局所的な集積亢進を認める。機能性結節性甲状腺腫(Plummer病)を疑う所見である。
76, 50 歳代の男性。全身倦怠感と食欲低下があり近医受診。高カルシウム血症,慢性腎不 全を指摘された。PTH 2410 pg/mL と高値であった。99mTc-MIBI シンチグラフィが施行 された。 適切なものはどれか。2 つ選べ。
a 顎下部に異常集積を認める。
b 副甲状腺過形成が疑われる。
c リンパ節に異常集積を認める。
d 後期像は 6 時間後に撮影する。
e この検査ではヨード摂取制限は不要である。
正解 b.e
- a.顎下に集積はない。
- b.後期相でも集積が残存。副甲状腺機能亢進が疑われる。
- c.リンパ節への集積はない。
- d.後期相の撮影は2-3時間後。
- e.テクネなので不要。
よって、b.e.
77, 40 歳代の女性。肺癌の病期診断のために骨シンチグラフィを施行した。骨シンチグラム前後面像を示す。 骨転移の可能性を考慮すべき部位数はどれか。1 つ選べ。
a な し
b 1 箇所
c 2 箇所
d 3 箇所
e 4 箇所
正解 c
T12-L1レベルの椎体左側と、右恥骨を有意と判断しました。
頸椎にも淡い集積があるように見えますが、生理的でも良さそうかと・・・ただ、受験者の解答は割れているようでした。
78, 60 歳代の女性。甲状腺乳頭癌術後。2 回目の放射性ヨウ素内用療法時の 131I シンチグラ ム全身像を示す。 考えられるのはどれか。1 つ選べ。
a 肺転移
b 腸管転移
c 顎下腺転移
d 甲状腺残存
e 頸部リンパ節転移
正解 a
甲状腺乳頭癌術後。放射線性ヨウ素内用療法中。
甲状腺癌に対する1311内用療法に際しては事前に甲状腺が全摘されている必要があり、本来は甲状腺に集積はないはず。
このため、集積
参考:甲状腺癌、甲状腺機能亢進症に対する131I(ヨード)内用療法の適応、効果判定、副作用は?
79, 10 歳代の男児。下血を主訴に来院した。シンチグラムを示す。 正しいのはどれか。1 つ選べ。
a 胃からの出血が疑われる。
b 追加で 24 時間後像が必要である。
c 標準的な投与量は 740 MBq である。
d ジピリダモール負荷検査が有用である。
e 使用した放射性医薬品は 99mTc-pertechnetate である。
正解 e
出血シンチグラフィとしては血液プール像(肝臓、脾臓、血管)の描出が目立たず、一方で胃粘膜への集積が目立つ点から、99mTc-pertechnetateによる異所性胃粘膜シンチグラフィと考えられる。
膀胱の直上に局所的な集積が経時的に明瞭化しており、メッケル憩室への集積が疑われる。なお、選択肢の中の24時間後像の追加撮像や、740MBqの投与量は出血シンチグラフィ(99mTc-HSAD)に該当する項目である。
80, 60 歳代の男性。術前精査のために撮影した上腹部の SPECT/CT 画像を示す。 使用された放射性医薬品はどれか。1 つ選べ。
a 99mTc-GSA
b 99mTc-HSA-D
c 99mTc-フチン酸
d 99mTc-スズコロイド
e 99mTc-pertechnetate
正解 a
術前の肝機能評価と考えられる。
よって、a.99mTc-GSA。
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解答作成ありがとうございます!
受かったものの迷ったものが意外と間違ってて採点してて冷や汗をかきました。改めて勉強し直します。
さて、1ですが半減期に間違いはないので正解はaのようです。
今年も難しいですね。
過去に出題されていない新しいトピックもいくつかありましたね。
1はおっしゃるとおりですね。修正しました。ありがとうございます。
54はpapillary疑いではないでしょうか?
54の解説で淡明細胞癌疑いとありますが、皮髄相での染まり具合からするとpapillary RCCの方が考えられませんでしょうか。
返信遅くなり申し訳ありません。
皮髄相のみなので何とも言えないですね。確かにもっと造影されてほしい気もしますが。
ですので、画像だけでは淡明細胞癌疑いとはいえないですね。
他の所見から総合的に出題者の意図を汲むとということになります。
解答作成ありがとうございます。
18番はb.eではなくてc.eですか?血液系の悪性腫瘍も関係はあるようですが、記載していただいてる説明と矛盾を感じまして、ご確認です・・
コメントありがとうございます。
おっしゃるようにスタチンのようです。
修正しました。
ていうか、超難問ですね(^_^;)
いつも解答作成ありがとうございます。大変参考にさせていただいております。
2番の
>c MPG をかけた方向の拡散の程度を観察可能である。
について、
>c:x、y、z方向に各々MPGをかけたときの拡散の程度は、理論上観察可能と思われるが。。。そもそも、個別に見るものなのでしょうか?
とのコメントを載せられていますが、これについては可能です。
実際に、少し古いMRIだとx, y, z方向それぞれのMPGをかけた画像を吐き出す機械もあります。臨床的には各繊維の方向がある程度わかること、アーチファクトかどうかの判定の参考になるなどの有用性があるとは思いますが、効果は限定的だと思います。
ttp://www.shizuhogi.jp/pdf/2008/mri08-2.pdf
実際シーメンスの資料で18枚目くらいのところに各方向にMPGをかけて撮像した元画像がありますのでご参考にしてください。
またdの選択肢についてですが、
>FAmap とは、ある特定の方向にMPGをかけたときにおける「拡散異方性」の強さと向きをmappingしたもの。
とコメントされておりますが、FA mapは異方性拡散の強さ(スカラー)のみを表したMAPでつまり向き(ベクトル)の情報を捨て去ったもので、FA mapからはトラクトグラフィーを作成できません。つまりFA map自体に元画像(というより元データ)がありますので、そちらをテンソルmodelで解析したのがトラクトグラフィーです。
なのでFA mapで神経のつながりを描出することはできませんのでdが誤りで良いかと思います。
ありがとうございます。助かります。
追記しました。
度々申し訳ありません。
設問34ですが、内部性状が乳頭状であることと男性であることから私はdのIPNBを疑いました。冠状断像では右葉の肝内胆管の拡張も見られます。
ttps://link.springer.com/content/pdf/10.1007/s00330-015-3618-2.pdf
MCNの9割以上が女性であるので、男性であることはMCNの可能性をかなり下げると思います。
肝S4を中心とした大きな多房性嚢胞性病変という点ではMCNも鑑別の上位に上がりますが、MCNの多房はどちらかというと房の大きさにばらつきがあって、cyst in cyst typeが多く、本症例では
ttps://www.nature.com/articles/modpathol201171.pdfのfig1でいえばどちらかというとmulticysticに分類される用に思います。
malignant potentialもかなり低いので、本症例のように充実部がかなり目立つ症例も比較的まれなように思います。
設問45ですね。
確かにおっしゃるようにIPNBのようですね。ありがとうございます。
修正します。
リンクですが最初のh入れていただいて構いません。
先程の投稿ですが、設問45についてのコメントでした。失礼しました。
了解です。ありがとうございますm(_ _)m
64の軟部組織血管奇形の問題ですが、IVRマニュアル139ページより、経動脈的塞栓物質の種類はNBCA、オニキス、無水エタノール、オルダミン、粒状塞栓物質とあり、これらが問われているのではないかと考えました。一方で、コイルやゼラチンは使用しないとあり、ただしコイルはフローコントロール目的では使用することがあるとあります。この場合、内腸骨動脈の塞栓はフローコントロールとして必要かどうかということとなると思いますが、かなり具体的な判断が必要となり、この一枚の3D画像からはわからないと思いました。よって答えはadかと思いました。いかがでしょうか。
コメントありがとうございます。
>この場合、内腸骨動脈の塞栓はフローコントロールとして必要かどうかということとなると思いますが、かなり具体的な判断が必要となり、この一枚の3D画像からはわからないと思いました。よって答えはadかと思いました。いかがでしょうか。
ありがとうございます。修正しました。
一次専門医受験時より大変お世話になっています。
今回もこれから沢山お世話になります。よろしくお願いいたします。
問41(小児頭頚部腫瘍)ですが、d横紋筋肉腫 e悪性リンパ腫 ではないでしょうか。
平滑筋肉腫と横紋筋肉腫では発生する患者の年齢層が大きく異なります。平滑筋肉腫は60歳越えが発症中央値のはずです。
すぐわかる小児の画像診断 では頭頚部横紋筋肉腫の項がありますが悪性リンパ腫との鑑別について述べられています。
もちろん小児平滑筋肉腫症例もあると思いますが、eより上位に来るのは厳しいのではと思いました。
あと、問64(骨盤内巨大血管病変)ですが、a NBCA d エタノール ではないでしょうか。
adが経動脈的塞栓術ですが cが内腸骨動脈塞栓術となっているのがミソと思われます。
本症例はおそらくTypeⅢのAVMと診断できますので、nidusの塞栓(あるいは可及的にnidusに近づいての塞栓)が望まれます。内腸骨動脈本幹のコイル塞栓のみでは①側副路から血流を引き込んでしまい全く血流低下しない(治療効果がない) ②側副路経由の非常に難しい塞栓を強いられるため追加治療困難 を招来していまいます。出題者の意図はcは禁忌に近いというものではないしょうか。
ただしこの辺は下手にNBCAやエタノールで強塞栓すると筋壊死、神経障害(大腿神経、坐骨神経など)、皮膚壊死等を生じかねないので”可及的末梢でコイルメインに塞栓する”のも現実的とは思います。
コメントありがとうございます。
詳細な解説ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。修正しました。
いつも大変お世話になっております。ありがとうございます。
問62ですが、「臨床医のための腹部血管造影・IVR」p215に仮性動脈瘤の塞栓術はisolation+packingを用いるとの記載があり、答えはa、bではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。
何度もすみません。自分は普段IVRに携わっておらず、知識に乏しくてお恥ずかしいのですが、この部位の仮性動脈瘤だとisolationよりもpackingとステントグラフト内挿術が適切ではという声も聞きました。いかがでしょうか…?
コメントありがとうございます。
isolation+packingでいいような気もしますがどうなんでしょうね(^_^;)
IVR 62の問題
PD後の仮性動脈瘤止血方法の問題
仮性動脈瘤の正確な位置がこの画像だとちょっと不明瞭ですが、CHAやPHAではなく、細い分枝にできた仮性動脈瘤のようなので、isolationかpackingが現実的と思います。
①瘤より遠位部まで進んでから、来た道を戻るようにコイルを仮性動脈瘤の中枢まで積み上げる(isolation)
②瘤より遠位までカテーテルが進まなければ、仮性動脈瘤の少し手前からNBCA注入して仮性動脈瘤内をNBCAで充填させる(packing)
のどちらかの方法でしょうか。CHA本幹/PHA本幹の破綻であれば末梢血管用ステントグラフトも使えますが、分枝の仮性動脈瘤ですと有効打にはならないと思います。
なので正解は isolation と packing と思います。
管理人様、O先生、kj先生、ご返信ありがとうございます。また、詳しいご説明をいただき大変勉強になりました。
こちらに書き込んだ後に普段IVRをしている先生にご意見を伺う機会があったのですが、設問62のような総肝動脈瘤でisolationすると、瘤の末梢側の虚血が生じ、肝虚血に陥るのではというご意見を賜りました。(O先生がおっしゃるように、この症例が細い分枝の瘤ならisolationで良いと思います)
以下は術後出血と仮性動脈瘤に対する治療の症例報告です。
ttps://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsa/80/11/80_1971/_pdf(頭にhを入れてください)
状況が設問62と近いと思われます。これを参照しますと、バイアバーンステント留置で止血しており、isolationはしていないようです。
バイアバーンステントは2016年に保険収載されているので、これを踏まえてステントグラフト内挿術を特に選ばせたい問題だった可能性もあるように思います。もう一つの選択肢は管理人様、O先生のおっしゃるようにpackingではないかと…。
いかがでしょうか。
いつも勉強させて頂き、ありがとうございます。
IVR専攻の受験生です。
62ですが、仮性動脈瘤ですのでpackingは不正解になります。損傷部位のisolationもしくはステントグラフトによるsealingでいいと思います。幸い腹腔動脈〜PHAも上向きでステントグラフトのデリバリーが容易な形態です。よろしくお願いします。
仮性動脈瘤が細い分枝にできているように見えるのですが、それでもVIABAHNでいけるのでしょうか?
提示画像がCHA本幹の破綻ならステントグラフトでいいと思うのですが、仮性動脈瘤から細い枝が出てるように見えて、右胃とか細い枝の仮性動脈瘤のように見えるんですよね。
packingという言葉も厳密には真性動脈瘤の瘤内充填 という意味だと思っていますが、NBCAを手前から注入して破綻部にNBCA充填させることをpackingと呼んでいるのかなとも思いました(ちょっと苦しいでしょうか・・)。
ご返信、ありがとうございます。
この画像のみでの判別は困難ですが、素直に考えてPD後(膵頭十二指腸切除後)、GDA stumpの仮性動脈瘤を疑います。VR像で仮性瘤が血腫に押されてこのように上を向く事も経験されます。このケースは、母血管(PHA-CHA)へのステントグラフト留置もしくは母血管(PHA-CHA)をコイルで塞栓する損傷部のisolationでいいと思います。
正常肝細胞は門脈血流が優位かつ下横隔動脈などの肝外枝からの吻合もあり、母血管(PHA-CHA)をコイルで塞栓しても肝梗塞まで陥る事は頻度としては少ないです。現にバイアバーンが出るまでは、このようなケースではそのような治療しか出来ませんでした。
またNBCAを損傷部に充填させる事を通常packingとは言いません。敢えていうならば損傷部のsealingでしょうか。これは仮性動脈瘤が「瘤」ではないから(仮性動脈瘤は損傷部から漏れている血液が他組織にsealingされてあたかも瘤のように見えている状態) と個人的には理解しています。
長々と失礼しました。
kj先生
ご丁寧にお返事を頂きましてどうもありがとうございます。
大変参考になりました。
N先生、O先生、kj先生ありがとうございます!!
最後はものすごい専門家が出てこられましたね(^^)
GDA stump、母血管・・・アンギオやってるのに聞いたことがない用語が連発でした(^_^;)
他の年のIVRの問題もおかしなところやツッコミどころがあれば解説をお願いしたいです。
非常に勉強になりました。ありがとうございました!
65番のSPECTですが脳血流画像と比較して基底核、視床、脳幹、小脳に集積が少ないことがiomazenilを選ぶ根拠のようです。核医学ノート120、121ページから。
コメントありがとうございます。
そういう意図だったのですね。追記しました。ありがとうございます。
5のRAID5についてですが、計算式は(ハードディスクの台数-1)✖️1台の容量のようです。ちなみにRAID6は(台数-2)✖️1台の容量。RAID1、10は半分。
いつも解答作成ありがとうございます。
34ですが、気管支大動脈瘻なら動脈内にairがあるはずとの指摘がありますが、大動脈が高圧系ですので、気管支と瘻孔形成した場合に大動脈に必ずしもairがあるとは限らないと思います。
また喀血をきたしていることから大動脈気管支瘻があってもおかしくないのではないかと思います。
炎症性大動脈瘤は胸部には比較的まれであり、またいわゆるMantle signのような所見もないように思います (外側は染まってますが、おそらく含気のない肺のenhancementでしょうか)。
また胸部にできたとしても喀血を起こしうるのかなという点もやや疑問です。