転移性肺腫瘍の画像診断、画像所見(非典型例、特殊な形態)

非典型的な肺転移肺に結節を認めたとき、空洞を伴っていたり、石灰化を伴っていたり、肺炎様だとついつい転移ではないと思ってしまいがちです。

このような形態の転移もあるということを頭にいれて、またある程度パターンは限られていますので、原発巣の推定にも役立ちます。非典型的な肺転移

非典型的な転移性肺腫瘍

  • 腫瘍塞栓(乳癌、胃癌、肺癌、肝癌など)
  • 石灰化(骨肉腫、軟骨肉腫など)
  • 空洞(頭頚部扁平上皮癌など)、嚢胞(血管肉腫、腺癌など)
  • halo sign(血管肉腫、絨毛癌、骨肉腫、悪性黒色腫など)
  • 浸潤影・すりガラス影(膵癌、乳癌、卵巣癌など)
  • 気管支内転移(腎癌、乳癌、大腸癌、悪性黒色腫など)
  • びまん性微小結節転移(腎癌、甲状腺髄様癌、肺癌など)
  • 良性腫瘍の転移性肺腫瘍(子宮筋腫、多形腺腫など)
  • embolic carcinomatosis(肝細胞癌、胃癌など)

石灰化を有する肺転移

  • 石灰化を伴うことは1%以下。
  • 原発巣としては骨肉腫、軟骨肉腫、滑膜肉腫の頻度で高い。他に、乳癌、精巣腫瘍、粘液産生性の悪性腫瘍(大腸癌、胃癌、卵巣癌)。

※頻度は少ないが原発性肺癌に石灰化を伴うことがある(6%)。5cm以上の大きな肺癌に多く、辺縁に粒状に分布することが多い。

症例 17 歳の男子。胸部 X 線写真と 2 カ月後の胸部 CT。

Osteosarcoma2011年放射線科診断専門医試験問題34より引用

2ヶ月で石灰化結節多発出現している。骨肉腫のリンパ節転移、肺転移を疑う所見。


症例 骨肉腫術後患者。

an osteosarcomaan osteogenic sarcoma2005年放射線科診断専門医試験問題71より引用。

左肺門部に石灰化あり。同部位へ、骨シンチにて集積亢進を認める。骨肉腫の転移を疑う所見。陳旧性結核の場合、一般的に骨シンチにて集積を示さない。

空洞を有する肺転移

  • 空洞形成は5%程度。
  • 機序として、腫瘍内壊死やチェックバルブ機構などが考えられている。
  • 組織型としては、扁平上皮癌が最多(70%)であるが、肉腫や腺癌でも見られる。
  • 原発として扁平上皮癌(頭頚部など)、肉腫、大腸癌、膵癌、肺癌、膀胱癌、悪性黒色腫、移行上皮癌が挙げられる。
  • 骨肉腫や血管肉腫の肺転移に気胸を合併することがある。
症例 50歳代男性 直腸癌術後

lung nodule with cavity CT findings

両側肺野に多数の空洞を有する結節影を認めています。

空洞を有する多発肺転移を疑う所見です。

halo signを伴う肺転移

  • 転移性結節周囲にすりガラス濃度(halo)を伴う場合がある。このすりガラスは出血を見ている場合が多く、血管に富む腫瘍の肺転移で見られる所見である。
  • 血管肉腫、絨毛癌、腎癌、骨肉腫、悪性黒色腫、甲状腺癌など。

置換性発育(lepidic:鱗状)を伴う肺転移

  • =浸潤影、すりガラス影を呈する肺転移=肺炎様転移(lepidic mestastasis)
  • 細気管支肺胞上皮癌(BAC)と同様に肺胞壁に沿った進展形式を取る。
  • CTでは、浸潤影、すりガラス影を認める。一見すると肺炎の様に見えるが、臨床症状や炎症反応に乏しく、抗生剤に反応せず、進行することが多い。腺癌の粘液産生により濃度が軟部陰影より低くなり、水濃度に近くなることがある。
  • 膵癌、消化器癌(大腸癌、小腸癌)、乳癌、卵巣癌に認められる。

気管支内転移(endobronchial metasitasis)

  • 気管支壁に転移、浸潤を示す転移性肺腫瘍。
  • 血痰、無気肺を来すことが多い。
  • 腎癌、乳癌、大腸癌、悪性黒色腫、卵巣癌、甲状腺癌、子宮癌(子宮平滑筋肉腫)などが気管支内転移を起こす。
  • 気管支内腔に突出したポリープ状の軟部組織濃度の腫瘤が認められ、内腔は狭小化する、閉塞すると無気肺を来す。粘液産生性ならば粘液栓(mucoid impaction)を形成する。
症例 80歳代男性 腎癌術後

endobronchial metasitasis CT findings

多発肺転移あり。

右側の気管支内に充実部分あり、末梢はmucoid impactionを形成している。

気管支内転移が疑われる。

びまん性微小結節転移

  • 腎癌、甲状腺髄様癌、肺癌、悪性黒色腫、乳癌、骨肉腫、絨毛癌、前立腺癌に認められる。
  • 粟粒結核と比較すると結節の大きさがやや不揃いであるものの、画像のみで鑑別困難な場合もある。

良性腫瘍の肺転移

  • 原発巣としては、子宮筋腫、侵入奇胎、骨巨細胞腫、軟骨芽腫、髄膜腫、多形腺腫。
  • 画像上は境界明瞭な多発結節を呈する場合が多い。
  • 子宮筋腫や骨腫瘍の手術の既往や、時間経過とともに肺転移巣がほとんど進行しないか、進行が緩徐である点が鑑別の手がかりとなる。

embolic carcinomatosis

  • 肺動脈内を塞栓状に腫瘍細胞が閉塞する。
  • 顕微鏡的微小肺動脈腫瘍塞栓(pulmonary tumor thrombotic micrangiopathy:PTTM)とは異なる。
  • 肝細胞癌、胃癌など。
  • 咳嗽や比較的急速な呼吸困難などの症状が強いことが特徴。
  • 肺動脈の連珠状の拡張、造影CTによる血管内の欠損像などの所見を呈する。


スポンサーリンク



関連記事はこちら