2009年放射線科専門医試験問題&解答解説【6-10】基礎
問題原本はこちらからご覧ください。
6.
放射線による人体影響のうち晩期合併症はどれか。2 つ選べ。 a 発癌 b 脱毛 c 皮膚炎 d 白内障 e 骨髄抑制
放射線による人体への影響
・急性障害=脱毛、不妊、皮膚炎、出血、白血球減少など
・晩発障害=白血病、がん、白内障
7,
放射線皮膚障害のうち一過性紅斑のしきい線量はどれか。1 つ選べ。 a 1 Gy b 2 Gy c 5 Gy d 10 Gy e 20 Gy
・生体を対象とする場合には、一般に被ばくした集団の 1~5%の個体に影響が現れる線量を「しきい線量」としている。
8,
職業被曝の線量限度として誤っているのはどれか。1 つ選べ。 a 実効線量として 5 年間で 50 mSv b 水晶体の等価線量として 150 mSv c 皮膚の等価線量として 300 mSv d 妊娠期間中の腹部表面で 2 mSv e 女性の場合 3 カ月に 5 mSv
a ×5年で100mSv(ただし1年で50mSvを超えていはいけない。) 重要。数字も覚えておく。
b 水晶体の等価線量として 150 mSv ○
c 皮膚の等価線量として 300 mSv ×→500mSv
d 妊娠期間中の腹部表面で 2 mSv ○
(胎児を公衆とみなし、公衆の被ばく線量限度1mSv/年を超えないように配慮した結果。1mSvを超えると胎児の異常が増加するわけではない。)
e 妊娠可能な女性の場合 3 カ月に 5 mSv ○
関連)放射線の基礎知識
9,
医療被ばくに含まれないのはどれか。1 つ選べ。 a 人間ドックで肺がんの CT 検診を受けた患者の被ばく b 乳幼児の X 線撮影に付き添った母親の被ばく c 放射線治療患者の治療計画用 CT による被ばく d 妊娠女性の腹部 X 線撮影による胎児の被ばく e 血管撮影時に患者の傍で介助した看護師の被ばく
e × 職業被曝
・医療被ばくとは「診断、治療などの医療行為に伴う患者の被ばく」のことを指す。
・患者本人の被ばくだけではなく、小児の X線検査に検査室内で立ち会う保護者などの介護者の被ばくも含まれる。
10,
IVR の被ばくについて正しいのはどれか。1 つ選べ。 a 皮膚線量は管球・皮膚間距離の二乗に比例する。 b 皮膚線量は管球側よりも受像側で高い。 c 体格の大きな患者は皮膚線量が高い。 d 一過性紅斑は被ばく後 3 週間以降に発生する。 e 皮膚潰瘍は被ばく後 3 週間以内に発生する。
a ×反比例する。
b ×射出側よりも入射側の皮膚線量の方が高い。
c ○体格が大きな患者に対して同等の画像を取得するためにはより多くの照射線量が必要であり、皮膚線量も高くなる。
d ×数時間から1日。
e ×6週間以上。
IVR皮膚の障害がおこるしきい線量と発現までの時間
・一過性初期紅斑:2Gy/数時間
・一過性脱毛:3Gy/3週間
・紅斑:6Gy/10日
・乾性落屑:14Gy/4週間
・湿性落屑:18Gy/4週間
・皮膚壊死:18Gy/10週以上
・皮膚潰瘍:20Gy/6週以上
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2009年(8)ですが、
皮膚の等価線量は500mSvと、レジデントセミナー2017年「放射線防護・安全管理」のスライド81枚目に記載があります。なので、選択肢Cは間違いではないでしょうか?
おっしゃる通りです。