2011年放射線科診断専門医試験問題&解答解説【56-60】
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56,
10 歳の女児。下腹部痛を主訴に来院した。超音波検査で骨盤内に腫瘤性病変が指摘され精査となった。血液検査では AFP および hCG は基準値以下である。骨盤部 MRI を示す。可能性が高いのはどれか。2 つ選べ。 a 予後不良である。 b 腫瘤内出血がある。 c 腫瘤は捻転している。 d 明細胞癌の合併が疑われる。 e ホルモン産生の可能性がある。
56, b,e
顆粒膜細胞腫
・性索間質腫瘍の1つ。
・成人型と若年型に分けられる。
・境界悪性腫瘍に分類。
・多房性嚢胞-充実性腫瘤までさまざま。典型的には内部に大小の嚢胞あり。嚢胞内には出血がしばしばあり。
・よく染まるのが特徴(hypervascular tumor)。
・エストロゲン産生腫瘍。
57,
11 歳の女児。心窩部痛を主訴に来院した。腹部超音波検査で膵腫瘤を指摘され精査となった。MRI を示す。可能性が最も高いのはどれか。 a adenosquamous cell carcinoma b solid pseudopapillary tumor c mucinous cystic neoplasm d lymphoepithelial cyst e endocrine tumor
57, b
solid pseudopapillary neoplasm(SPN,SPT)
・若年女性に好発する(男女比は1:9)。
・比較的予後良好だが、再発率は5%前後。肝転移が多い。
・10年以上経過しての再発もあり。
・分化方向不明な上皮性腫瘍。
・腹痛、腹部腫瘤を主訴とするが、無症状のこともある。
・治療は手術。
画像所見 | ||
CT | 充実+嚢胞、石灰化被膜(壁)、内部出血により高い吸収値、充実部は徐々に染まる。 | |
MRI | T1WI | T2WI |
高〜低 | 低〜不均一(多彩) |
58,
50 歳代の男性。検診の腹部超音波検査にて肝腫瘤を指摘され,精査を目的に来院した。腹部ダイナミック CT を示す。考えられるのはどれか。2 つ選べ。 a 腫瘤は S 8 に存在している。 b 腫瘤は門脈腫瘍栓を伴っている。 c 腫瘤は多血性(hypervascular)である。 d 治療には抗菌薬投与が第一選択である。 e 造影早期相で右葉後区域に血流異常がみられる。
58, b,c
・おそらくHCCで、S4-S5/8に存在している。
59,
60 歳代の男性。検診で肝機能障害を指摘され精査を目的に来院した。グラディエントエコー(GRE)法で撮像した肝 MRI(TR:繰り返し時間TE:エコー時間FA:フリップ角)を示す。使用装置は 1.5 Tである。可能性が高いのはどれか。1 つ選べ。 a 壊死 b 囊胞 c 鉄沈着 d 脂肪沈着 e 胆管拡張
59, c
・out→inで信号低下するのは、鉄沈着。
60,
50 歳代の男性。発熱と腰背部痛を主訴に来院した。腹部単純 CT を示す。 可能性が高いのはどれか。1 つ選べ。 a 結節性硬化症 b 多囊胞腎 c 心房細動 d 糖尿病 e 結核
60, d
気腫性腎盂腎炎
・腎盂腎炎の中でもより重篤なタイプ。
・嫌気性菌が起炎菌となる。
・気腫性膀胱炎と同様に高率に糖尿病を合併する。
・治療はドレナージや外科的治療。
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