2010年放射線科専門医試験問題&解答解説【91-95】治療
問題原本はこちらからご覧ください。
91,
頭頸部癌について誤っているのはどれか。1 つ選べ。 a 甲状腺癌は放射線感受性が低い。 b 耳下腺癌は放射線感受性が高い。 c 眼窩原発 MALT リンパ腫は放射線治療が第一選択となる。 d 頭頸部扁平上皮癌の放射線治療では治療期間は予後因子となる。 e 上咽頭癌に対する放射線治療は強度変調放射線治療の適応を考慮する。
91, b
・耳下腺癌は手術が第 1 選択。
放射線感受性の高い腫瘍、低い腫瘍
・放射線感受性の高い腫瘍:横紋筋肉腫を除く小児悪性腫瘍、精上皮腫・未分化胚細胞腫、リンパ上皮腫、ホジキン病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など
・放射線感受性の低い腫瘍:奇形腫、神経膠腫、高分化腺癌、線維肉腫、骨肉腫、悪性黒色腫など
92,
食道癌の TNM 分類において T 因子を決めるのはどれか。1 つ選べ。 a 腫瘍の長径 b 腫瘍の存在部位 c 腫瘍の浸潤程度 d 食道狭窄の程度 e 食道内 skip lesion の有無
92, c
93,
食道癌に対する根治目的の化学放射線療法後の合併症として発生頻度が最も低いのはどれか。1 つ選べ。 a 食道狭窄 b 胸水貯留 c 心囊水貯留 d 脊髄対麻痺 e 放射線肺臓炎
93, d
・発生頻度高かったら困ります。
94,
肺癌の放射線治療計画として通常許容されないのはどれか。1 つ選べ。 a 腰椎転移の局所照射: 30 Gy10 回 b 多発性脳転移の全脳照射: 30 Gy10 回 c 原発巣および同側縦隔照射: 60 Gy30 回 d 原発巣および両側肺門照射: 50 Gy25 回 e 肺野末梢早期肺癌の局所照射: 48 Gy4 回
94, d
・根治的放射線治療では一般に対側肺門を CTV に含めない。また腫瘍制御に要する線量として肉眼的腫瘍部には 60Gy/30 回/ 6 週以上の線量が必要。
・つまり、50Gy/25回というのも両側肺門というのもおかしい。
95,
肺野末梢 I 期非小細胞肺癌に対する定位放射線治療について正しいのはどれか。2 つ選べ。 a 3 次元原体照射で施行する。 b IA 期と IB 期の局所制御率に差はない。 c 所属リンパ節への予防照射を行う必要がある。 d 放射線肺臓炎の程度は治療終了直後に最も強い。 e X 線のエネルギーとしては 4~6 MV の使用が推奨される。
95, a,e
・b:有意に IB 期の方に局所再発が多い(Radiotherapy and Oncology 94 (2010) 1–11)
・d:照射終了後 2‐6 ヶ月に出現することが多い。
Radiation-induced pulmonary change:放射性肺臓炎、肺線維症
・発症時期により2大別される。
▶急性の放射性肺臓炎(acute radiation pneumonitis):
・照射終了後4-12週(6ヶ月以内)
・一過性
▶晩発性の放射性の肺線維症(late radiation fibrosis):
・照射終了後6-12ヶ月
・しばしば進行
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(92)
食道癌のT因子を選ぶ問題です。UICCのTNM分類でT因子のT4に胸膜、心膜、横隔膜とあります。
これより選択肢bの腫瘍の存在部位もT因子を決めてると言えて、選択肢bも答えになるのではないでしょうか?
T4の胸膜、心膜、横隔膜はこれらへの浸潤があればという意味ですので、cでよいかと思います。