悪性末梢神経鞘腫瘍(Malignant peripheral nerve sheath tumor:MPNST)とは?

  • 末梢神経から発生した、あるいは末梢神経の構成細胞へと分化を示す悪性腫瘍。
  • 以下の3つの基準のうち少なくとも1つ満たす場合MPNSTと定義される。
  1. 腫瘍は末梢神経から発生
  2. 腫瘍は既存の良性神経鞘腫瘍(神経線維腫が最多)から発達する。
  3. 腫瘍は、シュワン細胞分化と一致する組織学的特徴。
  • 発生率は0.001%。
  • 悪性の軟部腫瘍の5-15%を占める。
  • 約半数は神経線維腫症Ⅰ型(NF1)から発生する。NF1の1-10%に出現。
  • 好発年齢は20-50歳代、性差はなし。
  • 局所再発や肺転移、骨転移が多い。リンパ節転移は稀。
  • 良性神経鞘腫瘍があり、サイズの急激な増大、神経学的異常の急速な進行や痛みの増大がある場合に臨床的に疑う。

悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)の画像所見

  • 良・悪性の鑑別に有用なMRI所見としてtarget signがあげられており、良性の神経線維腫では認められるものの、悪性ではほとんど認めない。
  • 他に、腫瘍径(10cm以上)、末梢の造影パターン、腫瘍周囲の浮腫性領域、腫瘍内の嚢胞変性があげられており、これらの2つ以上の所見を示す場合に悪性と診断すると、感度61%、特異度90%と報告されているが、実際はtarget sign以外に良悪性の鑑別がつかないことが多い。

症例 40歳代男性

引用:radiopedia

右後腹膜領域に長径14cm大の境界明瞭な腫瘤があり、T1WI低信号、T2WIは不均一な高信号でいわゆるtarget signは示していません。

手術にて、後腹膜の低悪性度の悪性末梢神経鞘腫瘍(Malignant peripheral nerve sheath tumor:MPNST)と診断されました。

※神経線維腫症Ⅰ型(NF1)の家族歴はなかった症例です。

関連:神経鞘腫/神経線維腫のMRI画像診断のポイント

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