2011年放射線科診断専門医試験問題&解答解説【6-10】
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6,
40 歳代の男性。軽度の頭痛を主訴に来院した。頭部 CT で異常が疑われ,MRI にて精査となった。頭部単純 CT と T2 強調像を示す。可能性が最も高いのはどれか。 a クモ膜囊胞 b 血管周囲腔 c 転移性腫瘍 d 陳旧性出血 e 慢性期ラクナ梗塞
参考)血管周囲腔(perivascular space)のMRI画像所見
7,
70 歳代の女性。頭痛を主訴に来院した。頭部 CT にて異常が指摘され精査となった。頭部 MRI を示す。この疾患について正しいのはどれか。1 つ選べ。 a 石灰化を伴いやすい。 b 髄腔内播種を生じやすい。 c 高信号は脂肪成分に由来する。 d 松果体病変を合併することが多い。 e 単純 CT で高吸収を示すことが多い。
コロイド嚢胞の画像診断
・CTでは内部高吸収値。
・MRIではT1WIで内部高信号、T2WIで低信号。Gdによる造影で辺縁が造影されることがある。
8,
40 歳代の男性。検診の胸部 X 線撮影で縦隔腫瘤が疑われ精査となった。胸椎 MRI を示す。可能性が高いのはどれか。2 つ選べ。 a 上衣腫 b 髄膜腫 c 神経鞘腫 d 神経線維腫 e 転移性腫瘍
・ダンベル型の形態を示す髄外で硬膜外腫瘍。
ダンベル型の病理組織別頻度
1位 神経鞘腫 7割
2位 神経線維腫 1割
3位 神経芽腫、神経節神経腫 1割
4位 髄膜腫 5%
5位 血管腫 2%
参考)脊椎(椎体、脊髄)のダンベル型(鉄亜鈴型腫瘍)の鑑別診断
9,
40 歳代の男性。対麻痺を主訴に来院した。脊髄 MRI を示す。可能性が高いのはどれか。1 つ選べ。 a 上衣腫 b 血管芽腫 c 神経鞘腫 d 星細胞系腫瘍 e 脊髄動静脈奇形
脊髄血管芽腫
・びまん性の脊髄腫大、腫瘤はT1WIで等~低信号。T2WIでは典型的にはflow voidを含む高信号を示す。周囲の浮腫も見られる。
・造影MRIでは強く均一に増強される。(大きくなると不均一になる)
・腫瘍の上下に嚢胞を伴うことが多い(75%) 内容液はタンパク質に富み、腫瘍からの浸出液と考えられている。
・約半数で脊髄背側に拡張蛇行した血管が見られる。
・胸髄(50%)、頸髄(40%)で見られる。多発性の場合はvon Hippel Lindau病を考慮。
10,
40 歳代の男性。記銘力低下,嘔気,嘔吐を主訴に来院した。頭部 MRI と MRA を示す。可能性が最も高いのはどれか。 a 硬膜動静脈瘻 b 横静脈洞血栓症 c 単純ヘルペス脳炎 d 両側中大脳動脈領域梗塞 e MELAS(mitochondrial myopathy, encephalopathy, lactic acidosis, and stroke-like episodes)
MELAS
・多くは15歳未満に脳卒中様症状やけいれんで発症。
・画像上は後頭葉や側頭葉優位に梗塞様の皮質に至る病変を認める。病変部位が血管支配に合致せず、急性期病変のADCが低下せず可逆性変化を呈しうる点が梗塞と異なる。
・急性期病変の血流亢進を反映してMRAでは病変側の血管が太く描出されたり、潅流画像での高血流を認める。
参考)MELAS症(ミトコンドリア脳筋症、乳酸アシドーシス、脳卒中様発作)
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