多形腺腫

  • 耳下腺腫瘍の7割程度を占める。残りは、ワルチン腫瘍かその他の腫瘍。
  • 80%以上が耳下腺に発生する。耳下腺浅葉に多い。
  • 女性に多い。男女比1:2。
  • 30-60歳に多い。
  • 無痛性の腫瘤で、緩徐に増大する。
  • 良性腫瘍であるが、臨床的には悪性と覚える。不注意に手術すると細胞播種による再発を来す。
  • 悪性転化、多形腺腫内癌を来す事がある。

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多形腺腫のMRI画像所見の特徴は?

  • T1強調像で周囲脂肪組織より低信号。
  • T2強調像は低信号の被膜を持ち高信号。(多彩な腫瘍構造→部位によって増殖パターン異なるから)
  • 楕円状・分葉状(八つ頭状)の形態を呈する。
  • 内部不均一(粘液腫増生と多彩な組織構造)
  • 造影後は強く濃染し被膜が明瞭。
  • dynamic studyでは漸増型の増強効果を示し、造影後期相でより強い造影効果を認める。ただし、粘液腫様成分が少なく細胞成分が多い場合は、早期濃染(+遷延性造影効果)を示すことがある。
  • CTでも造影後の遅延相で増強効果が強くなり,鑑別に有用である。
  • T2強調像高信号が多いと報告されているが、3割は等〜低信号。高信号は粘液腫様・軟骨間質を反映し、等〜低信号:細胞成分、強い線維化を反映するとされる。

多形腺腫-深葉にできる場合-

  • 耳下腺深葉に発生する多形腺腫は茎突下顎トンネルを通り、容易に旁咽頭間隙(狭義の旁咽頭間隙あるいは前茎突区旁咽頭間隙)に進展する。
  • 耳下腺組織との連続性が耳下腺由来である直接的な所見となるが、旁咽頭間隙の脂肪組織を内側に圧排すること、茎突下顎トンネルの開大などが間接的所見として挙げられる。

再発多形腺腫

  • 腫瘤核出術では辺縁に突出した部分が残存する可能性がある。
  • 再発率は手術方法によって大きく異なる。腫瘤核出術>>耳下腺部分切除2-5%>>耳下腺全切除(0.4%以下)。ただし全切除すると機能不全になるので、部分切除が推奨されている。

再発多形腺腫の画像所見

  • 集簇する多発結節影
  • 円形で境界明瞭
  • T1強調像低信号、T2強調像高信号

組織学的所見は初発のものと同じ。

多形腺腫内癌

  • T2強調像にて高信号の腫瘤の一部が低信号を示す。
  • T2強調像低信号の被膜が断裂している。
  • 最終的に15%が悪性となる。

関連記事)耳下腺腫瘍の代表!ワルチン腫瘍の画像診断! 

参考)
頭頸部画像診断に必要不可欠な臨床・画像解剖 関西医大 池田耕士先生

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