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急性肝炎(hepatitis)とは?

・定義:潜伏期を経た後、一過性の症状が起こり、6ヶ月以内に治まる肝炎

・肝細胞内で増殖する肝炎ウイルスにより、急性炎症性病変を起こす病態。

A型肝炎ウイルス(40-50%)>B型肝炎ウイルス(20-30%)>C型肝炎ウイルス(15%)が原因となる。劇症化はB型に多い。

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・散発性急性肝炎と輸血後急性肝炎に分けられる。

・散発性ではA型肝炎ウイルスが多い。

・症状はインフルエンザ様症状(全身倦怠感、発熱、筋肉痛、関節痛、不定愁訴)から始まり、黄疸、皮膚掻痒感、肝腫大が見られるようになる。

・診断のポイントは、トランスアミラーゼの上昇、ウイルスマーカー、肝生検。

・肝生検:肝炎ウイルスマーカーが陰性で原因が特定できないときなどに施行される。

▶︎急性肝炎の病理

  1. 肝細胞壊死、spotty or focal necrosis
  2. 肝細胞索の乱れ
  3. 肝細胞および核の大小不同
  4. 好酸体(Councilman body)の出現
  5. 星細胞の増生
  6. Kupffer細胞の動員
  7. 門脈域の浮腫状拡大、細胞浸潤、胆管増生など

※このうち1,7が画像に反映される。

・治療は保存的治療が中心。入院が原則。

・1%で劇症化する。C型では6-7割で慢性化する。

急性肝炎の画像所見

・これがあれば急性肝炎と診断できる画像所見はない。いずれも非特異的な所見であるため、所見の組み合わせや臨床情報を参考にすることが重要。

  • Periportal edema →CTでは門脈周囲低吸収域:periportal collar。 MRIではT1WIで低信号、T2WIで高信号:periportal abnormal intensity:PAI
  • 肝腫大
  • 単純CTで低吸収化
  • 早期動脈相で異常濃染(全体にモヤモヤ)=early patchy enhancement
  • 肝動脈の拡張
  • 腹水
  • 胆嚢壁の肥厚
  • 脾腫
  • 肝周囲のリンパ節腫大

参考)グリソン鞘の異常と画像

症例 60歳代男性 右心不全に伴うperiportal collar

periportalcollar

症例 30歳代男性 急性肝炎

periportal abnormal intensityperiportal abnormal intensity1

門脈両側に高信号を認めており、periportal abnormal intensity:PAIの所見。

症例 40 歳代の女性。上腹部痛。肝機能障害あり。

acute hepatitis2014年放射線科診断専門医試験問題44より引用。

動脈相にて肝にまだらなびまん性の造影効果あり。肝機能障害を伴っており、急性肝炎を疑う所見。

早期動脈相で肝実質異常濃染(モヤモヤ)を見たときに考えること。

早期相での肝実質のモヤモヤをみたら以下のこと考えるようにしましょう。

早期相での肝実質のモヤモヤな染まり=動脈血流が増加した状態。なので

  1. 炎症→肝炎、胆管炎
  2. 血行動態の異常→門脈血流低下(門脈圧亢進、門脈閉塞)

主にこの3病態を考える。

・胆嚢炎が波及し胆嚢床周囲の血流が増加することもある。これも①に分類される。胆嚢炎が重症なほどよく見られる。

abnormal hepatic hypervascular谷掛雅人先生(京都市立病院)の講義を参考に作図

肝内胆管に炎症があると、どうして早期動脈相でもやもやになるか?

cholangitis1

・胆管に感染がおこると、胆管およびグリソン鞘に浮腫が起こり、肝動脈および門脈が圧排される。その程度は柔らかい門脈により顕著であり、普段、動脈血>門脈血であるが、その相対的な差はさらに増大することになる。結果、より動脈相での染まりが局所的に目立つようになる。また門脈周囲には両側浮腫により低吸収域に見えるようになる、これをperiportal collarという。

逆に言えば、動脈相で肝実質の造影効果増強→グリソン鞘浮腫・胆管炎を示唆!

■鑑別点

  • 門脈そのものの評価→閉塞、血栓、門脈圧亢進所見の有無など。
  • 門脈周囲の評価 胆管拡張や造影効果、periportal hallo sign
  • 原因の評価 胆道系の結石や腫瘍の有無をチェックする。

劇症肝炎とは?

・定義:発症後8週間以内に高度の肝機能障害、肝性昏睡2度以上を来たしプロトロンビン時間が40%以下であるもの。

・急性肝炎の1%が劇症化する。

・原因としてはB型肝炎ウイルスによるものが最多。他、自己免疫性肝炎、薬剤性肝障害、代謝性(急性妊娠性脂肪肝、Wilson病、Reye症候群)などが原因となる。

・肝不全と意識障害を主訴とする。

・病理: ①広範な肝細胞壊死 ②残存する肝細胞の再生 ③結合織の増生 ④グリソン鞘に沿ったリンパ球を主体とした細胞浸潤

重症度の指標
  • PT延長(40%以下)
  • Alb<2.5g/dl
  • 腹水・浮腫・肝性脳症
  • コリンエステラーゼ低下
  • エステル型コレステロール低下
  • 血中アンモニア上昇
  • ビリルビン上昇
  • BUN 6mg/dl以下
  • 血清肝細胞増殖因子(HGF)1ng/ml以下
  • 肝萎縮(画像検査で)

劇症肝炎の画像所見

・急速に進行する肝萎縮
・広範な肝細胞壊死(末梢側) →CT単純で低吸収、造影後に等〜高吸収、MR T1低信号、T2高信号
・肝細胞の再生 →CT単純で高吸収、造影後に低吸収、MR T1高信号T2低信号
・肝の容積、CT値:予後予測

参考)動画で学ぶ肝障害。

症例:20代男性 薬剤性の肝障害(AST/ALT=500/1000)。periportal collarあり。胆嚢の漿膜下浮腫あり。早期動脈相で不均一な造影効果あり。

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