2009年放射線科専門医試験問題&解答解説【61-65】診断
問題原本はこちらからご覧ください。
61,
誤っているのはどれか。1 つ選べ。 a 冠動脈 CTA は,冠動脈疾患検診に適している。 b 冠動脈 CTA は,冠動脈奇形の診断に有用である。 c 造影 MRI は,心内膜下梗塞の診断感度が高い。 d 心臓 MRI は,ペースメーカー装着者では禁忌である。 e 造影 MRI は,肥大型心筋症における線維化の診断に有用である。
・a ×:被ばく量の多さや造影剤の副作用のリスクの点から検診に適しているとは言い難い。最近は被ばく量かなり抑えられるようですが。検診はだめ。
・e ○:肥大型心筋症では、遅延造影MRI で線維化巣の遅延造影を認める。他に遅延造影 MRI が有用な疾患として、拡張型心筋症、心サルコイドーシス、心アミロイドーシス、悪性リンパ腫などの腫瘍性疾患、心筋炎などが挙げられる。
心臓MRIで確立されている検査法
①Cine MRIによる心機能解析:造影剤不要
②心筋遅延造影MRI
・心筋梗塞部位や心筋障害部位の描出。
・心筋梗塞では心内膜下から侵される。
・心筋viability(FDG-PETも有用。)
参考)心臓CT(冠動脈CT)の読影方法、画像診断、所見に書くべきこと
62,
マンモグラフィーについて正しいのはどれか。1 つ選べ。 a 高圧撮影が一般的である。 b 授乳期の撮影では診断的価値は低い。 c 石灰化を伴わない乳癌は検出しにくい。 d 胸部 X 線撮影と同一の装置で撮影できる。 e 一方向のみの撮影では通常,内外側方向(ML)を撮影する。
a × 肋骨ないから低電圧でよい。一般の胸部X線撮影が約120~140kV に対し、マンモグラフィーは25~32kV程度の低圧。
c × 石灰化がなくても、腫瘤や構築の乱れの所見を呈する乳癌が検出しにくいとはいえない。
d × 専用の装置が必要。
e 一方向のみの撮影では通常,内外側方向(ML)を撮影する。× 一方向のみの撮影では通常内外斜位方向(MLO)を撮影する。
マンモグラフィー
・管電圧:20-30kVp(胸部X線より低圧撮影)
・自動露出制御(AEC)の機能あり。
・散乱線除去(被ばく低減)のためにグリッドを使用。
・高輝度シャーカステン必要。5M以上のモニタで読影。
・基本撮影方向:
①MLO(mediolateral oblique:内外斜位方向):1枚で最も広く描出できる。
他、ML(mediolateral)、CC(craniocaudal)の撮影あり。
②主訴が片側でも両側撮影する。
③検診では、40代はMLO,CCの2方向。50歳以上はMLOの1方向。
④診療では、MLO,CCの2方向→拡大スポット像などを撮影する。
63,
マンモグラフィーの所見で,良性病変を示唆するのはどれか。2 つ選べ。 a スピクラ b 皮膚肥厚 c 線状分枝状石灰化 d ポップコーン状石灰化 e tea cup sign
a スピクラ × 悪性
b 皮膚肥厚 × 皮膚肥厚は皮膚所見のひとつで腫瘤や石灰化の随伴所見として取り扱われることが多く、所見として独立したカテゴリー分類を行わないことが多い。すなわち、単独で良悪性は判定できない。
c 線状分枝状石灰化 × 悪性
d ポップコーン状石灰化 ○ 明らかな良性石灰化の所見で、退縮した線維腺腫にみられる。
e tea cup sign ○ 明らかな良性石灰化のうちの石灰乳石灰化の所見で、嚢胞内に析出・沈殿したカルシウムにより三日月状、曲線状を呈する。
明らかな良性石灰化
・線維腺腫:粗大あるいはポップコーン状。石灰化の周囲に境界明瞭な腫瘤を認める事もある。
・石灰乳石灰化:嚢胞内に析出・沈殿したカルシウムの石灰化像。
64,
新生児の単純 X 線写真で,正しいのはどれか。1 つ選べ。 a 小泉門は閉鎖している。 b 上顎洞の含気が見られる。 c 大腿骨頭は骨化していない。 d 腰椎の左右椎弓は骨性癒合している。 e 軸椎体部と歯突起は骨性癒合している。
・生後28日以内が新生児。
a × 小泉門は3ヶ月までに閉鎖する。参考)大泉門閉鎖には生後 1 年半ないし 2 年かかる。
b × 上顎洞は 7 歳頃より発達する。
c ○ 骨化中心はおおよそ4 ヶ月で出現する。
d × 骨性癒合は3 歳から 14 歳で生じる。
e × 骨性癒合は3歳から7 歳で生じる。
65,
次の疾患と所見の組合せで誤っているのはどれか。1 つ選べ。 a 気胸 ――angel wing sign b 気縦隔 ――continuous diaphragm sign c 黄色ブドウ球菌肺炎 ――気瘤 d 新生児一過性多呼吸――胸水貯留 e 新生児呼吸窮迫症候群――reticulogranular pattern
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