内頚動脈解離(internal carotid artery dissection)とは?

  • 遠位内頚動脈で見られることが多い。
  • 原因は特発性が最多。他、外傷や血管炎が挙げられる。
  • 危険因子は、線維筋性異形成、Marfan症候群、Ehlers-Danlos症候群、常染色体優性多発嚢胞腎などがある。
  • 家族性内頚動脈解離もあり。
  • 約20%で両側発症、あるいは椎骨動脈にも発症する。
  • 脳梗塞で発症することが多く、特に中大脳動脈などへの塞栓症の原因となる。
  • ただし、頭痛、頚部痛、顔面痛などの痛みが先行して、数日以内に虚血の症状が現れることもある。
  • 痛みの症状は初発後数時間から3-4週間持続。
  • 同側のHorner症候群を伴うことが多い。
  • 比較的若年者に多い。70%が35-50歳。

内頚動脈解離の画像所見は?

  • 造影CTで大動脈解離のように2腔構造を認める。
  • MRIでflow voidの消失、不明瞭化。遅い血流による高信号。偏心性に狭小化した残存内腔を認める。
  • 血管造影では、通常頚動脈球部は保たれ、解離は頭蓋底まで達する。
症例 40歳代男性 右側頭部痛、ろれつ困難。

internal carotid artery dissection MRI findings1

右の中大脳動脈領域の前方部分に急性期以降の脳梗塞所見。internal carotid artery dissection MRI findings2

MRAの元画像では、右内頚動脈はC5で偏心性に狭小化あり。解離を疑う所見です。

またMRAのMIP像では、解離に伴い右内頚動脈から中大脳動脈M1領域の描出が不良です。

右内頚動脈解離に伴う脳梗塞と診断されました。

dissection of internal cerebral artery dissection

血管造影にて、MRIで認めた部位に一致して解離所見あり。

参考文献)

臨床画像 vol.26,No.8,2010 P907
脳卒中診療のコツと落とし穴 P66
画像診断ポケットガイド 脳Top100診断 P125-126

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