2012年放射線科診断専門医試験問題&解答解説【61-65】
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61,
50 歳代の男性。慢性膵炎と膵仮性囊胞で経過観察中に下血を認め,緊急血管造影が施行された。DSAを示す。 考えられるのはどれか。2 つ選べ。 a 真性動脈瘤が考えられる。 b 上腸間膜動脈造影は必須である。 c 胃十二指腸動脈に動脈瘤を認める。 d neck の狭い動脈瘤なので packing が望ましい。 e 病変部の動脈をコイル塞栓すると膵壊死をきたし易い。
・胃十二指腸動脈瘤(GDA)動脈瘤の症例。稀な動脈瘤。
・GDAの塞栓には、
・真性動脈瘤なら、packingであるが、
腹部動脈瘤の頻度
・脾動脈瘤 60%
・肝動脈瘤 20%
・上腸間膜動脈瘤 5%
・腹腔動脈瘤 5%
・胃および胃大網動脈瘤 5%
・空腸結腸動脈瘤 3%
・膵十二指腸動脈瘤 2%
・胃十二指腸動脈瘤 1%
動脈瘤治療法
・瘤径が20mm以上で治療適応。腎動脈瘤は15mm以上。ただし、膵十二指腸アーケード動脈瘤はサイズによらず治療適応。
・あとは壁在血栓や壁の石灰化などを考慮する。サイズが最も大事。
・真性動脈瘤の場合、動脈瘤頸部(neck)が動脈瘤の最大横径(dome)の1/2以下の場合はpacking。 1/2以上の場合はisolation。 ※isolationとは 動脈瘤遠位と近位をコイリングすること。
・仮性動脈瘤の場合、Isolationと必要に応じてNBCA(ヒストアクリル)。
62,
60 歳代の男性。労作時に胸部から上腹部に電撃痛を認め来院した。膵炎の既往がある。腹部造影 CTを示す。治療法として適切なのはどれか。1 つ選べ。 a CT ガイド下後腹膜ドレナージ b 蛋白分解酵素阻害剤動注 c 大動脈ステント留置術 d 膵管ステント留置術 e 動脈塞栓術
・単純CTで高吸収あり、早期動脈相でextravasationと思われる像あり。仮性動脈瘤の破裂と思われる。
63,
30 歳代の女性。突然の下腹部痛を主訴に来院した。最終月経は 1 週間前,hCG 正常。腹部単純 MRIを示す。可能性が高いのはどれか。1 つ選べ。 a 卵巣捻転 b 骨盤内膿瘍 c 卵巣黄体出血 d 子宮外妊娠破裂 e 卵巣内膜症性囊胞破裂
・左卵巣に二ボーあり。T1WIおよび脂肪抑制T1WIにて高信号あり、内膜症性嚢胞。血性腹水を認めており、破裂か。
・最終月経は1週間前だから、月経期から卵胞期。
64,
0 歳女児。腹部腫瘤を触れる。腹部 CT(単純と造影)を示す。 可能性が高いのはどれか。1 つ選べ。 a 神経鞘腫 b 未熟奇形腫 c 後腹膜血管腫 d 悪性線維性組織球腫 e 後腹膜粘液性囊胞性腫瘍
・脂肪および石灰化あり。
未熟奇形腫の画像診断
・充実部と嚢胞が混在する。
・細かい、ちりばめられたような脂肪と、同部に重なる増強される充実部。
・細かい石灰化も見られることがある。
65,
60 歳代の女性。記憶障害を主訴に来院した。脳血流 SPECT を示す。 可能性が高いのはどれか。1 つ選べ。 a 脳梗塞 b 正常圧水頭症 c 慢性硬膜下血腫 d アルツハイマー病 e 前頭側頭型認知症
・65歳以下の早期アルツハイマー病の場合、代謝・血流低下は後部帯状回・楔前部、頭頂側頭連合野から始まり、病期の進行に伴い前頭連合野(前頭葉の運動野より前の部分)に進展する。
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