骨転移(bone metastasis)とは

  • 骨悪性腫瘍の70%を占める。通常40歳以上
  • 原発巣としては、乳癌、肺癌、前立腺癌、腎癌、甲状腺癌、消化器癌の頻度が高い。
  • 男性では60%が前立腺癌から。
  • 女性では70%が乳癌からの転移。
  • 5歳以下では神経芽細胞腫、10〜20歳では骨肉腫やEwing肉腫、20〜35歳ではHodgkinリンパ腫からの転移が多い。
  • 骨転移巣が初発病変として発症することがあり、時に腎癌、甲状腺癌、肝細胞癌で認められる。
  • 一般的に多発であるが、稀ながら、腎癌や甲状腺癌では単発性の骨転移をきたすことがある。
  • 乳癌、腎癌術後の患者では、原発巣の治療後10〜15年以上経過して骨転移が生じることがある。

骨転移は骨のどこに多いか?

  • 躯幹骨(頭蓋骨、脊椎、肋骨、骨盤)
  • 四肢近位
    ※なかでも脊椎の頻度が高い(30-70%):腰椎>胸椎>頚椎の順。

関連記事)椎体骨転移の画像診断(骨粗鬆症による圧迫骨折との鑑別)

なぜかこれらの部位に多いのでしょうか?
赤色髄が多く、毛細血管網が発達しており、癌細胞がトラップされやすいからと言われています。

逆に、骨転移が少ないのは?→四肢の末梢(肘、膝よりも遠位)
※これらの部位に転移が見られたら、肺癌、腎癌を考える。
※手では末節骨、足では踵骨に好発する。

症例 70 歳代の女性。指先の腫大と疼痛。

acral metastasis2012年放射線科診断専門医試験問題12より引用。

骨転移の機序

1)直接浸潤

  • 肺尖部肺癌の肋骨、胸椎浸潤(Pancoast腫瘍)
  • 子宮頸部癌の骨盤浸潤 など

2)リンパ行性

  • リンパ節転移病変が周囲骨へ浸潤することがあり、肺癌の縦隔リンパ節や、前立腺癌
  • 子宮頸癌の傍大動脈リンパ節転移では、脊髄浸潤を認めることがある。

3)血行性(最多)

  • 腫瘍浸潤に比較的抵抗性である動脈ではなく、壁が薄く腫瘍の浸潤を受けやすい静脈系を介する転移が多い。

血行性転移

  • 骨転移の静脈経路としては、硬膜外脊椎静脈であるBatson静脈叢(Batson’s venous plexus)が重要な役割を果たしている。
  • Batson静脈叢は弁構造を持たずいわゆるvenous lakeのように静脈血を貯留しており、血流は遅くうっ滞し、その方向は腹腔や胸腔内圧の変化により容易に逆転する。
  • また同静脈叢は、上・下大静脈、門脈、奇静脈、肺静脈、腎静脈、骨盤静脈や乳腺・頭頸部・四肢の静脈系と交通を有している。
  • したがって、同静脈叢を介することにより、癌細胞は静脈系のフィルタとなる肝や肺を通らずに直接骨組織に到達することができる。
  • 前立腺静脈叢は下大静脈を介さずに脊椎静脈叢と直接交通しているため、前立腺癌では早期に広範な脊椎転移が生じる。
  • 下大静脈が腫瘍で閉塞し、側副路としての脊椎静脈叢への血流を介した転移の症例。

 骨転移の肉眼病理学的パターン

骨転移は3つのタイプに分類される。

主な原発巣
造骨型 osteoblastic(15%) 前立腺癌>乳癌>カルチノイド(稀に、膀胱癌、髄芽腫、胃癌、膵癌、肺癌、リンパ腫)
溶骨型 osteolytic(75%) 肺癌、乳癌が多い。他多数。(ただし、肝細胞癌、腎癌、甲状腺癌を忘れるな。)
混合型 mixed(10%) 乳癌、肺癌など
第4のパターン

骨梁間型(intertrabecular bone metastasis)

  • 正常な骨梁の破壊なし
  • 骨梁間の骨髄を癌細胞が置換
  • 脊椎転移の37%(1/3以上!)
  • 肺小細胞癌、肝癌、乳癌、腎癌、膵癌など
  • CTや骨シンチグラフィでは描出されず、MRIやFDG-PETでのみ描出される!
  • DICを引き起こすことがある。
症例 肺癌患者

病期診断のために撮られたほぼ同時期の骨シンチグラフィと 18F-FDG PET/CT である。

kakuigaku11-56

第11回核医学専門医試験問題56より引用。

骨シンチやCTでは異常を認めない。

しかし、FDG-PETでは全身の骨に異常集積あり。

骨量間型の骨転移を疑う所見です。

骨転移の画像診断

  • 単純X線では、病変の検出が困難な事が多い。特に解剖が複雑な部位では検出困難。
  • CTでは造骨型、溶骨型、混合型の検出ができることが多いが、できないこともあり。また骨梁間型は検出できない。
  • MRIは存在診断および広がり診断にもっとも優れている。
  • 骨シンチは造骨型、PET-CTは溶骨型や骨梁間型の描出が可能。※ただし骨シンチは、乳癌ならばstageⅢ以上でなければ、初発・無症状には推奨されない。また前立腺癌ではPSA 10ng/ml以下では推奨されない。

骨梁間型骨転移の画像所見

  • 癌がびまん性に浸潤した骨髄内は、T1強調像で低信号、STIR像では高信号域として描出される。
重症の慢性貧血に伴う造血髄の過形成との鑑別
  • ともにT1WIで低信号。
  • Gd-fs-T1WIが有用で、転移では均一または不均一な増強効果が認められる。
  • 造血髄は水と脂肪を含むため、グラディエントエコー(gradient echo;GRE)法のout‐ of-phase像で低信号となるのに対し、脂肪を含まない骨髄腫瘍は、in-phase像とout-of-phase像の信号にほとんど差が見られず、両者を鑑別できるとの報告もある。

骨転移のMRIの一般的所見と非典型的所見及び原発巣との関係

  • T1WI↓ T2WI↑・・・通常の骨転移
  • T1WI↓ T2WI↓・・・造骨型(前立腺癌、乳癌)
  • T1WI↓ T2WI↑↑・・・mucin産生
  • T1WI↑ T2WI↑・・・悪性黒色腫(メラニン含有による)
  • T1WI→ T2WI↑・・・HCC、RCC(脂肪あるいは出血のためにT1で中等度の信号。)
  • 大きな骨外進展・・・肝細胞癌
  • flow void・・・腎細胞癌

これらを原発巣の推定に役立てる。

症例 70歳代男性 肝細胞癌の椎体転移、肋骨転移

HCC bone meta

肋骨及び胸椎において骨外へ進展する巨大な腫瘤の形成あり。

生検にて肝細胞癌の転移と診断されました。

症例 60歳代 男性 腎癌術後

bone metastasis of rib

右7肋骨に溶骨性腫瘤あり。

手術にて腎癌の肋骨転移と診断されました。

参考)藤本肇先生の講義



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