2012年放射線科診断専門医試験問題&解答解説【31-35】
問題原本はこちらからご覧下さい。
31,
20 歳代の女性。神経線維腫症 I 型にて経過観察されている。胸部造影 CT を示す。この CT 像にて描出されている神経線維腫の発生神経として誤っているのはどれか。1 つ選べ。 a 横隔神経 b 反回神経 c 迷走神経 d 肋間神経 e 交感神経幹
・反回神経は、右が鎖骨下動脈、左が大動脈の下面を反回したのち同側の気管食道溝に沿って上行する。
・今は低吸収腫瘤は右肺動脈の背側にあり、この位置で反回神経は走行しない。
32,
40 歳代の男性。労作時の息切れを主訴に来院した。胸部 CT 肺野条件を示す。 可能性が高いのはどれか。1 つ選べ。 a 過敏性肺炎 b 肺胞蛋白症 c 特発性肺線維症 d サルコイドーシス e Langerhans 細胞組織球症
・両側肺野にcrazing paving apperanceを呈するすりガラス陰影の広がりあり。
参考)肺胞蛋白症の画像診断
crazy-paving patternが認められる疾患
▶感染症 ・細菌性肺炎 ・マイコプラズマ肺炎 ・ウイルス肺炎 ・SARS(severe acute respiratory syndrome) ・ニューモシスチス肺炎 ▶間質性肺炎 ・UIP,NSIP,AIP,COP ・薬剤性肺炎 ・過敏性肺臓炎 ・放射性肺臓炎 ・サルコイドーシス ・急性呼吸促迫症候群 ▶肺血管性疾患 ・肺水腫 ・肺出血 ▶腫瘍 ・細気管支肺胞上皮癌 ▶その他 ・肺胞蛋白症 ・リポイド肺炎 ・急性好酸球性肺炎 ・慢性好酸球性肺炎 ・溺水
33,
30 歳代の男性。呼吸困難感と高熱を主訴に来院した。既往歴はなく,3 ヶ月前の胸部 X 線写真は正常であった。来院時の胸部 X 線写真と胸部 CT 肺野条件を示す。 考えられるのはどれか。1 つ選べ。 a 間質性肺水腫 b 急性好酸球性肺炎 c 多中心性 Castleman 病 d ニューモシスティス肺炎 e アレルギー性気管支肺真菌症
・HIVが隠れていると思われる。
34,
30 歳代の女性。胸痛と発熱を主訴に来院した。胸部単純 CT および造影 CT(早期相と遅延相)を示す。考えられるのはどれか。1 つ選べ。 a 高安動脈炎 b Marfan 症候群 c 特発性線維性縦隔炎 d 再発性多発性軟骨炎 e 血栓閉鎖型大動脈解離
・上行大動脈が単純CTで高吸収を示しており、ダイナミック造影で遅延像で染まりあり。
高安動脈炎
・どの血管がやられるかで症状はさまざま。
・総頸動脈→頸動脈反射亢進、視力障害 ・鎖骨下動脈→上肢血圧の左右差、上肢下肢血圧拡大、上肢のくびれ、冷感 ・上行大動脈→大動脈弁閉鎖不全症、心不全
・大動脈壁が肥厚し、単純CTで比較的高濃度で、造影CTでよく染まる。
・肺動脈壁にも認められる。上行大動脈には狭窄や閉塞は見られず、むしろ拡張することが多い。
・ただし、瘢痕期では、線維化して、血管の閉塞が主体となる。
35,
60 歳代の男性。検診の心エコー図検査にて異常を指摘され精査を目的に来院した。自覚症状はないが,高血圧,脂質代謝異常および糖尿病の既往がある。心臓造影 CT を示す。考えられるのはどれか。1 つ選べ。 a 粘液腫 b リンパ腫 c 血管肉腫 d Valsalva 洞動脈瘤 e 乳頭状線維弾性腫
・原発性心臓腫瘍は稀。剖検例の0.2%以下。良性が7割。
・原発性良性心臓腫瘍は粘液腫が最多で30%、続いて脂肪腫、乳頭状線維弾性腫と続く。
・悪性では、血管肉腫、横紋筋肉腫、線維肉腫と続く。
・この問題、粘液腫でいいと思われるが、乳頭状線維弾性腫ではないのかと言われると・・・。
横紋筋腫
・例外なく小児の腫瘍。心筋に発生し、結節性硬化症と関連することが多い。
・ほとんどは自然退縮し、脂肪変性を来す。
血管肉腫
・圧倒的に右房壁に原発するものが多く、腫瘤を形成するものや、心筋に沿って浸潤するもの。心膜内播種内部は壊死や出血を反映して、造影CTで低吸収を呈する。
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