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慢性副鼻腔炎(CRS:chronic rhinosinusitis)

・アレルギー性と細菌性に大きく分かれる。感染、局所解剖、Ⅰ型アレルギー、生活環境、遺伝などが素因となり得る。

・3ヶ月以上続く感染。粘膜肥厚は慢性副鼻腔炎に特異的な所見ではなく、急性の粘膜浮腫と区別ができない。

・中でも局所解剖の変異による副鼻腔炎は画像で確認できる。特に、中鼻道自然口ルート(OMU:ostiomeatal unit)の形態異常や病変があると、それにより換気や排泄機能が障害され、副鼻腔炎の原因となる。

・上顎洞では自然口から中鼻道へ、前頭洞は中鼻道へ、篩骨洞は前篩骨洞が中鼻道へ、後篩骨洞では上鼻道の蝶篩陥凹へ、蝶形骨洞は上鼻道の蝶篩陥凹へそれぞれ排泄をする。

そもそもOMUとは?

・上顎洞、前部篩骨蜂巣、前頭洞が中鼻道へ排泄する経路の複合体のことであり機能単位を表す抽象的呼称である。上顎洞の排出口である篩骨漏斗から中鼻道、前篩骨洞、それに前頭洞に至る前頭陥凹を含めたあたりを指す。構成する解剖物は、鉤状突起、上顎洞自然口、上顎漏斗、半月裂孔、中鼻甲介、中鼻道、篩骨胞などからなる。

・OMUの評価にはCTの冠状断像が必須である。

・OMUの閉塞の原因となる解剖学的異常は、含気鉤状突起、中鼻甲介の含気、眼窩下 壁内側下面に進展した篩骨蜂巣、鼻中隔の彎曲・ 骨棘形成がある。

OMU1

・上顎漏斗は下図のように、上部で半月裂孔から、中鼻道に連続しており、下部で上顎洞自然口を経て上顎道と連続している。※上顎洞からの排泄は自然口から中鼻道への方向へ行なわれる。

OMU2

・慢性副鼻腔炎の約半数でOMU(ostiomeatal unit)の閉塞あり。OMUの閉塞によって分泌物が貯留し、炎症が悪化、粘膜が肥厚し、排泄に悪循環を生じた結果、副鼻腔炎が生じる。

・症状としては、前頭洞と前篩骨洞病変では前頭部痛が、後部篩骨骨洞と蝶形骨洞病変では頭頂部・後頭部痛を生じることが一般的。ただし、単洞性のことは少ないため、急性副鼻腔炎と同様にしばしば頬部痛や眼痛を伴う。

・ポリープ合併例ではより高い再発率で再発する。

鼻腔副鼻腔の双方に軟部構造を示し、両側性に発生する。但し細菌性では片側性が多い。副鼻腔炎が片側性や片側に優位な場合、OMU領域の炎症後閉塞・狭窄、腫瘍性病変、歯原性上顎洞炎、異物による炎症も考慮。

粘膜肥厚、貯留嚢胞、炎症性ポリープ(鼻茸) を伴うことが多い。

・冠状断像で、鼻ポリープ(nasal polyp)を伴うか伴わないかをチェックする。伴う場合は治療に点鼻ステロイドを使用し、治療方針が異なるため評価が重要。鼻ポリープがあれば治療抵抗性になったり、術後再発することがある。
※鼻茸のある慢性鼻副鼻腔炎に2週間の経口ステロイドが有効との報告あり。

・感染性慢性副鼻腔炎では、骨壁肥厚、硬化像を伴うことがある。特に蝶形骨洞で骨肥厚が起きやすい。

・洞のvolumeは縮小に伴い眼窩底下方偏位、鼻腔外側壁の外側偏位をきたす。

遷延する場合、内反性乳頭腫や真菌性、異物などの可能性を考慮する。

・合併症として骨髄炎、時に骨片を伴うことがある。

両側著明な粘膜肥厚+内部に高吸収域を認める場合は好酸球性副鼻腔炎を考慮する。

歯原性副鼻腔炎(odontogenic sinusitis)では副鼻腔炎の治療(マクロライド系抗生物質投与→ESS)に加えて、原因歯の治療が必要となるので、coronal像で歯を見る癖を。
※上顎前歯の歯根は鼻腔底に、臼歯の歯根は上顎洞底に近く、歯根に生じた炎症は容易に上方の鼻腔や上顎洞へと波及する。
※大臼歯、特に第2大臼歯歯根は上顎洞底との距離が最も短く、同歯が原因の歯性上顎洞炎を生じやすい。

・治療はOMUが高度に閉塞されていなければ、12週程度のマクロライド少量投与が有効。

・治療抵抗例や、OMUに高度な鼻茸がある場合は、手術適応。

・洞粘膜を温存し自然孔や中鼻道を開大することに重点を置いた機能的副鼻腔内視鏡手術(FESS:functional endoscopic sinus surgery)の術前評価にCTが必須である。

画像所見

・CTで、鼻腔・副鼻腔のびまん性の軟部濃度肥厚(粘膜肥厚)。

アレルギー性の場合、両側で多発性のポリープを伴うことが多い。細菌性ではポリープを伴わないか伴っても単発性で片側性

・MRIでも同様。造影にて、粘膜の造影効果を認める場合は活動性炎症が示唆される。

・副鼻腔内に高い濃度を示す領域を伴うことがあり、洞内に貯留した desiccated secretionや高蛋白成分をみているとされる。

症例① 50歳代女性 OMU閉塞あり。

CRS1

症例② 30歳代男性 OMU閉塞あり。

CRS2

症例③ 50歳代男性 OMUは開存している。

CRS3

副鼻腔炎CTでのチェック項目

・鼻中隔変異・骨棘の有無。鼻甲介との癒着の有無
・鼻甲介含気甲介の有無、鼻堤蜂巣、粘膜肥厚の程度
・OMU 漏斗の通気性、Haller cellの有無
・閉塞性、偏側性副鼻腔炎の所見の有無・程度、病型の類推
・蝶篩陥凹領域:閉塞や狭窄の有無。
・各副鼻腔軟部陰影の有無、骨壁の状態。
・急性副鼻腔炎を示唆する液面形成の有無。
・手術に支障を来すような正常変異の有無。

 nasal cycle

・中鼻甲介・下鼻甲介の粘膜は、片側が肥厚・もう一方が収縮する周期を30分-7時間程度で繰り返している。CTでは、厚みに左右差を認めることがあるが、正常所見なので注意。nasal cycleでは粘膜が肥厚しても鼻腔を閉塞することがない点で、急性鼻炎と鑑別ができる。

篩骨胞

・半月裂孔の上縁を形成し、漏斗の一部を形成する前部篩骨蜂巣のこと。単一の胞や複数の小さな胞からなる。

蝶篩陥凹(sphenoethmoidal recess)

・後篩骨蜂巣と蝶形骨洞の間の間隙のこと。下方にある上鼻道に直接開口する。画像では同定できない。

Haller胞

・眼窩下壁の骨内部に存在する含気胞のこと。上顎漏斗を狭窄させることがある。

含気甲介胞

・中鼻甲介内に形成された含気胞のこと。OMUの排泄経路を障害することがある。

CRS4

鼻堤蜂巣

・前部篩骨蜂巣の最前部のこと。

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