2009年放射線科専門医試験問題&解答解説【51-55】診断
問題原本はこちらからご覧ください。
51,
病変が小葉中心性粒状陰影を示しにくいのはどれか。1 つ選べ。 a 石綿肺 b 肺血栓塞栓症 c 癌性リンパ管症 d サルコイドーシス e 肺 Langerhans 組織球症
・b:× 下葉に多く、胸膜側を底辺とした台形・楔状の consolidation(梗塞巣)もしばしばみられる。この特殊型として敗血症性塞栓症(septic emboli)があり、多発する壊死性・空洞化結節が特徴的。
・e:○
肺Langerhans組織球症の画像所見
・いびつな形の嚢胞
・比較的壁の厚い嚢胞
・小葉中心性や気管支中心性に分布する小結節
・上肺野優位分布
・小葉中心性肺気腫の合併
小様中心性病変
小葉中心性病変の鑑別
・びまん性汎細気管支炎(DPB)
・二次性結核(気道散布性)
・NTM(非定型(非結核性)抗酸菌症)
・マイコプラズマ
・気管支肺炎
・過敏性肺臓炎
・好酸球性肉芽腫症
・珪肺/炭坑夫肺
・溶接工肺
参考)敗血症性塞栓症(septic embolization:SE)の画像診断
52,
一側胸水で,腫瘍性胸膜病変を疑う CT 所見はどれか。1 つ選べ。 a 無気肺 b 肺線維症 c 被包化胸水 d 一様な胸膜肥厚 e 縦隔側胸膜の肥厚
・悪性胸膜中皮腫の初期像として、環状胸膜肥厚・縦隔側胸膜肥厚・胸膜不整像などがある。
胸部CTにおける胸膜中皮腫と転移性胸膜病変の鑑別
・環状(ring-like)胸膜肥厚
・1cm厚以上の胸膜肥厚
・縦隔側胸膜肥厚
は中皮腫により多く見られる。
53,
肺分画症の最も多い発生部位はどこか。1 つ選べ。 a 右 S6 b 右 S7 c 右 S10 d 左 S6 e 左 S10
・S10が95%。左>右。左が60%。なので最も多いのは左S10。
肺分画症
肺葉内分画症 | 肺葉外分画症 | |
内:外の頻度 | 3 | 1 |
左右差 | 左 | 左 |
最も多いのはどこか。 | 左S10 | – |
栄養動脈 | 大動脈あるいはその分枝 | 大動脈あるいはその分枝 |
還流静脈 | 肺静脈 | 奇静脈 |
独自の胸膜を持つ? | × | ○ |
合併感染 | ○ | × |
合併奇形 | × | ○ |
いつ発見される? | 半数は大人。 | 新生児発見が多い。 |
54,
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の画像所見として誤っているのはどれか。1 つ選べ。 a halo sign b 粘液栓 c 浸潤影 d 気管支壁の肥厚 e 多区域の小葉中心性粒状陰影
a halo sign × 侵襲性アスペルギルス症(invasive aspergillosis)の初期に特徴的な CT 所見。
アレルギー性アスペルギルス症の画像所見
・中枢性気管支拡張
・粘液栓
・気管支壁肥厚
・無気肺
・すりガラス影、浸潤影
・小葉中心性陰影
参考)肺アスペルギルス症(Pulmonary aspergillosis)の画像診断
55,
大葉性(肺胞性)肺炎の形態をとることが多いのはどれか。2 つ選べ。 a 緑膿菌 b 肺炎球菌 c 肺炎桿菌 d 黄色ブドウ球菌 e ニューモシスチス・イロベチィ
・c:肺炎桿菌=クレブシエラ ○ 肺炎球菌と同様に、大葉性(肺胞性)肺炎の形態をとることが多い。
肺胞性(大葉性)肺炎
・末梢肺胞領域に到達した病原体に対する生体の防御反応から、大量の滲出液が肺胞腔内に産生される。
・肺胞→小葉→亜区域→区域→葉とairspace cosolidation(周囲にGGOを伴う)が広がる。
・葉全体に広がるまでは、非区域性に進展。
・古典的には、肺炎球菌、クレブシエラ、レジオネラ。ただし、抗生物質の進歩により、この型の進展を示す肺炎を見る機会は減ってきた。
気管支肺炎となりやすい菌
・黄色ブドウ球菌
・大腸菌
・緑膿菌
・嫌気性菌
・インフルエンザ桿菌
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2009年の(51)ですが、石綿肺は小葉中心性粒状陰影を示す、との記載が胸部勘ドコロにないので、aは小葉中心性粒状陰影を示しにくいものとして考えれ、答えになるのではないでしょうか?
肺血栓塞栓症が小葉中心性分布という記載はあるでしょうか?