甲状腺癌(thyroid cancer)

  • もっとも頻度が高いのは乳頭癌(papillary carcinoma) 55〜80%。
  • ついで濾胞癌(follicular carcinoma)、未分化癌(undifferentiated carcinoma) それぞれ5〜15%。
  • 髄様癌(medullary carcinoma) 5%であり、MENで認められることが多い。
  • 最も予後が良い甲状腺癌は乳頭癌。局所リンパ節転移があっても予後を左右しない。
  • 一方予後が不良なのは、未分化癌。
  • 高齢者の増加により、甲状腺癌患者も増大している。
  • 濾胞癌が転移しやすいのは肺。
  • 骨転移では、骨融解性の転移の形態を示す。(気泡状)
  • 肺転移では、多発の結節〜粒状影を呈することが多い。
  • 甲状腺癌の転移は、血流に富むため、胃癌やメラノーマと同じように出血しやすい傾向にある。特に脳転移で認められる。
  • 治療は、甲状腺亜全摘および術後放射性ヨード内服療法。その後定期的に核医学検査にてフォローする。
  • 核医学検査の際には、甲状腺ホルモンの補充を数週間中止することにより、感受性を上げる。その後131Iを内服し→2-3日後に全身スキャン。
  • その際に異常集積があれば、治療するための131Iを追加内服し残存病変を破壊。異常集積がなければ甲状腺ホルモン補充再開する。
  • 131I内照射療法の対象は、分化型甲状腺癌である乳頭癌、濾胞癌。他の癌には取り込みがない。

甲状腺癌の画像所見

  • 局所の評価はエコーが第一選択。乳頭癌の多くは充実性で低信号を示すことが多く、辺縁は浸潤性で不整なことが多い。一部で石灰化を伴う。
  • しかし、辺縁整であっても悪性は否定できず、また良性疾患でも45%は辺縁不整である。
  • CT、MRは甲状腺腫瘍の質的診断は無理。石灰化や嚢胞変性、出血は鑑別点とはならない。そのため、これらの役割は周囲器官への浸潤、リンパ節転移の診断が主となる。
症例 40歳代男性 甲状腺乳頭癌

papillary

甲状腺左葉上極に境界不明瞭な低吸収域を認めています。

石灰化ははっきりしません。

生検にて甲状腺乳頭癌と診断されました。

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