2009年放射線科専門医試験問題&解答解説【56-60】診断
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56,
成人男性。気管支透亮像を伴うコンソリデーションが見られた。可能性の低いのはどれか。1 つ選べ。 a 細菌性肺炎 b 肺胞蛋白症 c 肺胞性肺水腫 d 癌性リンパ管症 e 細気管支肺胞上皮癌
56, d
・d 癌性リンパ管症 × 間質性陰影が主体である。腫瘍細胞がリンパ組織の存在する肺間質(広義の間質)にびまん性に浸潤し、気管支・血管束の不規則な肥厚、小葉間隔壁や胸膜の肥厚などの多彩な間質性陰影を示す。
57,
縦隔腫瘤について誤っているのはどれか。1 つ選べ。 a 浸潤性胸腺腫は胸膜播種をきたしやすい。 b 神経原性腫瘍では神経線維腫が最も多い。 c 胸腺癌は浸潤性胸腺腫より遠隔転移が多い。 d 突然の胸痛,肺浸潤影を示したときは奇形腫を疑う。 e 食道奇静脈陥凹は気管支原性囊胞の好発部位である。
57, b
・b × 神経鞘由来の腫瘍には神経鞘腫と神経線維腫があり、大部分は神経鞘腫である。
縦隔成熟奇形腫
・縦隔胚細胞性腫瘍で最多。
・大部分は前縦隔発生。
・合併症として肺や気管支内、胸腔内、心嚢腔内への穿破がある。発見したら手術適応。
・脂肪および石灰化の検出が重要。
・Fat-fluid levelの形成は確実な所見だが1割程度にしか見られない。
縦隔神経原性腫瘍
参考)気管支原性嚢胞(bronchogenic cyst)の画像診断
58,
立位胸部 X 線写真における左心不全のサインとして誤っているのはどれか。1 つ選べ。 a 心拡大 b 胸水貯留 c Kerley線の出現 d 肺門陰影の不明瞭化 e 下肺野血管陰影の増強
58, e
e 下肺野血管陰影の増強 × :肺うっ血により下肺野の肺血管は細くなり、拡張した上肺野の肺血管と対照をなす。
59,
急性大動脈解離の CT について正しいのはどれか。2 つ選べ。 a 単純 CT で除外診断できる。 b 必ずしも大動脈拡大を伴わない。 c 造影を行う場合単純 CT は省略して良い。 d 上行大動脈に解離が認められれば手術適応がある。 e 左鎖骨下動脈より遠位にエントリーがあれば Stanford B 型である。
59, b,d
・e × Stanford B 型はエントリーを無視して解離腔のみに注目した分類で。エントリーが下行大動脈にあっても、上行大動脈まで逆行性解離を生じた場合Stanford A型となる。
60,
左房拡大を来たしやすいのはどれか 。2 つ選べ。 a 僧帽弁狭窄 b 動脈管開存 c Ebstein奇形 d Fallot四徴症 e 部分肺静脈還流異常
60, a,b
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