問題原本はこちら(日本医学放射線学会)を参照ください。
6,80 歳代の男性。交通事故にて救急搬送された。神経症状は特にない。来院時の頸部単純 X 線写真と単純 CT を示す。
考えられるのはどれか。1 つ選べ。a Chance 骨折
b Hangman 骨折
c Jefferson 骨折
d Teardrop 骨折
e Clay shoveler 骨折
6,の解答:b
Hangman 骨折
- C2の両側の上下関節突起間部の骨折。
- 頚椎の過度の進展と牽引によっておこる不安定で重篤な骨折。
- 神経症状をきたすことはない。
- 重症度により3つのタイプに分類される。
Chance骨折
- 胸腰椎に強い前屈が加わった結果起こる椎体と神経弓の水平骨折。
- シートベルトを腰だけに巻いた状態で衝突した場合に起こりやすい。
Jefferson 骨折
- 第1頚椎の垂直方向の圧迫による前弓と後弓の粉砕型の骨折。
- 骨折自体は安定しており、環椎横靭帯の損傷がなければ神経症状を呈することはない。
- X線では、開口位像で、環椎側塊部が外側に変位し、軸椎側塊部の上で張り出して見える。
- 側面像では、環椎歯突起間距離が広がっていることあり、これが7mm以上の場合、不安定と診断する。
Teardrop 骨折
- 頚部の過伸展もしくは過屈曲による骨折。
- 過伸展の場合は、第2頚椎前下縁の前縦靭帯の付着部での裂離骨折が生じる。
- 過屈曲は、第5頚椎で生じやすく脱臼骨折を伴うため、神経学的に重篤になることが多い。
- 神経孔や椎骨動脈孔に骨折が及んでいるかの評価にはCTによる評価が重要。
Clay shoveler 骨折 (粘土シャベル骨折)
- C6,7,Th1のいずれかの棘突起の剥離骨折。
- 急激に屈曲すると僧帽筋や菱形筋にストレスが加わり、その結果上棘靭帯に力が伝わって棘突起が骨折する。
- 安定骨折の一つ。
頸椎損傷の安定、不安定の関係
【安定】
- 前方亜脱臼
- 一側性関節突起脱臼
- 単純楔状骨折
- 破裂骨折
- C1後弓骨折
- clay-shoveler骨折
【不安定】
- 両側性関節突起脱臼
- teardrop骨折
- hangman骨折
- Jefferson骨折
7,14 歳の女子。左手首の疼痛を主訴に来院した。転倒後から手関節痛と腫脹がある。 左手の単純 X 線写真を示す。
損傷の分類として考えられるのはどれか。1 つ選べ。a Salter-Harris 分類 1 型
b Salter-Harris 分類 2 型
c Salter-Harris 分類 3 型
d Salter-Harris 分類 4 型
e Salter-Harris 分類 5 型
7,の解答:b
- Ⅱ型は骨幹端に及ぶ骨端軟骨の骨折。
Salter-Harris 分類
- 小児期での成長板(骨端線)の損傷の分類に用いる。
- 治療方針や予後推定に重要とされる。
- 骨折線が骨端線を介してどの方向に及ぶかで分類する。
- Ⅱ型が最多。数字が大きくなるにつれ予後不良となる。
- 単純X線による評価であるが、MRIを追加すると、潜在骨折が見つかることあり。
8,10 歳代の男子。腰痛を主訴に来院した。骨条件の腰椎単純 CT(横断像と再構成矢状 断像)を示す。
考えられるのはどれか。1 つ選べ。a 類骨骨腫
b Brodie 膿瘍
c 腰椎分離症
d 外傷性骨折
e 椎間関節変性
8,の解答:c
9,50 歳代の男性。右手関節痛を主訴に来院した。1 年前から出現し,最近になり増強して きている。テニス愛好家である。MRI の T1 強調像と STIR 像を示す。
正しいのはどれか。2 つ選べ。a 舟状骨に異常を認める。
b 末期に関節強直をきたす。
c 初期には骨髄浮腫様の信号異常を呈する。
d 尺骨過長(ulna plus variant)症例に好発する。
e この病期では単純 X 線写真で所見を指摘できる。
9,の解答:b,c?→c,e
- T1WIでは月状骨に低信号あり。→キーンベック病?だとしたらSTIRで高信号になっててほしい。
- STIRでは有頭骨を中心に、有鉤骨にも一部高信号ありか。
- a:舟状骨は画像には写っていない。
- d:尺骨過長(ulna plus variant)症例に好発するのはTFCC損傷。TFCC損傷は見られない。
問題9はキーンベック病のステージIII期ではないでしょうか。ステージIIIであれば月状骨のSTIRで信号が低下するようです(上肢の画像診断 p214)。III期ではX線で月状骨圧潰が確認できるので、従ってこの問題の解答はc、eではないでしょうか。
NERU先生ありがとうございます!!!
有鉤骨鉤骨折
- テニスやゴルフ、バドミントンのグリップなどが小指球部に衝突することにより生じる骨折。ラケットを振り損ねたときなどに起こる。
- 単純X線での診断は困難なことが多く見逃されやすい骨折の一つ。
- MRIでの報告は少ない。CTの再構成は骨折線を明瞭に描出でき有用。
参考)
・キーンベック病のMRI画像診断
・TFCC損傷のMRI画像診断
10,
10 歳前半の男子。左上腕部の疼痛を主訴に来院した。左上腕部の単純 X 線写真と単純 CT(骨条件)とを示す。 考えられるのはどれか。1 つ選べ。
a 骨軟骨腫
b 軟骨肉腫
c 骨化性筋炎
d 傍骨性骨肉腫
e 骨膜性骨肉腫
10,の解答:e?→c
正解はcの骨化性筋炎だと思いますがいかがでしょうか。Helmsの骨関節画像診断入門によると骨化性筋炎と悪性腫瘍のどちらも骨膜反応は認められるとされ、また骨膜性骨肉腫はspicula様の骨膜反応を認め傍骨性骨肉腫と異なり軟部腫瘤内に粗大な石灰化を有することはない、と記載があります。また本症例では石灰化が腫瘤辺縁に認められており、骨化性筋炎に特徴的だと思います。
レントゲン:左上腕骨に接して、骨化した腫瘤が認められる。上腕骨に沿った骨膜反応が認められる。
CT:上腕骨と連続して、辺縁主体の骨硬化像を伴った病変が認められる。
→骨化性筋炎を疑う所見。
- d:傍骨性骨肉腫は辺縁よりも中心部で石灰化が強い。好発年齢は20-30歳代と、通常型よりやや高い。
- e:骨膜性骨肉腫ではspicula様の骨膜反応が見られる。
osk先生ありがとうございます!
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問題7の解答には「Ⅱ型は骨折線が骨端線を介して骨端にも及ぶもの」とありますが、骨折線が骨端に及ぶとⅢ型やⅣ型となります。メルクマニュアルには、「骨幹端に及ぶ骨端軟骨の骨折」と記載されています。
コメントありがとうございます。おっしゃる通りです。修正しました。
問題10番ですが、正解はcの骨化性筋炎だと思いますがいかがでしょうか。Helmsの骨関節画像診断入門によると骨化性筋炎と悪性腫瘍のどちらも骨膜反応は認められるとされ、また骨膜性骨肉腫はspicula様の骨膜反応を認め傍骨性骨肉腫と異なり軟部腫瘤内に粗大な石灰化を有することはない、と記載があります。また本症例では石灰化が腫瘤辺縁に認められており、骨化性筋炎に特徴的だと思います。
osk先生
おっしゃるとおりです。修正しました。
問題9はキーンベック病のステージIII期ではないでしょうか。ステージIIIであれば月状骨のSTIRで信号が低下するようです(上肢の画像診断 p214)。III期ではX線で月状骨圧潰が確認できるので、従ってこの問題の解答はc、eではないでしょうか。
おっしゃるとおりのようです。
ご指摘ありがとうございます。