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2011年放射線科診断専門医試験問題&解答解説【71-75】
問題原本はこちらからご覧下さい。
71,
70 歳代の男性。2 日前から異常行動(ジャルゴン発語状態)が出現した。麻痺はなく,CT,MRI で明らかな異常は認めていない。言語症状持続時と回復後の123I-IMP SPECT を示す。可能性が高いのはどれか。1 つ選べ。 a 髄膜炎 b もやもや病 c ヘルペス脳炎 d てんかん発作 e 左中大脳動脈閉塞
・発作時には血流増大し、間欠期には落ちるというやつか?
脳血流が増加
・脳梗塞亜急性期(贅沢)
・脳塞栓の再開通時
・発作中のてんかん(発作後もしばらくは高集積が遅延することがある。)
・脳炎
脳血流が減少
・脳梗塞(ただし亜急性期以外)
・脳出血
・左(右)被殻出血時の右(左)小脳
・発作間欠時のてんかん
72,
60 歳代の女性。99mTc-MIBI 投与後,5 分および 2 時間のシンチグラム頸部前面像を示す。可能性が高いのはどれか。1 つ選べ。 a Plummer 病 b 副甲状腺腺腫 c 甲状腺乳頭癌 d 甲状腺濾胞腺腫 e 亜急性甲状腺炎
99mTc-MIBI
・安静心筋。副甲状腺腫(2011保険適応)。
・99mTc-MIBIで正常副甲状腺は同定されない。
・早期像では、甲状腺との放射能に差がないため、副甲状腺を認識できないが、洗い出しが甲状腺より遅いために、後期像で副甲状腺に集積が残るのが特徴。
73,
50 歳代の男性。動悸を主訴に来院した。胸部 X 線写真と肺換気血流シンチグラムを示す。可能性が高いのはどれか。1 つ選べ。 a 肺気腫 b 心不全 c 肺血栓塞栓症 d 肺門部リンパ節腫大 e 側弯症による換気血流障害
多発ミスマッチ欠損を認めており、肺動脈血栓塞栓症を疑う所見。
74,
60 歳代の女性。2 年前から労作時呼吸困難を自覚し,次第に増悪していた。3 カ月前に急性の呼吸困難があり,3 日ほどで軽快した。以後,労作時呼吸困難がさらに増強した。1 週間前から両下肢浮腫が出現した。胸部 X 線写真,胸部 CT(肺野条件),換気血流シンチグラムを示す。正しいのはどれか。2 つ選べ。 a CT で mosaic pattern がある。 b 手術にて軽快する病型がある。 c シンチグラムにて多発一致欠損がある。 d 換気シンチグラムは洗い出し像である。 e 胸部 X 線写真で肺血管陰影は末梢まで太い。
・換気は保たれているが、血流は両側で低下している。つまり多発一致欠損はない。慢性肺血栓塞栓症の症例。
・d:× 洗い出し像ではない。洗い出し像1枚では換気の状態は診断できない。
75,
生後 20 日の新生児。肝・胆道シンチグラフィを施行した。正しいのはどれか。2 つ選べ。 a 5 分後で胃が淡く描出されており,胃粘膜の炎症所見である。 b 15 分後で膀胱が描出されており,胆汁排泄は不良である。 c 60 分後に肝臓の集積が強くなっており,乳児肝炎の所見である。 d 4 時間後に腎臓描出が膀胱より淡く,排尿障害の所見である。 e 24 時間後まで腸管が描出されないのは,胆道閉鎖症の所見である。
肝胆のシンチ
・網内系貪食(kupper細胞):フチン酸 99mTc-phytate
・肝細胞(受容体):アシアロシンチ 99mTc-GSA
・胆道系:99mTc-PMT
肝胆道シンチグラフィ 99mTc-PMT
・乳児黄疸の鑑別:乳児肝炎か先天性胆道閉鎖。24時間後でも胆道・胆管排泄が見られないのが先天性胆道閉鎖症。
症例 20 歳代の男性。肝腫瘤の精査。
2006年放射線科診断専門医試験問題71より引用。
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