熱傷(いわゆるやけど)をした場合、その深さにより見た目や症状が異なり、また治療法が異なります。

そこで今回は熱傷の深さの見方と治療法についてまとめました。

熱傷の深度

熱傷の深度は水疱の有無、痛み、知覚で以下のように分類されます。

熱傷の深さ 主症状 痛み 瘢痕形成
古い分類 新しい分類
Ⅰ度 表皮熱傷 発赤 + 発赤と熱感とヒリヒリした痛み。

普通1~2週間以内に治癒。一時的な色素沈着を残すことも。

Ⅱ度 真皮浅層熱傷 発赤・水疱 + 痛み・熱感が強い。多くは3週間で治癒。色素沈着や脱水をきたすことが多い。
真皮深層熱傷 潰瘍 +~

±

発赤の一部が白っぽくみえる。痛みや知覚はむしろ鈍麻する。

3週間から1ヶ月で治癒。

Ⅲ度 皮下熱傷 潰瘍・壊死 ±

表面は白っぽく乾燥。知覚消失。黒褐色の焼痂で覆われていることもある。著しい瘢痕を形成。

熱傷の治療5ステップ

①冷水で冷やす。

広範囲や小児では低体温に注意が必要です。冷却する時間は最低10分、最大20分程度です。

②水道水と石鹸で洗浄

水道水と石鹸で洗浄します。その際に小さな水疱はそのままにします。大きな水疱・関節にかかる水疱は穿刺して水疱膜は除去。消毒はしません。

③創面を軟膏でカバーする。

Ⅰ度の場合
  • 面積が小さいなら、ハイドロコロイド(デュオアクティブ®、カラヤヘッシブ®)を貼付して④は省略。
  • インテバンクリーム®(インドメタシン)or白色ワセリン®
    炎症が強く痛みが強いなら油脂性軟膏(アンダーム®軟膏、リンデロン®V軟膏)を塗る

※当日はⅠ度であっても翌日見ると水疱形成していることがあるので、入浴には注意が必要です。

Ⅱ、Ⅲ度の場合

白色ワセリン®orアズノール®軟膏or抗菌薬入り軟膏 (ゲンタシン®軟膏、アクロマイシン®軟膏、テラジアパスタ®、ゲーベン®クリーム)

※抗菌薬は感染徴候を認める場合のみ使います。(感染する菌:S.Aureus、P.Aeruginosa、S.Pyogenes)

※抗菌薬入りの軟膏(リンデロンVG軟膏®やゲンタシン軟膏®)を安易に用いると、熱傷部の上皮化を遅らせてしまう。が、これらをfirst choiceとしている書籍もあります。

※ソフラチュール(コットン+無水ラノリン+白色ワセリン+硫酸フラジオマイシン)を使ってもよいのですが、木綿が肉芽に食い込み密着するため暴力的に剥がすことがあり得るので、使うなら、上皮化が進行して自然にとれるまで放置した方が良いです。

④軟膏塗布後は被覆する。創面を乾燥させない。

※接着剤つきフィルム剤を張り付けたガーゼを用いるのが望ましい。

ポリウレタンフォーム(ハイドロサイト®)、ポリウレタンフィルム(オプサイト®、テガダーム®)など

⑤疼痛コントロール

  • NSAIDs
  • アセトアミノフェン
  • 必要ならば麻薬性鎮痛薬(ペンタジン®)も考慮。

入院・転送を考慮するのはどんな時?

  • Ⅲ度熱傷≧5%BSA(体表面積)
  • Ⅱ度熱傷≧10%BSA
  • 顔面、手、足、会陰部、大関節にかかるⅡ~Ⅲ度熱傷
  • 体幹、四肢の全周性の熱傷
  • 気道熱傷、電撃症、化学熱傷、多発外傷、基礎疾患を伴う場合

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