慢性膵炎(chronic pancreatitis)

従来の臨床診断基準にはさまざまな問題点がありました。

  • 学会により異なる診断基準であった。
  • 進行した慢性膵炎の基準であった。
  • 病因が考慮されていなかった。
  • ほとんど施行されていないセクレチン試験や便中キモトリプシン活性が診断基準に入っていた。

そこで、2009年に新しい基準が出されました。

慢性膵炎臨床診断基準2009の特徴

  • 厚生労働省調査研究班、日本膵臓学会、日本消化器病学会の合同で改訂。
  • 慢性膵炎を病態の異なるアルコール性非アルコール性(特発性、遺伝性、家族性など) に分類した。
  • 自己免疫性膵炎閉塞性膵炎可逆性の病態をとりうるため、”膵の慢性炎症” として慢性膵炎と別個に扱った。
  • 臨床症候を診断基準に取り入れた。
  • 早期慢性膵炎の疾患概会を診断基準に取り入れた。

慢性膵炎臨床診断基準2009

慢性膵炎の診断項目

①特徴的な画像所見
②特徴的な組織所見
③反復する上腹部痛発作
④血中または尿中膵酵素値の異常
⑤膵外分泌障害
⑥1日80g以上(純エタノール換算) の持続する飲酒歴

慢性膵炎確診

a , bのいずれかが認められる場合。

a、①または②の確診所見
b、①または②の準確診所見と, ③④⑤のうち2項目以上

慢性膵炎準確診

①または②の準確診所見が認められる

早期慢性膵炎

③~⑥のいずれか2項目以上と早期慢性膵炎の画像所見が認められる。

①特徴的な画像所見とは?

▶確診所見: 以下のいずれかが認められる。

  • 膵管内の結石(1つでも証明できればOK)
  • 膵全体に分布する複数ないしび漫性の石灰化
  • ERCP像で、膵全体に見られる主膵管の不整な拡張と不均等に分布する不均一かつ不規則な分枝膵管の拡張
  • ERCP像で、主膵管が膵石、蛋白栓などで閉塞または狭窄している時は、乳頭側の主膵管と分枝膵管の不規則な拡張 
動画で学ぶ慢性膵炎確診症例①(70歳代男性)

動画で学ぶ慢性膵炎確診症例②(80歳代男性)

▶準確診所見: 以下のいずれかが認められる

  • MRCPにおいて、主膵管の不整な拡張と共に膵全体に不均一に分布する分枝膵管の不規則な拡張
  • ERCP像において、膵全体に分布するび漫性の分枝膵管の不規則な拡張、主膵管のみの不整な拡張、蛋白栓のいずれか。
  • CTにおいて、主膵管の不規則なび漫性の拡張と共に膵辺縁が不規則な凹凸を示す膵の明らかな変形。
  • US(EUS)において、膵内の結石または蛋白栓と思われる高エコーまたは膵管の不整な拡張を伴う辺縁が不規則な凹凸を示す膵の明らかな変形。

慢性膵炎と膵癌

  • 慢性膵炎では健常人と比較して膵癌の発生頻度が高い(1-5%、日本では一般人口の10-20倍) ので、massの有無に関しても注意して読影する必要がある。

参考:慢性膵炎臨床診断基準2009



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